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2099年 ワイン生産地の未来予想図 その②

2019.01.31 16:00

前回のブログ「2099年 ワイン生産地の未来予想図 その①」の続きです。

2099年の各産地の未来予測

②北アメリカ西海岸

温暖化の影響は少ない。北部の冷涼地域では霜の発生の現象によりブドウ栽培のニーズが高まる可能性がある。一方、セントラル・ヴァレー、インペリアル・ヴァレーなどカリフォルニア南部では夜間温度上昇、水不足によって影響が大きいことが予測された。

③中国

温暖化の影響は大きい。華北、長江平原、雲貴高原で温度上昇による強い影響がある。一方、霜の発生の減少、成熟期の延長によって満州平野、内モンゴル自治区、黄土高原など中国北部にあるブドウ畑に良い影響がある。

④チリ・アルゼンチン

温暖化の影響はほとんどない。現在の冷涼地域では温度上昇による霜害の軽減や成熟期間の延長によって品質向上の可能性がある。

⑤南アフリカ

温暖化による影響は少ない。夜間の気温上昇による品質低下の可能性がある地域は、北部地域、オレンジ、パール地域、カラハリ砂漠、カープ高原である。海岸地域では霜害の減少により好影響となる可能性がある。

⑥オーストラリア・ニュージーランド

温暖化による影響は一定程度ある。現在気温の高い南部地域では更なる温度上昇によりブドウの品質低下となる可能性があり、灌漑の必要性が更に増す可能性がある。クイーンズランド州など北部地域は降水量の減少により好影響となる可能性がある。


結論

2099年までの気候変動は世界中のワイン産地に大きな影響を与え、ヨーロッパ、特に地中海沿岸地域では非常に多くの適応努力が必要になる。温度上昇では地中海沿岸産地、中国で影響が大きく、水不足はすべての地域で問題となる。しかし、ワイン生産地域の根本的な適性に大きな変化があるわけではなく、持続的な努力により今後も上質なワインの生産が可能と推測出来る。

私見

2099年に向けて銘醸地のワインの味わいの変化、新たな品種の登場があるかもしれません。それは世界的な環境変化により起きていると捉え、新しい味わいに期待したいと思っています。


(参考)未来予測についての報告で、イタリアのカンパーニャ州で行われた気候変動モデルについて過去に書いたブログです。「気候変動はタウラージからアリアニコを奪う?

1) Vineyards in transition: A global assessment of the adaptation needs of grape producing regions under climate change

Santillán D., Iglesias A., La Jeunesse I., Garrote L., Sotes V.

Science of the Total Environment 2019 657 (839-852)

今回調査対象となったワイン産地。世界の90%以上のワイン産地が網羅されており、ここが世界の主要産地であることがわかる。1)