大麻・CBDが自閉症にもたらす効果と最新研究結果
自閉症の子供を持つ親は、「発作にはカンナビノイドで鎮静、コミュニケーションもとれるようになり、自分自身でもっと多くの事柄をこなせる様になる」と長い間主張し続けてきました。しかし、米国や日本でも大麻研究が制限されていたため、事例を確認するための研究がほとんどされてこなかったのです。
2007年に大麻研究を承認したイスラエルの最近の研究は、そういった主張を裏付ける結果が出ています。 その結果とどれだけの効果があるかご紹介します。
1月17日にNature誌にて発表されたこの研究結果は、大麻で、けいれん、落ち着きのなさ、激しい攻撃性など、多くの自閉症の人々が患っている症状のいくつかを和らげることがわかったとのこと。
「ASD患者の大麻使用は、忍容性が高く、ASDに関連する症状を軽減する安全で効果的な選択肢です。」と記載。
『自閉症における医療大麻治療の実体験』と題されたその研究は、6ヵ月間にわたり、188人の自閉症スペクトラム障害(ASD)患者を研究しました。
被験者の大部分は男性(81.9%)であり、平均年齢は12.9歳で、参加者のうち14人は5歳未満。攻撃、動揺、言語障害、認知障害、不安、失禁、鬱など全ての症状緩和が見られたのです。
「自閉症の人の多くは現在医療用大麻で治療していますが、大麻治療によって改善される可能性が最も高いという、安全性プロファイルおよび特定の症状に関する知識も大幅に不足しています」と、Lihi Bar-Lev Schleiderは書いています。
治療と所見
自閉症の子を持つ親からは、大麻とCBDが自閉症の子供たちを落ち着かせ、彼らが集中するのを助けてくれるのだと報告しています。
そして、てんかん発作を患っている子供たちにとって、大麻はその頻度を減らしてくれます。
アリゾナの大麻活動家、ブランディ・ウィリアムズも、てんかん発作を伴う自閉症の息子ローガンに大麻を投与させたことによって、大きな変化に気づきました。
特有の前後に揺れるという動きもなくなり、はっきりとコミュニケーションをとることができるようになったのです。
イスラエルの研究に使われたのは、大麻オイル(30%CBD:1.5%THC)でした。
6ヶ月の研究コースの終わりには、70%が「有意な」改善を報告、23%が「中程度」の改善を報告、そして7%が「わずか」な改善を報告しています。
最も一般的な症状は、「落ち着きのなさ」ですが、その症状改善と引き換えに経験した副作用は、眠気(3.2%)、食欲増進(3.2%)、消化不良(3.2%)、口渇(2.2%)のみで、何れも軽度だったということ。
患者は、生活の質、「気分と日常生活を遂行する能力」が6ヶ月で改善したと報告しています。
調査前には、31.3%が生活の質が良いと回答していたのですがその後、その数字は2倍以上に増え、66.8%に上昇したそうです。
自分自身で着替えたり、発言したり、食事の用意をしたり・・・あらゆる普通の日常を送るための行動が改善され、発作も減ったという結果は患者自身はもちろん、多くの親の安心にもつながるのです。
自閉症とてんかん
自閉症の3分の1近くがてんかんと診断されます。これには、大麻治療がよく効くことも明らかになっています。
イスラエルの研究では、参加者の14.4%がてんかんを持っていました。
自閉症に関する多くの研究と同様、被験者は通常他の薬を服用していたため、大麻治療の有効性を評価することがより困難なのです。
たとえば、抗精神病薬、抗てんかん薬、抗うつ薬も服用している人がいるからです。今まで使用していた薬の投与を中止するのも怖く、なかなか大麻治療に移行できないことがその理由です。
ですが、最新研究の最終アンケートに回答した93人の患者のうち、約2分の1がこれらの薬の服用を減少または中止でき、以前よりも副作用のない安心な治療方法によって明らかな症状の改善がみられています。
投与量は異なる?!
患者は15ミリグラムのCBDと0.75 mgのTHCを含むオイルかリキッドを、1日に3回1滴の投与で改善し、それで効果が出ない患者には、1日に3回20滴までの投与を実施。
体格や年齢によってもちろん量の調整が必要になりますが、大麻治療は抗生物質と違って副作用の心配をすることなく、用量の上限がないことが最大のメリットなのです。
今回のこの研究結果は、大麻が自閉症の人々を助けることができると実証するための大きな前進です。
研究者は、「この研究は大麻治療が安全で、ASD症状や生活の質を改善できる」と主張しています。
先日、厚労省へ問い合わせた際も、「海外での研究結果を検討材料にし、医療大麻使用を検討する」と話されていたので、「海外だけの話」と思わずに日本の近い将来に関係があると目を向けても良いでしょう。
CBDの投与だけでも、発作がすぐにおさまる為、活用している患者さんも少なくありません。安心な治療がいちばんの救いなのですから。