防災風土資源&ローテク防災術 -香川大学客員教授松尾裕治-

吉野川の水を讃岐平野に導水の構想を提唱した大久保諶之丞の碑(三豊市)

2025.01.28 02:57

香川県三豊市財田町財田上の国道32号線沿いに大久保諶之丞君碑があります。この大久保諶之丞(おおくぼじんのじょう)(嘉永2年(1849)~明治24年(1891))は、四国の開発・産業の振興等に尽力した人物です。現代においては、香川用水や瀬戸大橋の発案者として知られています。

この石碑の横に設置された解説板があり、大久保諶之丞の生い立ちから、香川用水や瀬戸大橋などの偉業まで、詳細な功績が紹介されています。

大久保諶之丞は、「四国と本州を結ぶ瀬戸大橋、香川の重要な水源、香川用水」といった大事業を明治の始めに考え構想し、実現させた財田村(現在の三豊市財田町)の人で、人々の生活を一番に考え、四国の未来を見つめ続けた人です。

香川用水(吉野川導水計画)を香川県に提言したその際、諶之丞は『笑うんじゃないぞ!わしの考えを!百年先は財田の山から川舟を出して、月の世界へ往来する』と語り、それが有名な詩になっています。

この詩の通り、昭和49年、百年も待つことなく香川用水が完成しました。

138年前に四国の社会資本整備の構想を描いた大久保諶之丞の功績、精神は、人々の生活を第一に考え、どんな困難な状況でも、決して諦めず、どんなに笑われようとも未来を語り、どんなに自分が辛くとも人々のため行動したことです。そのネバーアップの精神は地域の子供たちに受け継がれています。

大久保諶之丞君碑は、土木偉人諶之丞の偉業を礎に今日の四国が発展してきたことを伝える貴重な伝承碑であり。四国の防災風土資源であるといえます。

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