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「第二の家」ブログ|藤沢市の個別指導塾のお話

新学習指導要領で各教科の内容がどう変わっていくのかを簡単にまとめてみた

2019.02.01 13:05


近年、教育改革が話題にのぼることが多くなり、僕も仕事柄、新学習指導要領やその周辺の資料に目を通す機会が増えてきました。


今回はその中から僕が気になった部分だけ抜粋して、簡単にまとめて備忘録がてらご紹介します。


後に挙げるものを含めて、色んな資料から情報を汲み取ってますから、頭の中でこんがらがるんですよね。それが[書く]という形でアウトプットすると、自分の中で整理されるのか記憶としてしっかり残ってくれるんで助かっています。どうぞお付き合いください。


うん、ただあらかた書いてから考えましたが、はたしてこれは一体誰向けの記事なのでしょう。「え!この内容って中1になるの!」なんて驚く生徒や保護者の方が居るんでしょうか。まぁ、そんな疑問を頭の片隅に押しやりながら、「よくまとめてくれた!」という稀有な方が居ることを祈りつつ、参りましょう。



新学習指導要領とは



学習指導要領とは、文部科学省が出している「全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするための、カリキュラムを編成する際の基準」のことです。小中高ごとにあって、大まかな教育内容を定めています。


この学習指導要領が小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、高校では2022年度から学年ごとに順次新しいものへと変わります。これを新学習指導要領と呼んでいます。


中身については、こちらのサイトで確認ができます。各教科ごとに分かれていますが、ぶっちゃけ文字が多くて読むの大変です。興味がある方はぜひじっくり読んでみましょう。


現在は、この新学習指導要領への移行措置期間。場合や科目によっては、既にこの移行措置期間から教える中身などが変更になったりしています。


本日は、以上の長文を読みながらこの新学習指導要領で変わっていく中身について気になった部分をなるべく簡単にご紹介していきます。



理科



例えば、中学理科であれば、変わる中身がこんな風に表記されています(この前にも長文あり抜粋です)。

○ 改善・充実した主な内容 [第1分野]
・第3学年に加えて,第2学年においても、放射線に関する内容を扱うこと
[第2分野]
・全学年で自然災害に関する内容を扱うこと
・第1学年において,生物の分類の仕方に関する内容を扱うこと
○ 移行した主な内容 (1)及び(2)は第1学年,(3)及び(4)は第2学年,(5)から(7)までは第3学年で 取り扱うものとする。
[第1分野]
・電気による発熱(小学校第6学年から(3)へ)
・圧力(1)から(5)へ,(1)から第2分野(4)へ) [第2分野]
・葉・茎・根のつくりと働き(1)から(3)へ) ・動物の体の共通点と相違点(3)から(1)へ) ・生物の種類の多様性と進化(3)から(5)へ) ・自然の恵みと火山災害・地震災害(7)から(2)へ) ・自然の恵みと気象災害(7)から(4)へ)
2 指導の重点等の提示について
今回の改訂では,3年間を通じて計画的に,科学的に探究するために必要な資質・能力を育成するために,各学年で主に重視する探究の学習過程の例を以下の
ように整理した。
・第1学年:自然の事物・現象に進んで関わり,その中から問題を見いだす
・第2学年:解決する方法を立案し,その結果を分析して解釈する
・第3学年:探究の過程を振り返る


これだとわかりづらいから、ここではこう書いていきます。


「理科」の主な内容変更点(【】は単元)


早い段階で学ばせたい内容が、学年を超えて移行していますね。それに伴って分野の統合だったり、名称の変更が行われています。


学ばせたい内容の一つが、災害についての内容。中1では火山災害や地震災害、中2では気象災害や放射能の影響について学ぶことになります。


生物も大きく様相を変えます。今まで中1で植物、中2で動物、中3で遺伝といった感じでしたが、中1で【生物の種類や仲間の分類】、中2で【生物の体のつくりや働き】という風になるそうです。理解しやすいように、大枠と中身で分ける感じなんですね。


ちなみに、現在の単元は以下の表でご確認下さい。参考までに。


社会



続いて、社会。


「社会」の主な内容変更点


こちらもより実用的な知識を早めに学ぶように単元が再配置されています。「地形図」や「時差」は入試でも頻出単元ですからね。早めに焦らず学びたいものです。


また、選挙権が18歳に引き下げられたこともあり、政治や公民の重要性も増しています。6年生の学ぶ順番の変更もそのことが大きく関わっているのでしょう。


あ、歴史の厚みが増して世界史が増えるの、僕は世界史派だったので、地味にちょっと嬉しい。これに続いて、【倫理】の内容も中学まで降りてこないかな(多分それはない)。



国語



社会の学習指導要領変更とも深い関わりがある国語。


「国語」の主なポイント


漢字に関しては、社会とのつながりもあって都道府県の漢字を小4から学習することに。語彙増強や読書についても力を入れていく見通しです。


この国で暮らす僕らにとって、国語はすべての教科の基礎となる学問でもありますから、その充実に期待です。もうちょっとしたら、スマホの使い方なんかをもう学校で学ぶ時代がくるかも。



数学



次に、統計的な内容を重要視した数学です。より社会で使える力との親和を図った内容になっています。


「算数・数学」の主な内容変更点


気になるのは、小5と小6の「速さ」と「分数の計算」の移行ですよね。この順番でいくと、計算方法にも縛りが出そうな気がしますが。


さらに、「簡単な割合」について4年生で学ぶとはいえ、「割合」単元は5年生に残りますから、「速さ」と相まって算数が苦手な子にとっては、魔の5年生となりそうです。まぁ、塾側としては、上記の計算の件を除けば、「割合」とセットになってくれた方がもしかしたら教えるときは楽かな?


また、数学は特に移行措置期間とそれ以降で学ぶ内容の食い違いが多い科目なので、注意が必要です。うん、誰の注意でしょう?とも思いますが一応ここに書き記しておきますね。


あ、理科同様に現在の単元内容も載せておきます。参考までに。



外国語(英語)



最後は、今回の教育改革のメインともいえる英語についてです。他の科目同様に変更点に重きをおいて中身を見ていきましょう。


ちなみに、これが現行の文法内容。英語は最初に載せておきます。


「英語」の主な内容変更点


アクティブラーニング授業や4技能試験など、「あれもこれも」感が強い英語ですが、そういった大きな変動と、高校内容から降りてくる文法などの小さな変動があります。ここでは小さな変動についてみていきましょう。


まずは「文の種類」として「感嘆文」が追加。「感嘆文って何?」という方のために、資料にも載っている形を載せておきましょうか。


How interesting!   なんて興味深いんだ!


What a big tree!  なんて大きい木なんだ!


みたいなのが感嘆文です。感嘆符が付いていますからわかりやすいですよね。


次に文構造の部分で出てくる「原形不定詞」についても簡単に説明を。「原形不定詞」とは、toの付かない不定詞のこと。つまり、動詞の原形のことです。なんだそりゃ、ですよね。例文を見てみましょう。


Will you let me try?


I helped my father wash the car.


細かい説明は省きますが、letやhelpは使役動詞という原形不定詞を召喚できる動詞なんです。小学校において“Letʼs...”や“Let me try!”といった表現に触れることを考慮し、今回の改訂で指導事項に追加したということです。


そして、高校内容から降りてくる文法が「現在完了進行形」や「仮定法」になります。資料にはそれぞれこんな例文が載っていますが、どうですか、文法知らずともなんとなく訳せそうではありますね。恐れなくても大丈夫。


It has been raining since this morning.


If I were you, I would ask my best friend to help me.



ちなみに、今回仮定法を降ろした理由はこう述べられています。

本来“If I had my own computer, I could get some information on the I n t e r n e t . ” と 表 現 す べ き と こ ろ を ,“ I f I h a v e m y o w n c o m p u t e r , I c a n g e t s o m e i n f o r m a t i o n on the Internet.”と表現していたため,実際にコンピュータを持っていなくて欲 しいと思っているのか,それとも,持っているがどこかに忘れてきたりして手元 にないといった状況を表しているのかを正しく伝えることはできなかった。また, 考えや気持ちを述べる場面でも仮定法を用いることで,表現の広がりや深まりと ともにより一層充実した言語活動を行うことが期待される。


今までの内容もそうですが、こういった新しい内容がスムーズに子どもたちの中に入っていくように、我々も頑張っていきたいと思います。



以上、5教科の主な変更点についてでした。学習指導要領については、道徳の教科化だったり、指導のシステムだったり、まだまだお伝えしたいことがたくさんありますが、これ以上長くするとクレームが来ますので、それはまた次の機会に。


今回の教育改革の大テーマは、「社会に開かれた教育改革」。はたして、その行く末はどうなるのでしょうか。僕らも片隅で尽力したいと思います。


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