マイアミの”都市を紡ぐ” その1
冬学期スタジオ課題の最終提出を12/12に行った。以前の記事(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/5032177)にも書いたように敷地はマイアミで、冬のリゾート期間向けの高級マンションやホテルにばかり投資が集まるその土地に、もっと地元の人に広く開かれた開発戦略、アルタナティブな建築のあり方を提案するという課題であった。建物のプログラムは低所得者層向けのユニットと市場価格のユニットを含む集合住宅である。
スタディのプロセスは実際に存在する建築・都市デザインを研究するところから始まった。先生がセレクトした集合住宅1つと、自分らでセレクトするインフラ関係のプロジェクト1つを分析するのが課題で、SANAAによる岐阜の県営住宅とCOBE Architectsによる地下鉄駅Norreport Stationを選択した。
岐阜の住宅は団地のように低予算で均質な住宅の中に、いかに多様なユニットを配置し、外部とつながりを持つことができるかを追求したものだ。プライベートな生活をいかに都市の中に拡張できるかが命題である。一方でNorreport駅は、駅へと集中する自転車による交通量と駐輪場、歩行者を最小限の操作でいかに共存させることができるかを追求したものである。ここではパブリックスペースでの人々の行動を僅かに色付けしながら整理することが命題となった。
上記のことをプロジェクトを分析したドローイングにまとた段階で、次のデザインのステップに移ることになる。課題は、2つのプロジェクトをマッシュアップすることで、新しい都市・建築空間のアイディアを発明せよというものだ。自分たちのチームにとっては、上記に挙げたプロジェクトの良さをいかにうまく組み合わせるかが課題であった。
岐阜の住宅からはグリッドによる構成や立面にあるパズルのようなユニット構成が、Norreport駅からは地形のぐぼみやでっぱりによる動線の生み方が最も重要な要素だと考え、三次元的に色んな角度から組み合わせて行くことによって、2つのプロジェクトの両方の良さが生かされるような形式を追求していった。
結果としてできたのが写真にあるようなものである。都市デザイン課題であるため、マイアミの標準的なサイズの街区に合わせたものを設計した上で、そこにモノレールが来たらどうなるか、そこにもっと容積が必要だったらどうなるかなど、異なる都市の要素との組み合わせによる機能性の検証も行っている。
この最後のステップが最終提出した作品へと向かうためには不可欠だった。