忌服について
忌服とは?
古来、日本人は家族や親族に弔事(ちょうじ)が生じた場合、その心の痛みをぬぐい去り、不幸を乗り越えて正常な家庭生活を営むための節目にと、ある一定の期間を設けて喪(も)に服(ふく)し慎(つつし)むことが慣習でした。
これを「服忌(ぶっき)」や「忌服(きぶく)」などと表現して、主に家庭や地域の祭りへの参加を遠慮することを習わしとしてしてきました。
忌中・喪中とは?
「忌(き)」とは、死を恐れ忌むという意味で、派手なことを控えて身を慎み、亡くなった人を悼み、御霊(みたま)鎮めのための避けられない期間のことで、最も長くて五十日間です。その期間内にあることを「忌中(きちゅう)」といいます。「忌明け(きあけ、いみあけ)」とは「忌み」の期間を終えたことをいい、地方の風習により異なる場合があります。
「服」とは、もともと喪服を着用することをいい、「忌明け」の後も身を慎み、悲しみの気持ちを乗り越え平常心に立ち返ろうとする期間で、「服喪」と同じ意味です。「喪中」とはその期間にあたることをいい、日数はそれぞれの心情に委ねられます。現在では「忌」と「服」とを分けて考えることが少なくなりました。
忌中の心得
葬儀家(弔いを出した家)にあっては神棚を白紙で覆います。
地域の祭礼行事や神社への参拝を遠慮します。
結婚式・祝賀会・式典などへの参加、行楽旅行を控えます。
祝い事の予定を忌明け後に延期します。
遠方で訃報を受けたときは残りの日数の忌に服し、忌の期間を過ぎた場合はその当日だけ服します。
忌明けの心得
神職より忌明けのお祓いを受け、神棚の白紙を除き、神棚祭りを再開して平常の拝礼をします。
忌の期間中に「神宮大麻(伊勢神宮の神札)」「氏神の神札」などの頒布があった場合、忌明けの後に神社に出向いて授かります。
「服」期間の心得
忌明け直後の派手な宴席は慎みますが、神社の祭りや参拝、正月行事、年賀状などの年賀あいさつは差し支えありません。
心情として死別の悲しみの中にあっても、徐々に日常の生活に立ち返るようにし、故人を悲しむ気持ちを乗り越え、ご先祖様として敬いの気持ちでお参りしましょう。