ちっぽけな挑戦その4

2019.01.31 13:37










市民マラソンの前日準備は荒天でした。

雪とみぞれと、強風と。

それが当日は嘘のように静まって、例年にない気温でした。





今回、目標にした市民マラソン大会。


事務局として準備をし、当日は大会運営、記録集計担当という仕事がありました。

この日、実は記録室には強力な助っ人として来てくれることもあり、不在中、仕事を任せられる人がいることがわかっていたので、エントリーする決意をすることができたのです。


Nさんに、ほんと感謝🙏

















田舎町の本当に小さな大会で、参加者も全体で300人くらいです。

小さな大会ながら、スポーツ推進委員や、地域の体育振興会、スポーツボランティア、女性会など、本当に沢山の方がお手伝いをされていて、皆さんのお陰様で通算52回目の歴史ある大会です。










仕事を一旦抜けて、スタート位置に行くと、同時スタートの一般男女&小学女子の3km、一般10kmの選手が集まっていて、100人くらいがひしめき合っていました。







マラソンらしいマラソンは、実に中学生以来!

(高校の頃は5km走るのが嫌で学校を休んでた笑)

なんだか笑えるくらい、緊張してくる。


別に記録に挑戦するわけでも、上位を狙ってるわけではないのに(笑)






 

そうそう、夫も一緒にエントリーしたので、一緒にスタート位置につきます。

お互い、なんか変な緊張感で、妙に饒舌。



スタッフや、知り合いの参加者に、えっ、走るの⁉️と驚かれながら、ストレッチをしたり、筋肉の温度を上げて、スタートを待ちます。




 


10kmが先にスタートし、いよいよ3kmの部がコールされます。
















多分、3kmのスターターは校長先生だったと思います。

勢いよく飛び出す方々の姿を尻目に、ここでついて行ったら絶対3km走れない、いつものペースで、と言い聞かせます。





夫はあっという間に見えなくなった。






そして、色んなスタッフさんに頑張れー!と声かけてもらいながら、校庭を出て、一般道に入ります。


かなり後ろの方にいる自覚はある。

いつもは一人で走っているから、周りに人がいると自分のペースが分からなくなる。






そういう時は、自分の呼吸を聞く。





「すっすっはー、すっすっはー」




2歩吸って、2歩吐く。

大丈夫、いつものペース。


昔からこのリズムだ。











ため池を曲がりきり、川沿いの堤防に来た頃には完全に息が上がっていた。

初めのトラックで飛ばしてしまったからだ。


目の前の女性ランナーは走り慣れている感じ。

この人のペースで走れたら大丈夫。


すぐ後ろにも人がいる。

後ろの人は少しつんのめる感じの走り方。








折り返し地点が見えるよりも先に、先導車の自転車が見えた。

先頭は私がやっと1キロ走ったくらいで折り返してるんだと思ったら、なんだかおかしかった。



自転車のスタッフもまたよく知ってる方。

手を振ったら「え!走ってるの!びっくりした!頑張って!」とエールを送ってくれた。




トップとすれ違う辺りで、堤防沿いに住んでいる地元の方が声援を送ってくれた。

この季節にしては暖かいとはいえ、堤防沿いは風も強くてとても寒い。


単純に嬉しかった。

身体に伝わる声援が、足を進めるエネルギーになる。














夫ともすれ違った。

夫も必死だった!

一緒に頑張ってくれる人がいてくれるということ。

それがまた嬉しかった。
















折り返し。



まだ半分あるってのに、足が上がらない。

吸っても吐いても、呼吸をすればするほど、体の中の酸素がなくなっていくようだった。







なんで、走り出しちゃったんだろう!

やめる口実なんて沢山あったのに!

なんて馬鹿な挑戦しちゃったんだ!







呼吸の隙間を縫って、とうとう弱音が噴き出した。

途端に足が、腕が、重くなり、泣きたいような、情けない気持ちが止まらない。

今日はきっと最悪なタイムだ。

こんなに体が進まないんだから。





こんな状態なのに、ゴールはまだまだ当分先だ。

やめたい。

足を止めたい。














ため池まで戻ってきたところで、10kmの折り返し地点が見えた。

ゴールまであと1kmくらいだ。




そこで目に映ったのは、走路の水たまりをため池まで掃き入れている近隣の方。

選手が通るたびにほうきを握る手を止めて、大きな声援を送ってくださっている。








正直、辛さなんか吹き飛んだ。


人には見えない、こんなところでも地域の方に協力していただいて、温かい気持ちで見守ってもらってる。


こんなに長く大会を続けられるのは、他ならない、この温かい気持ちを皆さんが持っていてくださるからなんだ。
















校庭が見える。

また知っている方々が沢山声をかけてくれる。










頑張れー!


もうちょっとよー!


頑張れー!


よく頑張ったねー!


お帰りー!


もうすぐゴールよー!










いつ止まっても、いつ転けてもおかしくない程の走りだけど。


なんとか。

こうして戻ってきた。


  





走ってよかった。

情けないくらい遅いけど、今の私のベストで走ったんだ。






















(ゴールでは助っ人Nさんが待ち構えていて、写真を撮ってくれた✨)











たかだか3kmの、ちっぽけな挑戦だったけど、沢山の温かい気持ちに満たしてもらった。

走らなければ触れられなかった優しさが、そこかしこにあった。




それだけで、ちっぽけな挑戦が、とても貴重な価値を持って、光り輝くようだった。









ありがとう。

心の底から自然に湧き上がってきた言葉。

















記録室に戻り、自分で結果を入力する(笑)

そうです、こちらが本業。











そして、タイムは。


















当初の目標通り、15分台だった!

あんなにボロボロだったのに、トレーニングを始めて一番の記録になりました。











ちっぽけな挑戦。

たかだか3km走るだけの15分の物語。






私はこの挑戦をずっと忘れないと思う。

諦めても、後悔しても、また懲りずに思いつきでチャレンジし続ける私で在りたい。








病み上がりで甘えたになった娘。

マラソン中は妹夫婦が預かってくれました。



二人がいてくれたから走れた。

ありがとう。