Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

バングラ BHANGRA

『ワーニャ伯父さん』上演にあたって

2019.01.31 15:34

チェーホフ四大劇のひとつ、『ワーニャ伯父さん』。

その世界は一見物静かに見えてその実、尋常でない迫力と緊張感に満ちてます。

20代の頃からずっと、いつかこの戯曲と向き合ってみたいと思い続けてきました。

そして歳月を重ね、今、満を持しての初挑戦

チェーホフ独特の静劇の奥に、

丁寧に巧妙に埋め込まれた人間の獰猛(どうもう)さや理不尽さ、苛烈さを、

稽古場でいったんグイッと引っこ抜いてザーッと広げて吟味して、そして再び埋め込んでいきたい。


丁寧に。

繊細に。


でも、

おそらく、

いったんザーッ!と広げたものはキレイに元通りには埋め込めない、戻せないと思います。

だって慎重かつ巧妙に隠されていたものをザーッと、ザザーーッ!と出してしまうのだから。

それらがおとなしく元に戻ってくれるとは思えません。

きっと凸凹する、元の位置から少しズレる、ひょっとしたら飛び出てたりする。

でも、そこ!

そのなんとも納まらないハミ出してしまう部分こそが、今回の『ワーニャ伯父さん』の面白さになると私は確信しています。

「あれ、 チェーホフってこんな感じだったっけか?」

バングラ版『ワーニャ伯父さん』は、そんな作品になります。

乞うご期待!


三村聡