「鮓、会席とワインのマリアージュを楽しむ夕べ」(昨年10-12月)の様子
本日は昨年10-12月に行いました、夜のワイン会の様子をご紹介します。10月13日は、オーストリアワイン大使で自然派ワインやオレンジワインなどを中心にご紹介されている築地場外市場の「酒美土場」の岩井穂純さんにナビゲーターをして頂きました。テーマは「伝統発酵料理とナチュラルワイン」。岩井さんが是非とも当店で行ってみたいテーマということで、これまでも何度か開催させて頂きました。この会は、日本に昔から伝承されている発酵食材を取り上げ、さまざまな発酵食材を使った当店の創作料理、そして、発酵の一つの形でもある江戸前の握りをお出しした鮓会席のコースに岩井さんがナチュラルワインをマリアージュさせるという、非常に興味深い内容です。毎度、気づかされるマリアージュが多数あり、驚きと発見の連続となるワイン会です。この会のご様子やマリアージュは言葉よりも実感して頂くことが何よりと思います。これからも岩井さんが当店にて定期的に開催してまいりますので、ぜひふるってご参加頂ければ幸いです。当日の岩井さんが熱心に発酵とナチュラルワインを語る様子を写真におさめました。
11月は生産者を迎えた会を開催いたしました。ポルトガルワインに造詣の深い、カーヴ・ド・リラックスの別府岳則さんに解説兼通訳をお願いし、ポルトガル リスボンのワイナリー"Quinta de Lapa"のオーナーである、シルヴィア・カナシュ・ダ・コスタさんをお招きしました。ポルトガルの中でもリスボンはまだまだ知られていない産地ですが、非常に注目のワイナリーです。シルヴィアさんの旦那様でポルトガルでも有名なシェフであるアンドレ・マルガリャエンスさんにもお越しいただきました。陽気で快活なお母様のニックネーム「ナナ」をワインの名前に付けたシリーズで、NANA SPARKLING BLANC DE BLANCSNANA WHITENANA ROSENANA RED RESERVEをお出しし、さらに、特別にお持ち頂いたスペシャルワインを提供されました。ポルトガルの固有品種はもちろんのこと、国際品種も栽培され、それらを組み合わせることで、素晴らしいワインを造られています。昼間は太陽の光を十分に受けることができる自社畑で、朝夜の冷涼な気候との寒暖差により、ブドウが均一にゆっくり熟す、という理想的な環境でブドウがつくられています。果実味がしっかりとありながらも、高い酸味もしっかりとあり、さらに醸造でもそのテロワールを生かしているため、全体的に優しく、また、うま味も乗った味わいとなっていました。お出しするワインを事前にお聞きしていたため、当店の料理長がそのワインのイメージを元に仕立てた特別な会席料理をお出しさせて頂きました。ワイナリーのオーナーを務められている奥様ももちろんのこと、シェフである旦那様も会席料理、江戸前鮓とご自身のワインの相性の良さを大変に喜ばれていました。旦那様はその日に当店の店長と豊洲市場の仕入れにも同行し、日本の魚市場の巨大さと、また、魚を細かく分類してそれぞれの料理用に使い分けていることに興味津々でした。ポルトガルもとても多くの魚を召し上がる国で、当店でお出しした会席料理や江戸前鮓も味覚にあったご様子でした。当店の料理長である私の伯母にぜひとも挨拶をされたいとのことで、その時の様子です。
また、会の後は皆さんで一緒に一枚。
非常に楽しい会となりました。生産者の方にいらしていただくと、造られたワインに注いだ愛情やワイン造りの背景や哲学など、直に聞かれることが何より楽しいポイントです。本年も当店に生産者の方をお招きして会を行う予定でございますので、是非その貴重な機会にお気軽にご参加くださいませ。そして、12月は「出版記念 オーストリアワイン、江戸前鮓と会席料理を楽しむ会」として、拙著の出版を記念したワイン会を12月8日に開催させて頂きました。自らの出版を自ら記念するのはご愛嬌ということで、江戸前鮓、会席料理とオーストリアワインを楽しんで頂くため、日本未輸入のものも含めて、17種類のワインを提供させて頂きました。ニーダーエスタライヒ州・ヴァッハウ 1.ルーディー・ピヒラー アハライテン リースリング スマラクト 2012(白)・クレムスタールDAC 2.ペーター&パウル グリューナー・ヴェルトリーナー 2017(白)・カンプタールDAC 3.ユルチッチ アモーレ・フー 2017(オレンジ)・カルヌントゥム 4.ムア・ファン・デア・ニーポート シュピッアーベルク ブラウフレンキッシュ 2012(赤)ウィーン・ウィーン 5.ヴィーニンガー ヴィーナー・ホイリガー 2018(白) 6.ツァーヘル ヴィーナー・ホイリガー ヌスベルク 2018(白)ブルゲンラント州・ライタベルクDAC 7.エルンスト・トリバウマー ルスト ロゼ 2017(ロゼ) 8.MAD マリエンタール ブラウフレンキッシュ 2015(赤)・ノイジードラーゼーDAC 9.トーマス・ハレター リート・クラナウィツル シャルドネ 2016(白) 10.トーマス・ハレター カベルネ・ソーヴィニヨン オーネ 2015(赤)・ミッテルブルゲンラントDAC 11.モリッツ ブラウフレンキッシュ ブルゲンラント 2016(赤)・アイゼンベルクDAC 12.ウヴェ・シーファー ブラウフレンキッシュ サパリ 2012(赤)シュタイヤーマルク州・ヴルカンラントシュタイヤーマルクDAC 13.プローダー・ローゼンベルク アエロ 2013(オレンジ)・ズュートシュタイヤーマルクDAC 14.ヴェルリッチ エクス・ヴェロⅡ 2011(白) 15.ヴェルリッチ エクス・ヴェロⅢ 2011(白)・ヴェストシュタイヤーマルクDAC 16.ラングマン リート・ホッホグレイル シルヒャー 2017(ロゼ) 17.ラングマン ブラウアー・ヴィルトバッハー レゼルヴェ 2013(赤)こちらがそのワイン達です。
日本未輸入で現地で私が購入してきたものも多数あり、初めて、会席料理と江戸前鮓に合わせるというワインもありました。そこはぜひ、私の本に則ってマリアージュを見つけられるだけではなく、寛容で包容力のある優しいワインであるオーストリアのワインをご自身の感覚で新たなマリアージュを見つけて頂こういう趣旨で行いました。当日お出ししたコースは、・サーモンと生筋子の塩麹和え・浅利と青ネギの煮びたし・車海老と銀杏の天麩羅・鴨の治部煮と海老芋の炊合せ・江戸前鮓の盛り合わせという内容でした。
白、オレンジ、ロゼ、赤といずれとも合せられるように考え、季節の食材を使って、できる限り食材の味わいを引き出す料理でご用意させて頂きました。オーストリアの北から南までほとんどの主要な産地を網羅して飲み比べて頂くことはなかなか無い機会だったかと思います。お客様ご自身で、私の本とは異なるけれども良いマリアージュを多数発見されたりと、非常に楽しく、活気ある会となりました。ほとんどの場合、産地を訪れた際にはワインを仕入れておりますので、仕入れたワインなどがまたたまってきた際にはこのような機会を皆様にご用意させて頂こうと思います。本年も興味深かったり、ディープであったり、また、私が行いたい内容だったりと、多様なテーマで夜のワイン会を開催させて頂こうと存じます。どうぞ夜のワイン会もご期待ください。鮓&ワインおーじ