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団員インタビュー Vol.5 パーカッション 平井 格

2019.02.03 11:09

団員インタビュー第5回目は、パーカッションパートの平井 格(ひらい ただし)さんです!

平井さんは今回の演奏会で、ロッシーニ 『アルジェのイタリア女』序曲ではシンバルを、ベートーヴェン 交響曲第2番ではティンパニを担当します。

打楽器奏者の練習の実態や、オーケストラにおける打楽器の役割、シュタフィルについてなど、様々なことをうかがってきました。


平井さんの音楽を始められたきっかけを教えていただけますか?


 5歳のときに姉がピアノを弾いているのを横から興味深そうに見ていたので、同じようにピアノを習わせてもらうようになったのがきっかけです。ピアノ一筋だったのですが、高校生のときにテレビでベルリン・フィルの演奏会を観てティンパニ奏者のゼーガースに憧れ、京都大学交響楽団に入団して打楽器を始めました。

 ピアノは今でもずっと続けていて、バッハの平均律クラヴィーア曲集とチェルニーの練習曲を弾くのが2大ライフワークです。


ピアノと打楽器とは面白い組み合わせですね。打楽器奏者としては、普段はどこかの楽団に所属はされているのですか?


 シュタールフィル以外のオケには現在入っていないのですが、エキストラで出演させていただくことがあります。そのときはシンバルや大太鼓をやることがほとんどです。Myシンバルも持っていますよ(笑)。


Myシンバルですか!? ちなみに普段シンバルとかって、どこで練習されたりするのでしょうか? またティンパニは家で練習できないと思うのですが、楽器がないときは練習はどうされているのでしょうか?


 シンバルの弱音は自宅で練習することもありますが、さすがにf(フォルテ)の練習はできません(笑)。自宅では譜読みの際に手を打ったり、ティンパニであれば座布団を並べてバチで叩いたりして動きを確認しています。あとはスタジオを借りて練習したり。ただ、やはりオケの中で実際の楽器を叩かないと分からないことも多いですから、毎回の合奏はとても貴重な時間です。


次にシュタール・フィルハーモニー管弦楽団についてうかがいたいのですが、シュタールフィルに入団されたきっかけは何だったのでしょうか?


 シュタールフィルの前身となった「はがねの日記念ファミリーコンサート」に何度か出演させていただくなかで、皆さんとご一緒に音楽活動を続けられたら嬉しいなと思い、シュタールフィルにそのまま入団しました。指揮者の阿曽沼くんは大学オケの1学年後輩なんですよ。他にも知り合いがたくさんいて、彼らとやいやい言いながら音楽活動をできるのは楽しいですし懐かしさもありますね。


シュタール・フィルハーモニー管弦楽団の特徴や魅力はどんなところにあると思いますか?


 よりよい音楽を追求しようとするにはある程度の「余裕」が必要だと思うのですが、シュタールフィルにはその「余裕」を持っている方が多いと感じています。音楽そのものや音楽活動を楽しみながら、追求する雰囲気があるのは大きな魅力なのではないでしょうか。

 今回のような「古典派の神髄に迫る」という演奏会にもファミリーコンサートにも、楽しみながら全力で挑戦するのがシュタールフィルの強みだと思います。


今回の演奏会のような古典派の曲は、打楽器奏者の目線から、ロマン派以降の曲と比べてどのような違いがありますか?


 古典派では打楽器はティンパニのみの編成であることがほとんどです。トランペットとともにリズムや和声の核となることが多いです。一方、ロマン派以降は楽器の種類も使われ方も非常にバラエティに富むようになっていきました。叩かなくても弦楽器、管楽器、鍵盤楽器・ハープに分類されないものは打楽器という感じです(笑)。たまにですが、ティンパニがメロディを奏することもありますね。大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングルなどがオーケストラのいわば標準装備となるにつれ、打楽器の役割が大きく変わっていったと思います。

 そういった変化の先駆けとなったのが、今回演奏するベートーヴェンの作品です。交響曲に限っても、楽章ごとに別の音程を要求したり、第6番「田園」での嵐の描写など、多くの革新がみられます。有名な「第九」ではティンパニに加え、大太鼓、シンバル、トライアングルが用いられています。今回演奏する第2番は、第1番から大きく深化し第3番に繋がっていく重要な曲だと思いますが、ティンパニに関してもより主体的な意思を持たせようとしているのが強く感じられます。今回初めてベートーヴェンのティンパニを演奏する機会を得たのですが、打楽器史のようなものに直に触れることができてとても嬉しいです。


最後に、今回の演奏会の聴きどころを教えてください。


 古典派の楽曲は構成や和声が比較的かっちりとしているので、普段クラシック音楽をあまり聴かない方にも「クラシックを聴いた」と思ってもらいやすいのではないでしょうか。しかし、形式に裏打ちされた安心感のある音楽のなかに、作曲家ならではの個性が詰まっているのが古典派の音楽の大きな魅力です。今回もベートーヴェン、モーツァルト、ロッシーニの“らしさ”が存分に発揮されている素晴らしい曲揃いですので、そういう部分までお伝えできる演奏会にできればと思っています。


平井 格 (ひらい ただし)


奈良県生駒市出身。

京都大学経済学部卒業後、大手進学塾勤務を経て、現在は家業の林業関係の仕事に携わるとともに、家庭教師や塾講師として主に中学受験指導にもあたる。

幼少よりピアノを習い始め、現在も続ける。京都大学交響楽団入団と同時に打楽器を始める。MyシンバルはArtisan Traditional Symphonic Medium Heavy Extra Dark 20''(SABIAN)。