約40年ぶりの大改革!
皆さんこんにちは!
住センターの鈴木です。
相続法(民法の相続部分)が1980年以来
約40年ぶりに大幅に改正されました。
改正の中でも特に「配偶者居住権の保護」と
「遺言制度の見直し」は注目ポイントとなっております。
まず、残された配偶者への配慮として新たに設けられた
のが「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」です。
◎配偶者短期居住権とは、被相続人の所有していた
建物に相続開始時に配偶者が居住していた場合、
遺産分割が終了するまでの間、無償で住み続ける
ことができる権利です。
従来、被相続人と配偶者の間で使用貸借契約が
成立していたと推認がなされ、
被相続人が亡くなった後も配偶者はそれまで同様
住み続けることができるとされてきました。
しかし、遺言によって第三者に建物が遺贈される
ことになっていた場合、推認が成立しません。
そのため、配偶者が居住できないケースが
しばしば起こりました。
新設された配偶者短期居住権によって、
配偶者が建物を相続できない場合でも
新たな所有者から居住権消滅請求を受けて
6か月は住み続ける権利が保障されました。
配偶者は突然に家を追い出されることを免れ
その間に方策を講じることができます。
◎配偶者居住権とは、基本的に終身の権利です。
登記事項にもなり第三者に対抗できます。
あくまでも「居住」だけを認めるもので
所有権を伴わない権利になります。
この権利のポイントは配偶者の保護です。
例えば相続財産8000万の内、4000万が自宅とします。
相続人が配偶者と子ども1人として法定相続分で分割すると
配偶者:自宅4000万円 子ども:現金4000万円
上記のような分け方になりがちです。
これでは配偶者には現金が配分されません。
そこで、遺産分割の時に、自宅の所有権ではなく
配偶者居住権を取得することにするのです。
配偶者居住権の算定方法は、固定資産税評価額や
賃料から算出する方法が提案されています。
仮に、配偶者居住権が2000万だとすると
配偶者は現金2000万も相続時に主張できます。
所有権ー配偶者居住権=2000万となりますので
子どもも現金を2000万相続すると半分ずつになります。
◎その他
生前贈与は相続開始前10年間については
遺留分計算基礎に算入することが明記されました。
◎自筆証書遺言の方式緩和
近年、「終活」が流行っています。
自筆証書遺言では従来、全文自署で
作成する必要がありました。
改正法では、財産目録はパソコンでの作成や
通帳のコピーが認められるようになります。
また、作成した遺言書を法務局で保管可能になります。
画像データも全国の法務局で共有されます。
これにより、紛失や第三者の書き換えリスクがなくなり
開封時の家庭裁判所の検認も不要となりました。
ただ、公正証書遺言のほうが煩雑でハードルが高い
ですが、効力は自筆証書遺言より強力でしょう。
他にも細かい点はありますが、時代に合わせて
法律が変わるのは歓迎すべきですね。