ZIPANG-10 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その76)日本各地の姥神たち・秋田県正乗寺 【寄稿文】廣谷知行
以前その22※で秋田県の姥神像たちをいくつか紹介しましたが、今回は同県のその他の姥神像として、由利本荘市の正乗寺を紹介します。
・由利本荘市
秋田県由利本荘市は、秋田県の南西部に位置する人口約7万人の、秋田県最大の面積の市です。平成17年に本荘市、八島町、岩城町、由利町、西目町、鳥海町、東由利町、大内町の8市町が合併してできました。
特産品として本荘うどんがあり、秋田県で有名な稲庭うどんよりも歴史があるとされ、一説では稲庭うどんのルーツとも言われるようです。
南は標高2,236メートルの鳥海山、西側は日本海に面し、登山や海水浴など自然を楽しむ観光地が充実しています。
・正乗寺
正乗寺の鳴き龍 拍手すると反響音で龍が鳴くように聞こえます
同市藤崎に貞観8(866)年からあったと伝えられる、本荘領内三十三観音第十八番札所の正乗寺があります。山門の立派な仁王像、境内の本堂の裏に美しく整備された庭園などが同寺の見どころとなっています。
この寺の本堂前廊下天井に龍の絵が描かれていて、日光の東照宮や京都の相国寺と同じように、その下で拍手すると反響音で龍が鳴くように聞こえます。この天井画は昇降龍図として、本荘藩の絵師だった増田九木の養子である、増田松洞の嘉永4(1851)年の作であり、いわゆる鳴き龍として、由利本荘市の有形文化財として指定されています。
・奪衣館と優婆明王
正乗寺の奪衣館
奪衣館の姥神像
脇にある姥神像1体目
脇にある姥神像2体目
同寺の山門の手前に奪衣館があり、中に優婆明王や藤崎の優婆様と呼ばれる姥神像が置かれています。その由来はわからなくなってしまっていますが、享保年間(1716~1736年)に勧請されたとされ、その腹中には大日如来が収められているそうです。中心にある1体の像の他、その両脇にも像があり、全部で3体の姥神像が置かれています。おそらくですが、中心のもの以外の2体の像は、出開帳のためにあったのかもしれません。この堂は毎年お盆の8月14日に開帳し、法要が行われています。
姥神像と一緒にある閻魔像
像の周りには姥神像よりも小さいですが、閻魔像や十王像も置かれています。堂の名前も“奪衣”館であることから奪衣婆としての認識もあるのかと思われますが、“姥”の字が“優婆”となっていることや、胎内仏として大日如来を内包していることから、その13で紹介しました新潟県出湯温泉の姥神信仰と関係性が深いのではないかと考えられます。おそらく出湯温泉の姥神を勧請したのではないでしょうか。
山門前、参道横にこの姥神像を祀った堂があるので、もしかしたら境界の意味もあるのかもしれませんが、堂の中に祀られ、出湯温泉の優婆尊との共通点も多いことから、出湯温泉と同じく本尊-姥神型として祀られていると考えられます。
「姥神像」関連情報(その22)・(その13)
※ZIPANG-4 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その22)小野小町ゆかりの地に建つ小町堂と奪衣婆の石像・・・【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/10517556
秋田県の小町伝説
先般、第99代目の首相となる、菅首相が誕生しました。その菅首相の出身地は秋田県湯沢市ということで、地元は大いに沸いています。
この湯沢市にある小野地区は、小野小町ゆかりの地であり、小町が生まれた場所とされ、さらに晩年帰ってきて生涯を閉じたところと伝えられています。同市旧雄勝町には立派な小町堂もあり、近くにある道の駅は、「おがち小町の郷」という名になっています。この、道の駅の敷地内に奪衣婆の石像が設置されており、これは、前回述べた小町百歳像の関連で置かれているものだと考えられます。
ZIPANG-4 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その13)新潟五頭山麓 羽黒地区『優婆堂』優婆尊縁起によると…【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7504639
姥神(うばがみ)とは
姥神の定義の説明の前にまず、奪衣婆の説明をさせていただきたい。 奪衣婆とは、死後にあの世へ渡るための三途の川の岸辺にいて、亡者の衣を脱がせる存在である。なぜ脱がせるのかと言うと、その衣を衣領樹(えりょうじゅ)と呼ばれる木の枝にかけるためである。そうすると生前の罪の大きい者は枝が大きく下がり、小さい者はほとんど動かない。亡者の罪はその衣に重さとなって染み込んでいることになる。衣領樹は罪を量るはかりであり、それを審査するのが奪衣婆である。
華報寺共同浴場
開湯から1200年。 県内最古の歴史を誇る弘法大師伝説の温泉。そのお湯は、今もこの華報寺境内の共同浴場の源泉として湧き出ています。
男女浴場仕切り壁の岩上には弘法大師像が見守っておられます。
新潟県阿賀野市、五頭連峰の麓に五頭温泉郷があり、そのひとつが出湯温泉です。華報寺を中心に湯治場がつくられ、古くから湯治客で賑わっていました。
開湯は大同4(809)年に弘法大師(空海)が五頭山を開山したとき、出湯温泉で杖をついて湧出させたとされ、新潟県では最も古い歴史がある温泉です。
周辺からは縄文時代の土器や鎌倉時代の石碑などが見つかっていますので、少なくとも古くから集落が形成されていたと考えられます。
次回に続く・・・
寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家
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発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
アーカイブ リンク記事をご覧ください。
秋田県男鹿市 神事『柴灯祭』と伝統行事『ナマハゲ』
みちのく五大雪まつりのひとつ「なまはげ柴灯(せど)まつり」は、秋田県男鹿市北浦(おがし きたうら)の真山(しんざん)神社で行なわれる男鹿の冬を代表する冬祭りとして昭和39年に始まり、毎年2月の第二金・土・日の3日間開催されます。
この祭りは神事「柴灯祭(さいとうさい)」と民俗行事「なまはげ」を組み合わせた冬の観光行事です。 真山神社境内に焚き上げられた柴灯火のもとで繰り広げられる勇壮で迫力あるナマハゲの乱舞は見る人を魅了します。
なまはげ とは
「なまはげ」は男鹿に古くから伝わる民俗行事で、大晦日に男鹿市内の約80の集落において行なわれています。 なまはげは年に一度、各家々を巡り、悪事に訓戒を与え、災禍を祓い、祝福を与えて去っていきます。
「怠け者はいねが、泣ぐ子はいねが」と練り歩く姿はよくご存知かと思います。 この行事は昭和53年に「男鹿のナマハゲ」の名称で国の重要無形民俗文化財に指定されています。
まつりの行事 (C)男鹿なび
鎮釜祭・湯の舞 18:00~/広場入口
(詳細・画像は下記のURLからご覧ください。)
ZIPANG TOKIO 2020「秋田県男鹿市 神事『柴灯祭』と伝統行事『ナマハゲ』~なまはげ柴灯(せど)まつり~」のご案内
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1912670
秋田県 共創プロジェクト始動!
「大館市、にかほ市、美郷町、湯沢市」
秋田県にかほ市 田植え時期の鳥海山
日本百景「鳥海山」の麓に広がる山・高原・海に囲まれる、自然に恵まれたにかほ市。ジオパークならではの自然スポット、トレッキング、登山、森林浴、散策はもとより、豊富な旬の幸は魅力的。
しかし、まだまだ良さが伝えきれていない。近隣県や地元の人にももっとこの豊かさを楽しんでほしい。新しい魅力を生み出したい。初めて訪れる人も楽しめる”自然の恵みのエンターテインメント”化を目指したい。
道の駅「ねむの丘」から、ふれあいや出会い、発見や体験に気づき、そして愛着あるにかほ市としての魅力を引き出し、賑わいをつくり出す。
募集アイデア例:
・日常と非日常の境界を越えた「恵み体験」の魅力と賑わいづくり
・”にかほ市まるごと発見”新たな観光スポットの発見と発信
・観光客ひとりひとりとコミュニケートするデジタルソリューション など
(詳細・画像は下記のURLからご覧ください。)
ZIPANG-6 TOKIO 2020 秋田県「大館市、にかほ市、美郷町、湯沢市」共創プロジェクト始動!『AKITA TOURISM INNOVATION BUSINESS BUILD 2022』
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/37758379/
~不思議な不思議な町 遊佐・ゆざ~
山形県 遊佐町 鳥海山
鳥海山は、山形県と秋田県の県境にあって、日本海に面し、標高2,236メートル。またの名を出羽富士とも呼ばれ、山麓周辺の人々の守り神として、古くから崇められてきました。
鳥海山が「日本の名峰」第7位に選ばれました
NHKが視聴者の投票で決定した「日本の名峰」で、鳥海山が7位に選ばれました。富士山や穂高岳、剣岳など日本アルプスの山々と並ぶ日本を代表する山になりました。独立峰としては東北で1番の高峰です。
鳥海山は、昔(標高2,237m)でした。誰かが1mの石を持って降りたのか? 今もこの数字になっている昔のお土産が残っている家があるそうです。その頃は「夫婦で見な」と覚えたそうです。(因みに富士山は「みななろ」で、3776メートル)それが、2,236メートルになり、「夫婦で見ろ」に変わったそうです。
鳥海山は出羽富士と呼ばれています
秋田県横手市の方向から鳥海山を望むと富士山みたいに見え、また庄内地方からだと二つ山に見え、見る方向からいろんな形に見えるので楽しめますよ。
近くの国道は、ルート7(青森~新潟)。
鳥海山は、山形県と秋田県の県境に位置し鳥海山の高いところは、山形県遊佐町になっています。
影鳥海は、早朝東の空に雲が無い時、山頂で見ると日本海側に山頂のシルエットが浮かびます。山小屋に前日泊まってから登ってご覧下さい。
彼の心字雪渓は、山肌に心の文字が雪で浮かびます
(7~8月頃)暖冬などで万年雪が融ける場合もありますが、湯の台口から登り、河原宿周辺に夏でも雪があります。
春の種まきシーズン(4月下旬~5月上旬)山肌に雪が溶けて、種を蒔いているお爺さんの姿が出てくると、田植えや畑の種まきの時期、お爺さんのとなりにお婆さんもいると言われています。
鳥海山の初冠雪は、10月9日頃です
鳥海山の春スキーは、大平からの登山道登り口4月下旬~5月いっぱいまで楽しめそれ以降は、滝の小屋近くで皇族用に作られたコースで滑走できます。