Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

青と檸檬

Sea bottle

2019.02.05 06:42

くたびれたスニーカーを引きずりながら


ようやく


地球の果ての砂を踏む


幾重にも幾重にも幾重にも



覗き見た海鳥が騒ぎ立てる


新月の度、安いウイスキーの空き瓶に詰めた願い事


思い出さないようにと固く栓をしていたのに


昨日、とうとう溢れてしまった


空の天辺が宇宙と交わって、青い


風鳴りに何かを突き立てるように


心臓によく似た重さのそれを、振りかぶる



「                                                   」



…ああ


そうか



企みは叶わなかった


右手はいつのまにか目の前にあった




瓶の栓を、開ける




しゃがみこんで、爪先に追いすがる白い波の縁に、茶色く変色した瓶の口をあてがう


古い期待の成れの果てが、ガラスの檻からするすると逃げる


夜に擦り切れた嗚咽が


鈍い痛みが


愛されたがった誰かが


歓声が

歓声が

歓声が


碧に散らばって、波間に消えた


ふたたび空っぽになった瓶には


代わりに海が流れこんだ


忘れないように、ふわり、栓をして


太陽に翳してほほえむと


赤い魚が瓶の中をくるりと回った




心臓は、あおく澄んだ音をたて、