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Lawyer Takahiro Kitagawa

祭祀財産

2019.02.05 09:28

【ざっくり説明すると…】 


→先祖のお墓は“遺産”として考えない


→「祭祀承継者」という人が

先祖のお墓を引き継ぐのは「祭祀承継者」という人


→相続した遺産に税金がかかるのかどうかは

基礎控除額を上回っているかどうかがポイント!



先日、テレビ番組で、

日常生活の中でうっかり

やってしまいそうな行為が

有罪になるのか

無罪になるのかについて、

僭越ながら

解説させていただきました。


これまでは

各事例について

有罪か無罪か、という観点から

解説させていただきましたが、

今回は、時間の関係で

放送されなかった

「先祖代々のお墓には

相続税がかかるのか」

という問題を

簡潔に

わかりやすい言葉で

噛み砕いて説明したいと思います。 




まず、「相続税」(そうぞくぜい)

というものについて

説明します。


たとえば、自分の親が亡くなってしまったとき

その親が持っていた

お金や家などの“遺産”は

誰のモノになるのか、わかりますよね。


以前のブログでも説明したように

基本的には子供たちに

受け継いでもらっていくことになります。


その“遺産”を受け取ったことども達は

得をしたことになるので

そのときに、

たくさん“遺産”をもらっている場合には

「相続税」といって

税金がかかることになっています。


親がどのくらいの“遺産”を持っていたら

税金がかかってしまうかというと、

現時点での基準は、

【3000万円+(相続する人の人数 × 600万円)】

となっています。


ですので、この「基礎控除額」

(きそこうじょがく)よりも

多く“遺産”が残っていた場合には

基本的には相続税という

税金を支払わなければならなくなります。


その場合には、

基本的には

親が亡くなったタイミングから

10ヶ月以内に

税務署に相続税の申告をして

税金を支払わなければなりません

10ヶ月間は、意外と

あっという間に過ぎてしまいますので

注意が必要です。


ですので、

「ウチの親、家とかお金とか、

結構残しているなぁ…」

と思った方、

なるべく早めに

税理士に相談したほうがいいと思います。



よく、税金についても

弁護士に相談してくる方もいたりしますが

税理士のほうが詳しいので

間違えないようにしてください!


「法律」は弁護士、

「税金」は税理士、

「不動産の登記」は司法書士、ですかね!




さて、話を

先祖のお墓に戻しますね。


たくさん“遺産”を持っていると

相続税を支払わなければならないと

説明しました。


では、結構お金をかけて作った

立派な先祖のお墓は

この“遺産”として考えるのか、

という点が問題になります。



結論から申し上げますと

先祖のお墓は

“遺産”としてカウントしません。


これは、民法という法律に書いてあって、

簡単に説明すると

“お墓とか、仏壇とか、

祖先を大切にするためのモノについては、

祖先の法事をやることを任せられた係の人が

大切に受け継いでください”

というルールになっています

(民法897条)。



“お墓とか、仏壇とか”のことを

難しい言葉でいうと

「祭祀財産」(さいしざいさん)

といい、

“祖先の法事をやることを任せられた係の人”

のことを

「祭祀主宰者」(さいししゅさいしゃ)

といいます。



祖先のお墓は

相続のルールで受け継ぐのではなく

“祖先の法事をやることを任せられた係の人”が

受け継ぐことになるので

そもそも、相続税がかかる“遺産”とは

考えないんですね。


ですので

「親のお葬式は私がやってあげたいな…、

でも、祖先のお墓を引き継いだせいで

税金がかかってしまうのはイヤだな…」

と悩む必要はありませんので

安心してください。



先祖代々のお墓には

相続税がかからない理由、

ご理解いただけましたでしょうか。




ようやく、ようやく

このシリーズが終わりました

長かったです。。。


次回以降は

私のTwitterでご質問いただいた内容に

詳細な解説をしていく予定です。




なるべく難しい言葉を

使わないようにと心掛けるがあまり

逆にわかりにくくなって

しまったかもしれません。


また 専門家の方、

法律の勉強をされている方にとっては

あまりに稚拙で言葉足らずで

説明不足であることも 重々承知しております。


ただ、このブログのコンセプトは

まったく法律を知らない方にとって

少しでも興味を持っていただく

きっかけになればと思い

始めたものですので

どうかご容赦いただけばと思います。