「The hare of Inaba」千海博美
2025.04.29 04:01
千海博美さんは、今回のオマージュ展ではイワン・ビリービンへのオマージュ作品を制作して下さりました。
当店でも2023年に個展をさせて頂いたのでご存じの方も多いかと思いますが、千海さんは木版(ラワンベニヤ)に彩色をし、そこから掘って文様などを刻み、画面を作っていくスタイルで制作をされています。
オマージュをしたイワン・ビリービンは(1876-1942)はロシアの絵本作家、イラストレーターです。
フォークロア的な装飾性とアール・ヌーヴォーが調和したような芸術性の高い絵で、ロシアの民話などの絵本を制作しました。
その絵本は帝室文章印刷局(当時の通貨などを印刷していた国営の印刷局)で、技術の粋を集めて印刷された多色石版画印刷で非常に美しく、絵本の歴史の中でも印刷の面では、今なおその最高峰と呼ばれるものです。
千海さんはビリービンをオマージュするに当たり、そのビリービンが強く関心を持っていたロシア民話への思いに注目し、掬い取り、それを日本で作家として活動する自身に置き換え、日本の神話「因幡の白兎」へと転移、昇華させ、作品として表現しました。
良く知られた日本神話でありながら、千海さん特有の無国籍な感触が混じり合い、独特な、千海さんにしか描き得ない、唯一無二の力強い、ビリービンへのオマージュ作品になっています。
千海さんの、ビリービンをオマージュすることへの思いは、本展の図録に詳しく載っておりますので、こちらもぜひご覧くださいませ。
千海さんの作品、オマージュ展の図録はオンラインストアでもご覧いただけますので、遠方の方はぜひオンラインストアをご利用くださいませ。