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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

オルレアンの少女1-現代に生きる聖女ジャンヌ

2019.02.06 11:12

ジャンヌ・ダルク、彼女ほどさまざまにとりあげられた女性は珍しい。現代に至っても映画でリュック・ベッソンは、イスラム聖戦士のように描くと思えばMe Too運動にも関連している。実は彼女ほどわかっている中世人は珍しいが、彼女ほど違うように解釈された女性も居ないのだ。

カトリックではもちろん聖女だが、プロテスタントでも聖職の権威を否定したと評価。フランス右派のルペンが讃えれば、左翼も人権派も、権威にただ一人立ち向かった英雄とする。実に、墓のないジャンヌにそれぞれ勝手な墓碑銘をつける、と皮肉られる所以である。

生前にも詩人に謳われたジャンヌが、グローバル化するのは、実はシェークスピアの「ヘンリー6世」彼女は敵役で、当時の偏見そのまま魔女として描かれる。これがサブカルまで描かれる基となっている。これがフランスに逆輸入され、1762年啓蒙思想家ヴォルテールは中世の迷妄の象徴として面白おかしく描いた。

しかし一転、ナポレオンは「フランスの独立が脅かされるときには、優れた英雄が出て必ず勝利をもたらしてくれる」と、自分になぞらえて高くもちあげた。国民的英雄像はここで描かれたのである。

下はヘンリー6世の挿絵おどろおどろしいジャンヌ・ダルク