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立浪草の句

2025.05.09 07:57

https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496077629.html 【漣がさざめくごとく立浪草】より

漣がさざめくごとく立浪草( さざなみが さざめくごとく たつなみそう ) 

先日、植物園の森で、白い小さな花が固まって咲いているのを見た。名前は「立浪草(たつなみそう)」というが、その名の通り、小さな波が立っているような感じだった。

本日の掲句は、その様子を詠んだ句。中七は当初「ささやくように」としていたが、写真を改めて見て「さざめくごとく」と修正した。立浪草は夏の季語。

*ささやく:小声でものを言う。  *さざめく:ざわざわと音を立てる。

ところで、この立浪草は、遠くから見ると漣(さざなみ)のようだが、近くから見ると大きな波が立っている感じがする。葛飾北斎の波には及ばないが、結構迫力がある。

また、花色には紫やピンクのものもある。この方は、波というよりも藤の花が逆立っているような感じ。白い立浪草とはかなり趣が違い、華やかな感じがする。

余談だが、有名な北斎の波は、「富嶽三十六景」シリーズの「神奈川沖波裏」に描かれたもので、彼が70歳を過ぎてから制作したものだそうだ。そのバイタリティーの凄さには、本当に驚かされる。

彼は、数え年90歳で世を去るが、彼の最後の言葉と辞世の句は以下の通り。

天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得(う)べし

(もうあと5年長生きできたら、本当の画工になることができたものを)

人魂で行く気散じや夏野原    *気散じ(きさんじ):気晴らし

(人魂になって、夏の原っぱにでも気晴らしに出かけようか)

立浪草は、シソ科タツナミソウ属の多年草。原産地は日本で北海道を除く地域に自生する。花期は4月~5月。茎の先端に長さ約3cmの花穂をつけ、片側に偏って小花を咲かせる。内側には細かい模様がある。名は花の姿から付けられた。

イメージ 4

「立浪草」を詠んだ句はあまりないが、以下にはネットで見つけた句をいくつか掲載した。

【立浪草の参考句】

交む鳶立浪草に羽ばたけり   (阿波野青畝) *交む(つるむ)

逆巻ける怒濤立浪草の夢    (後藤比奈夫)

来し方や立浪草の群れゐたる (青柳志解樹)

そろひたる立浪草の波がしら (片山由美子)

日を恋へる立浪草の前屈み   (加藤耕子)


http://blog.sankouan.sub.jp/?eid=1067942 【立浪草】より

柔らかく濡らし立浪草に雨 杉竹         立浪草夜半に越えくる夢の影 杉竹

風吹けば立浪草の咲く岸や頼まぬもののよる舟もなき 横雲

花園に立つ紫の波がしら寄せる思いを君に見せたい やゑ

タツナミソウは、シソ科タツナミソウ属の多年草で、本州、四国、九州の野原や丘陵に自生する。葉はハート型で対生する。高さ20~40センチ。五月ころ茎の頂点に多数の紫色の唇形花を穂状につける。

青または紫色の小花は上の方に飛び出そうとしているような形で、その花の形状が波の寄せくるようすに似ているところから、この名がつけられた。”波立つような”とは見事なネーミング。白い花の品種もある。

仲間にコバノタツナミソウ(小葉の立浪草)、オカタツナミソウ(丘立浪草)がある。

別名はヒナノシャクシ(鄙の杓子)。中国名は花の形が似ていることから「耳署]と呼ばれている。「耳署]とは耳かきのことである。《季 夏》

「立浪」の言葉から、伊勢物語の中の「筒井筒」の一節が思い出される。

さて、年ごろ 経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともに いふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所いできにけり。さりけれど、このもとの女、悪しと思へる気色もなくて、いだしやりければ、男、異心ありてかかるにやあらむと思ひ疑ひて、前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、この女、いとよう化粧じて、うちながめて、 風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ

と詠みけるを聞きて、かぎりなく かなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。

まれまれかの高安に来てみれば、初めこそ心にくくもつくりけれ、今はうちとけて、手づから飯匙取りて、笥子のうつはものに盛りけるを見て、心うがりて行かずなりにけり。さりければ、かの女、大和の方を見やりて、 君があたり見つつを居らむ生駒山 雲な隠しそ雨は降るとも と言ひて見出だすに、からうじて、大和人「来む。」と言へり。喜びて待つに、たびたび過ぎぬれば、 君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞ経る

と言ひけれど、男住まずなりにけり。

 屈み見て立浪草の濤のさま 森重昭

 浮世絵の浪と立浪草の浪 後藤比奈夫

 そろひたる立浪草の波がしら 片山由美子

 巻ける怒濤立浪草の夢 後藤比奈夫


https://www.haiku-dictionary.com/tatsunamiso/ 【立浪草(たつなみそう)の季語を使った俳句・短歌・川柳】より

「立浪草」を使った俳句・川柳

・立浪草 揺れて風知る 春の野     ・朝露に 輝く姿 立浪草

・夏の日差 立浪草の 紫に       ・立浪草 蝶の舞台と なりにけり

・野道には 立浪草の 香りあり     ・立浪草 咲いて里の 賑わいぬ

・秋風に 立浪草の 種散るも      ・立浪草 月影揺らす 夜の庭

・朝もやに 立浪草の 影ぼやけ     ・立浪草 虫の音色に 寄り添いて

・野茶屋にて 立浪草の 茶を味わう   ・立浪草 雨上がりの 輝きよ

・夕暮れに 立浪草の 紫かな      ・立浪草 蜜蜂集う 昼下がり

・山里に 立浪草の 群生す       ・立浪草 露に濡れたる 朝の美

・夏の宵 立浪草に 蛍飛ぶ       ・立浪草 風に揺られて 歌うごと

・野原には 立浪草の 絨毯か      ・立浪草 秋の陽射しに 色鮮やか

※立浪草(たつなみそう)は、本来「夏の季語」「植物を表す季語」ですが、生成時に別表現が混在している可能性があります。ご了承ください。

「立浪草」を使った短歌

・立浪草 揺れる野原に 佇みて 風の調べに 耳を傾く

・朝露の 玉を纏いし 立浪草 太陽の光 受けて輝く

・立浪草 紫の花 咲き誇り 蝶の羽音も 軽やかに舞う

・夏の日に 立浪草の 香りつつ 野道を行けば 心和らぐ

・立浪草 群生する野 眺めつつ 里の営みを 想い馳せる

・秋風に 種を飛ばせる 立浪草 来年もまた 咲く約束か

・月明かり 立浪草に 降り注ぎ 幻想的な 夜の風景

・立浪草 朝霧の中 佇めば 幽玄の世界 心に広がる

・虫の音に 寄り添うように 立浪草 夜の静けさを より深めけり

・立浪草 茶の香り立つ 野点にて 一服の間の 贅沢を知る

・雨上がり 立浪草の 葉の上に 虹色に輝く 水滴の玉

・立浪草 夕陽に染まる 紫の 花びら揺れて 哀愁を帯ぶ

・蜜を求め 蜂が飛び交う 立浪草 生命の営み 感じる昼下がり

・山里の 畦道に咲く 立浪草 古き良き日々 偲ばせてくれ

・立浪草 露に濡れたる 姿見て 自然の美しさ 心に刻む

・夏の宵 立浪草に 蛍飛び 幻想的な 光の饗宴

・立浪草 風に揺られて 歌うごと 野の調べには 耳を澄ませる

・野原には 立浪草の 紫の 絨毯広がり 心癒される

・立浪草 秋の陽射しに 色鮮やか 移ろう季節 感じる瞬間

・立浪草 咲く野辺に立ち 深呼吸 大地の恵みを 全身で感じる