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走り根

2025.05.10 07:52

https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496081420.html 【走り根が掴む落葉の地球かな】

■ 走り根が掴む落葉の地球かな  ( はしりねが つかむおちばの ちきゅうかな )

先日ある古いお寺の参道を歩いた時に、大きな杉の木の根が土の上を這っているのを見た。

見たと行っても、何度も見ている光景なのだが、この根のことを何と言うか知らなかったのでネットで調べてみた。

いろいろと検索してみると、俳句では「走り根(はしりね)」と呼ばれており、いろいろな俳人がそれを詠んでいることが分かった。

ただ、辞書にはそのような説明がなく、盆栽用語として、「土中において、他の根に比べ極端に長く伸びた根のこと。」と説明されていた。

明らかに、地表に浮き出た根とは違う説明。どうも俳句で使う「走り根」は、一般的な言葉としては定着していないようだ。

本日の掲句は、そんな「走り根」を詠んだものだが、原句は以下の通り。

    走り根が大地をしかと掴みおり

ただ、「走り根」は季語ではないので、中七に冬の季語「落葉」を入れた。また、「大地」も思い切って「地球」に変えた。

因みに、「走り根」に関して過去に詠んだ句はないが、他の俳人が詠んだ句はままある。以下には、その中から何句かを選んで掲載した。

     【走り根の参考句】

      露店立つ前を走り根秋まつり (皆吉爽雨)

      走り根の走り止まざる冬の崖 (山田 弘子)

      奔放な鞍馬の走り根五月闇   (檜紀代)

      走り根につまづくことの山始   (福永耕二)

      喬木の走り根ひそむ落葉みち (高澤良一 )*喬木(きょうぼく)=高木


https://yujyaku.blog.fc2.com/blog-entry-293.html【 走り根の雪に埋もるる古刹かな】より

■ 走り根の雪に埋もるる古刹かな  ( はしりねの ゆきにうもるる こさつかな )

昨日は「安楽寺」の火災について記載したが、その日は、その近くにある「法然院(ほうねんいん)」を訪れた。

この寺には時々訪れるが、この日は、薄っすらと雪が積もっていて、境内に植えてある樹々の走り根も雪に埋もれていた。

【法然院】 京都市左京区鹿ヶ谷にある浄土宗系の寺院。鎌倉時代に、法然が弟子たちと共に六時礼讃行を修した草庵に由来する。河上肇、谷崎潤一郎などの著名な学者、文人、画家の墓が数多く存在することでも知られている。

本日の掲句は、そんな様子を詠んだものである。尚、「走り根」は季語でないので、本句では「雪」が冬の季語。

ところで「走り根」を辞書で調べると、盆栽用語として、「土中において、他の根に比べ極端に長く伸びた根のこと。」と説明されている。

俳句では、もっぱら「地上に出て広がっている木の根」のことを指すが、辞書にはそういう説明は載っていない。

どうも、一般的な言葉としては定着していないようだが、俳句では勢いのあるものの喩えとして昭和末期辺りから使われ始めている。その先駆が以下の句。

   走り根の起って丹波の時雨かな   (鷲谷七菜子)

因みに、「走り根」に関しては過去に以下の句を詠んでいる。

   走り根が掴む落葉の地球かな

走り根は、地を這って伸びるが、見ようによっては地球をがしっと摑んでいるように見える。

「走り根」は季語になってないが、それを詠んだ句はままある。本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外のものを選んで掲載した。

    【走り根の参考句】

     篠竹の走り根あをき雪間かな (本宮哲郎)

     走り根を洗ひて夏の雨あがる (高澤良一)

     走り根の岩を割りたる山桜   (北村保)

     走り根のこぶを山とし蟻の列  (中雄兆香)

     大楠の走り根脈打つ夏隣    (川崎慶子)


https://blog.goo.ne.jp/take10nbo/e/87a5a936f121c8c5a37f875cf6dcc6ea/?img=490f12b773645265324a74eddc71b5f0 【黄落の走り根つづく奥の院  流伴】より

黄落の走り根つづく奥の院

日光の奥の院は眠り猫の脇から狭い道を上る この急な坂の風情が四季おりおりになかなか良い 冬の雪道も良いがやはり秋が最も味わい深い  走り根を踏みながら黄落を身に受けてすすむ 行きつくとあっけないほど粗づくりの奥の院がある

原句  走り根の階のぼる紅葉やま

紅葉山を具体的な地名にした 奥の院は日光の外にも共通するだろう


https://shashin-haiku.blog/archives/photo/%E8%B5%B0%E3%82%8A%E6%A0%B9%E3%81%AE%E7%B5%A1%E3%82%80%E6%A8%B9%E6%B5%B7%E3%82%84%E3%81%9D%E3%81%9E%E3%82%8D%E5%AF%92 【走り根の絡む樹海やそぞろ寒】より

走り根の絡む樹海やそぞろ寒 自由句  はしりねの からむじゅかいや そぞろざむ

季語:そぞろ寒(秋) 富士山・青木ヶ原樹海

今から約1200年前、富士山の噴火で 流れた溶岩の上にできた森。苔むした岩を抱くように根が伸びています。何となく恐る恐る入って行きました。

遊歩道は変な風が吹いているようで!!右も左もこんな風景なのでガイドツアーじゃなかったら絶対無理^^;  ※思い出の写真より