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ダンス評.com

Nibroll(ニブロール)、矢内原美邦「悲劇のヒロイン」東京芸術劇場 シアターウエスト

2019.02.09 13:17

「悲劇のヒロイン気取り」な女性5人の姿を描き出した、ダンスというよりは演劇として見られる作品。

開演前、舞台上のスクリーンには浜辺の海の映像が流れている。開演後の映像などの美術、照明もよく作り込まれていた。

子ども時代の母との思い出や、行こうと思っているうちに時がたって結局行かずじまいの花火大会などについて女性たちが語る。いわゆる「イタイ」女性たちの物語に思える。

衣装は主に黒、白、赤。照明で真っ赤になった舞台は、血に染まったようだ。

服を取っ替え引っ替え、体に当てていくさまは、自分に似合いそうな見せ掛けの姿を次々と試しているようだ。でも、ぴったりの服は見つからない。

見せ掛け、言い訳、後悔。決して美しくはない、むしろみにくいどろどろしたものが垂れ流される。

終盤の、「~は私のせい」「~は私のせいじゃない、誰かのせい」というせりふの連呼が強烈だった。濃密な緊張感。

マッチを擦って火をつけ、せりふを言ったら消す。5人が順番にこれを繰り返すシーンは、ぴたりとタイミングが合っていて、よほど練習して神経を研ぎ澄ましていなければできないのではないかと思った。

マッチを何度もつけるので煙の匂いがしてくる。そして最後に映像で炎が出て、焼き尽くされて、静かになるイメージだろうか?

俳優たちが全員、高い集中力で高いレベルの演技をしていたと思う。

踊りの部分は、物を投げたりする「日常的な動き」も多いが、その中で自分の体を執拗にたたくのが印象的だった。体の中からほこりをたたき出そうとでもしているよう。

聞いていると不愉快になる言葉が多いが、最後は、この人たちは本当は何を思っているんだろう?何を求めていたんだろう?と気になってきた。


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振付・演出:矢内原 美邦

出演:笠木泉、川田希、光瀬指絵、皆戸麻衣、望月めいり

映像・美術:高橋 啓祐

音楽:SKANK/スカンク

照明:岡野昌代(PICOLER)

上演時間:約1時間10分

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※下記画像は下記サイトより。