■ 「対象の内面化」とは何か 対象の内面化(internalization of the object)とは、愛した人の言葉や価値観、態度が、自分の心の中に残る心理的プロセスである。恋人が目の前からいなくなっても、彼(彼女)がしてくれた言葉や存在は、自分の中で“内的対象”として息づく。 加藤は『なぜか恋愛がうまくいかない人の心理学』において、喪失体験とは「自我の再構成を促す出来事」であり、それを経て人はより“全体的な自己”に近づいていくと記す(加藤, 2018)。つまり、恋人という“外部にあった愛”を、自らの内部に取り込むことで、人は自己治癒を始めるのだ。