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ZIPANG-3 TOKIO 2020「元伊勢 籠神社と神宝」

2019.02.10 14:35

はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


籠神社御本殿

籠神社御拝殿


元伊勢 籠神社


御祭神

主祭神 彦火明命(ひこほあかりのみこと)

別名を天照国照彦火明命ともいう天孫邇邇藝命の兄弟神。天祖から息津鏡・邊津鏡を賜り、当社海の奥宮である冠島に降臨され、丹後・丹波地方に養蚕や稲作を広め開拓された神様。


相殿
豊受大神(とようけおおかみ)
天照大神(あまてらすおおかみ)
海神(わたつみのかみ)
天水分神(あめのみくまりのかみ)


御由緒

神代と呼ばれる遠くはるかな昔から奥宮の地眞名井原に匏宮(よさのみや)と申して豊受大神をお祀りして来ました。その御縁故によって第十代崇神天皇の御代に天照大神が倭国笠縫邑からお遷りになり、天照大神と豊受大神を吉佐宮(よさのみや)という宮号でご一緒に四年間お祀り申し上げました。その後天照大神は第十一代垂仁天皇の御代に、又豊受大神は第二十一代雄略天皇の御代にそれぞれ伊勢にお遷りになりました。それに依って当社は伊勢神宮内宮の元宮、更に外宮の元宮という意味で「元伊勢」と呼ばれております。


両大神が伊勢にお遷りの後、御本宮を奥宮眞名井神社(吉佐宮)の地から、現今の籠神社の地へお遷して、社名を吉佐宮から籠宮(このみや)と改め、養老三年に、天孫彦火明命を主祭神としてお祀りしました。


旧社名の匏宮の「匏(よさ)」と吉佐宮の「吉佐(よさ)」という宮号は現在も郡名(与謝郡)や海の名称(与謝の海)となって継承されて来ております。


社殿様式(神社建築最古の様式)

写真(左)神明造り。(右)五色(青、黄、赤、白、黒)の座玉(すえたま)

御本殿は伊勢神宮と同様の神明造りで、御本殿の勝男木は十本、千木は内そぎになっています。 心御柱や棟持柱があり、特に高欄上の五色(青、黄、赤、白、黒)の座玉(すえたま)は、伊勢神宮御正殿と当社以外には拝せられないもので、日本神社建築史上特に貴重なものとされています。


これは山陰道第一の大社として、古来の御神徳・御社格を象徴するものであります。
神明造りのお社は他にもありますが、規模・様式とも伊勢神宮御正殿の様式に近似しているお社は当社以外にはなく、当社と伊勢神宮が古代から深い繋がりにあったことを物語っています。


社格(延喜式における社格)

当社は延喜式社格の中で山陰道八カ国(但馬・丹波・丹後・因幡・伯耆・隠岐・出雲・石見)中、唯一の官幣大社であり、名神大社にも列していました。


延喜式社格とは平安時代(912年)に完成した法政書『延喜式』の「延喜式神名帳」に記載された神社の社格のことであります。社格は神祇官(中央)の管轄となる「官幣社」と地方官(国司)の管轄となる「国幣社」に分けられます。更に幣帛を案(神事用の机)の上に奉るか、案の下に奉るかの違いで大社と小社に分けられます。また、国家の事変に対して奉幣し、臨時祭のあった神社を名神社と云います。


「一の宮」と「総社」

「一の宮」とは一種の社格のことで、諸国において由緒ある神社や信仰の篤い神社の序列がおのずから生じ、その最高位に列するものが「一の宮」となりました。一方、「総社」とは国内の諸社祭神をすべてお祀りしたお社で国司が奉祭する神社を云います。当社は奈良朝以後、丹後国一宮に列し、同国の総社を兼ねました。


籠宮(このみや)名称起源

別名を彦火火出見命とも云われた彦火明命が、竹で編んだ籠船に乗って、海神の宮(これを龍宮とか、常世とも呼びます)に行かれたとの故事により、社名を籠宮と云うと伝えられています。



奥宮 眞名井神社


磐座主座


御祭神

豊受大神

産業、衣食住の神様。
月神の一面をお持ちであり、天御中主神と同神であると伝えられています。


御神徳

五穀豊穣 衣食住守護・諸業繁栄


相殿

罔象女命(みづはのめのみこと)
彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)
神代五代神(かみよいつつよのかみ)



磐座西座


天照大神(あまてらすおおかみ) 
伊射奈岐大神(いざなぎのおおかみ) 
伊射奈美大神(いざなみのおおかみ) 


御神徳

縁結び・夫婦和合 家内安全・延命長寿


磐座~古代から受け継がれる祭祀~

眞名井神社の裏には古代の祭祀形態である磐座(いわくら)が鎮座し、その磐座(神が宿る石)で神祀りが行われてきました。神を祀る常設の社殿(神社)が無い時代の人々は大きい木や岩石、島や川などに神々が籠もると考え、それらを崇拝対象として神祀りを行っていました。

眞名井神社境内地には縄文時代から人々が住んでいた証である縄文時代の石斧や掻器などが出土し、また弥生時代のミニチュア祭祀土器破片や勾玉が出土しています。

そのため眞名井原一帯は縄文時代から神聖な地と考えられ人間が生活を営み、神々をお祀りしていたことが窺えます。


天の眞名井の水


この水は籠神社海部家三代目の天村雲命が神々が使われる「天の眞名井の水」を黄金の鉢に入れ、天上より持ち降った御神水です。

天村雲命はその水を初めに日向の高千穂の井戸に遷し、次に当社奥宮の眞名井原の地にある井戸に遷しました。その後、倭姫命が伊勢神宮外宮にある上御井神社の井戸に遷されたと伝えられています。



神宝

海部氏伝世鏡


昭和62年10月31日に二千年の沈黙を破って発表し、世に衝撃を与えた。 邊津鏡は前漢時代、息津鏡は後漢時代のものである。この二鏡は、その由緒が国宝海部氏勘注系図に記載されており、二千年に亘って元伊勢の祀職たる海部氏が当主から次の当主へと代替わりごとに口伝を以て厳重に伝世してきた。


国宝

海部氏系図(平安初期)

籠名神社祝部海部直氏系図


昭和51年6月に現存する日本最古の系図として国宝に指定された。
この系図は、平安時代初期の貞観年中に書写されたいわゆる祝部系図(本系図)と、江戸時代初期に書写された勘注系図(丹波国造本記)とからなる。

本系図は、始祖彦火明命から平安初期に至るまで縦一本に、世襲した直系の当主名と在位年月だけを簡潔に記したいわゆる宗主系図である。稲荷山鉄剣銘とよく似た形式で、竪系図の最も古い形を伝えているといわれる。


これまで各当主名の上に押された28箇所に及ぶ朱印は未解明であったが、昭和62年夏、美術印刷に秀れた便利堂の色分解による解析写真撮影で印影が浮かび上がり、これを中世文書の権威である村田正志博士が解読して、「丹後國印」の文字であることが判明した。これにより本系図は海部氏が私的に作成したものではなく、作成の後に丹後國庁に提出して認知を受け、更にそれを大和朝廷に差し出した、いわゆる本系帳の副本であり得る事が証明された。

一方、勘注系図は本系図の省略箇所を補完するものとして同時に国宝に指定された。

始祖以来、平安期までの系譜が省略なく記載され、これに当主の事績を始め兄弟等の傍系に至るまで詳密な注記が付されている。その中には、他の古記録には失われている古代の貴重な伝承も含まれているといわれ、学会の注目を浴びている。


重要文化財

魔除狛犬(鎌倉時代)


魔除けの石造狛犬

社頭の狛犬は鎌倉時代の名作として、重要文化財に指定されている。 この狛犬はその昔、作者の魂が籠もり天橋立に暴れ出て通行人を驚かせていた。そこで仇討ちのために当地を訪れていた豪傑岩見重太郎が一夜待ち伏せ、剛刀で狛犬の脚に一太刀浴びせたところ、それ以来社頭に還り魔除けの狛犬として霊験あらたかになったという説話が残されている。

その刀傷が、阿形の狛犬の右前脚に今も残っている。




祭典・行事

4月24日

葵祭(例祭)

籠神社葵祭

懿徳天皇4年(紀元前507年)に始まったと伝えられ、「藤祭」と称しておりました。欽明天皇の御代に賀茂祭が「葵祭」と称せられるに及んで、當社でも「葵祭」と称されるに至ったと伝えられています。 当神社ともゆかりの深い京都の賀茂社の葵祭では、祭員が冠に葵の葉を付けるのに対し、豊受大神ゆかりの藤の花を挿すのが古例となっております。

祭の要となるのはご祭神の神霊をお遷しした鳳輦によるご神幸(お渡り)で、ご祭神の再誕(再生)を示す「御生れ神事」です。また、ご神幸の道中や祭典の前後に繰り広げられる平安時代以来の典雅勇壮な太刀振や神楽などの奉納行事(京都府無形民俗文化財)が、神の御生れを祝福すると共に神賑わいを盛り上げます。


『籠神社』について更に詳しくは、下記リンク先にてご覧いただけます。


ZIPANG TOKIO 2020
「元伊勢『籠神社』は 伊勢神宮のふるさと(その壱)」


ZIPANG TOKIO 2020
「奥宮 眞名井神社は パワースポットの源(元伊勢 籠神社その弐)」


ZIPANG TOKIO 2020
「元伊勢 天照大神 ~ 伝説と神話 ~(籠神社 その参)」


ZIPANG TOKIO 2020
「二千五百年の歴史を伝える 丹後最古の祭『葵祭』と 元伊勢 籠神社の神宝・宝物(その四)」


ZIPANG TOKIO 2020「二つの『元伊勢』さま 【 寄稿文 】紅山子」



協力

丹後一宮 元伊勢 籠神社
〒629-2242 京都府宮津市字大垣430 TEL:0772-27-0006



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使


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