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横浜FC 劇的勝利で天皇杯3回戦進出

2025.06.18 16:48

最終的な崩しの部分が課題

 天皇杯2回戦で横浜FCはJFLのいわてグルージャ盛岡と対戦し、2対1で劇的な勝利を収めて3回戦での京都との対戦を決めた。この試合は横浜FCがボール支配率で上回りながらも、相手の堅固な守備組織に苦戦する展開となった。


前半は両チーム無得点で折り返す膠着状態が続いた。横浜FCの四方田監督は「非常に難しいゲームだった」と振り返る。相手の逆側から攻め入るビルドアップの狙いはある程度実現でき、ゲーム全体を支配できたものの、相手のファイブバック戦術を崩すことができない状況が長時間続いたことが前半の大きな課題だった。


ハーフタイムでは戦術修正が図られた。さらに圧力を強め、テンポを上げ、裏への動きを増やし、後ろからの飛び出しや三人目の動きで背後を取るといった具体的な指示が選手たちに伝えられた。 


後半に入ると相手の運動量が落ちてきたこともあり、横浜FCは攻勢を強めていく。18分に右サイドからのコーナーキックのチャンスが生まれ、櫻川ソロモンが競り勝った後、室井彗佑が押し込んで先制点を奪った。このセットプレーからの得点を四方田監督は「非常に良かった」と評価した。 


しかし、その直後の25分、岩手もコーナーキックから牟田雄祐のヘディングで同点に追いつく。四方田監督は得点後に相手の反撃に押し込まれた中での失点であり、コーナーキックへの対応を含めて反省点があったと認める。1対1の同点となったことで相手にも勢いが生まれ、試合の行方が予測困難な状況となった。 


それでも横浜FCは冷静に攻め続けた。後半アディショナルタイム45+4分、再びセットプレーから決勝ゴールが生まれる。左サイドからのコーナーキックに対し、ニアサイドで小倉陽太がヘディングで合わせてゴールネットを揺らし、2対1での勝利を手にした。1試合で2点ものセットプレーでの得点はチームにとって珍しいことだと四方田監督は述べ、守備の堅いチームに対してセットプレーを含めて得点し、90分で勝ち切れたことを高く評価した。 


選手起用についても戦術的な意図があった。レオイヤ選手を左センターバックで起用したのは、練習でのパフォーマンスが非常に良く、怪我なく継続してきていること、そしてルヴァンカップでの出場機会が増えて良い状態にあったためだ。レオイヤ選手はビルドアップが上手く、攻撃参加もできるため、ファイブバックの相手を崩す上で彼のクロスがシュートチャンスにつながることも期待された。ただし、ビルドアップ全体としては自陣から中央、中盤まではボールを運べた手応えがあったが、そこからの崩しの部分はまだまだ高めていかなければならないと四方田監督は課題を口にした。 


後半には櫻川ソロモン選手が投入され、室井選手がより深い位置に下がった。これはペナルティエリア内で得点に特徴のある選手を増やし、クロスを増やすことで相手に圧力をかけ、ソロモン選手を長い時間使うことで得点確率を上げる狙いがあった。実際にソロモン選手は先制点に絡む活躍を見せている。


一方、岩手側の星川監督はプラン通り戦った結果として良いゲームができたと評価した。相手のスカウティングが難しい状況の中で、選手たちはしっかりやってくれたと感じている。カテゴリー間の差、特にタフなゲームを経験しているかどうかが結果に影響したと分析する。中3日で試合をすることによるベストメンバーの選出の難しさや、怪我人、イエローカードによる想定外の交代など、チームの台所事情も影響したと振り返った。 


岩手の戦術は本来キーパーを使って動かすスタイルだが、今回はキーパーが異なったため3バックでの受け方が合わなかった。相手が疲れて前向きでのプレッシャーがなくなってから自分たちらしい動きを出すプランBを採用せざるを得なかった。岩手は流れの中から決定的なチャンスをほとんど作らせてもらえなかったと感じており、横浜FCのクロス対応が全体的に良かったと認めた。


しかし、岩手側は選手たちが上位カテゴリーとの間に大した差はないと感じていたと星川監督は明かす。J1やJ2のチーム、特に試合に出ていないメンバーとの練習経験が多く、彼らのBチームとしての活動が正規のBチームがない上位チームよりも優れている可能性すらあると考えていた。玉際の強さや最後のスプリントといった学ぶべき部分はあったものの、全体として個人レベルで大きな差は感じなかったと総括している。 


取材:AtsuhikoNakai/SportsPressJP