005.「小さな森のナー」のお話
2016.02.25 18:20
小さな森の中、
晴れた日のお昼間に、
ハリネズミのナーは、なんとなく山道を歩いていました。
すると、なんとなく体に痛みが走りました。
ナーが辺りを見回してみると、
お腹が減った鳥さんが、
おいしそうな栗とまちがってナーの体を突ついていたのです。
ナーがなんとなく話かけてみると、
鳥さんはびっくりしてごめんなさいと言いながら飛び去ってしまいました。
ナーは気を取り直して、
ふたたびなんとなく道を歩いていると、
今度はいきなりツルっとすべって、大きな穴にスポッと落ちてしまいました。
ナーは体中泥だらけです。
しかも、穴はなかなか深くって、外に出ることができません。
なんとなく外に出ようともがいてはみるのですが、まったく無理でした。
そのままなんとなく穴の中で、
ぼーっとしていると、夜がきてしまいました。
夜はそれはそれは、暗くって。
ナーはなんとなくその暗がりをずっと見つめていました。
白く光る目、黄色くギョロっとした目、
たくさんの目が輝いていて、
ナーのことをなんとなく見ているような気がして、
朝までずっと眠ることができませんでした。
朝になると、
なんとなく散歩をしていたおばあさんが
ナーのことを見つけて、穴から外に出してくれました。
そして、朝ごはんにと、その辺でひろったドングリをナーにくれました。
ナーは、なんとなく自分が泣いていることに気がついて、
ようやく自分が、イライラして、こわくって、
でもうれしくって、すごくホッとしていたことに気がつきました。
落ち着いたナーは、
今日もなんとなく、
空をながめて、花のにおいをかぎながら、
なんとなく、
笑って過ごしました。