ZIPANG-3 TOKIO 2020「大和国一之宮三輪明神 大神神社『原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社』」
はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
大神神社(おおみわじんじゃ)について
ご祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるために、古来本殿は設けずに拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社です。
大神神社「三輪山」登拝口
ご由緒
当社の創祀(そうし)に関わる伝承が『古事記』や『日本書紀』の神話に記されています。『古事記』によれば、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が出雲の大国主神(おおくにぬしのかみ)の前に現れ、国造りを成就させる為に「吾をば倭の青垣、東の山の上にいつきまつれ」と三輪山に祀まつられることを望んだとあります。
また、『日本書記』でも同様の伝承が語られ、二神の問答で大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたとあります。そして『古事記』同様に三輪山に鎮まることを望まれました。この伝承では大物主大神は大国主神の別の御魂みたまとして顕現けんげんされ、三輪山に鎮しずまられたということです。
この様に記紀(ききの)神話に創祀(そうし)の伝承が明瞭に記されていることは貴重なことで、当社が神代に始まった古社中の古社と認識されており、ご祭神(さいじん)の神格が如何に高かったかを物語っていると言えます。
そして、ご祭神(さいじん)がお山に鎮しずまるために、当社は古来本殿を設けずに直接に三輪山に祈りを捧げるという、神社の社殿が成立する以前の原初(げんしょ)の神祀りの様を今に伝えており、その祭祀さいしの姿ゆえに我が国最古の神社と呼ばれています。
「大神」と書いて「おおみわ」と読むように、古くから神様の中の大神様として尊ばれ、第十代崇神(すじん)天皇の時代には国造り神、国家の守護神として篤(あつく)祀(まつら)れました。平安時代に至っても大神祭(おおみわのまつり)、鎮花祭(はなしずめのまつり)、三枝祭(さいくさのまつり)が朝廷のお祭りとして絶えることなく斎行され、神階は貞観(じょうがん)元年(859)に最高位の正一位(しょういちい)となりました。延喜式(えんぎしき)の社格は官幣大社(かんぺいたいしゃ)で、のちに大和国一之宮(やまとのくにいちのみや)となり、二十二社の一社にも列なるなど最高の待遇に預かりました。
中世には神宮寺(じんぐうじ)であった大御輪寺(だいごりんじ) や平等寺を中心に三輪流神道が広まり、 広く全国に普及し人々に強い影響を及ぼしました。近世に入ると幕府により社領が安堵(あんど)されて三輪山は格別の保護を受け、明治時代にはその由緒によって官幣大社(かんぺいたいしゃ)となりました。現在も国造りの神様、生活全般の守護神として全国からの参拝があり、信仰厚い人々に支えられて社頭は賑わっています。
大神神社「祈祷殿・儀式殿・参集殿」
ご祭神
ご祭神 大物主大神(おおものぬしのおおかみ)
配祀 大己貴神(おおなむちのかみ)
少彦名神(すくなひこなのかみ)
ご祭神(さいじん)は国造りの神様として、農業、工業、商業すべての産業開発、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、禁厭(まじない)、交通、航海、縁結びなど世の中の幸福を増し進めることを計られた人間生活の守護神として尊崇(そんすう)されています。
そして、崇神(すじん)天皇の御代に大流行した疫病をご祭神(さいじん)が鎮(しず)めたこと、杜氏(とうじ)の高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)がご祭神(さいじん)の神助(しんじょ)で美酒を醸(かも)したことから、医薬の神様や酒造りの神様として広く信仰をあつめておられます。また、ご祭神(さいじん)の御名、「大いなる物の主」はすべての精霊(もの)をつかさどられる・統(す)べられるという意味をあらわし、災をなす精霊(もの)をも鎮(しず)め給う霊威れいいから厄除け・方位除け(ほういよ)けの神様としても厚く敬(うやま)われています。
三輪山
三輪山は、奈良盆地をめぐる青垣山の中でもひときわ形の整った円錐形の山です。古来、大物主大神が鎮(しず)まる神の山として信仰され、『古事記』や『日本書紀』には、御諸山(みもろやま)、 美和山、三諸岳(みもろだけ)と記されています。高さ467メートル、周囲16キロメートル、面積350ヘクタールのお山は松・杉・檜などの大樹に覆われて、一木一草に至るまで神宿るものとして尊ばれています。
飛騨高山上三之町酒屋の杉玉「三輪の神杉」。そういえば新潟の酒蔵でも見ましたよ!
特に杉は『万葉集』をはじめ、多くの歌集に詠われ「三輪の神杉」として神聖視され、後世に三輪山の杉葉で造られた杉玉が酒造りのシンボルとして酒屋の軒先に飾られるようになりました。また、山中には神霊(しんれい)が鎮(しず)まる岩が点在し、磐座(いわくら)と呼ばれて信仰の対象となっています。神社の古い縁起書には頂上の磐座(いわくら)に大物主大神(おおものぬしのおおかみ)、中腹の磐座(いわくら)には大己貴神(おおなむちのかみ)、麓の磐座(いわくら)には少彦名神(すくなひこなのかみ)が鎮(しず)まると記されています。
三ツ鳥居と拝殿
大神神社「拝殿」
大神神社「三ツ鳥居(みつとりい)」
大神神社拝殿の奥は禁足地として普段は神職さえ足を踏み入れない神聖な場所で、禁足地と拝殿の間には結界として三ツ鳥居(みつとりい)と瑞垣が設けられています。三ツ鳥居(みつとりい)の起源は不詳で、古文書にも「古来一社の神秘なり」と記され、本殿にかわるものとして神聖視されてきました。この鳥居は明神型の鳥居を横一列に三つ組み合わせた独特の形式で「三輪鳥居」とも呼ばれています。中央の鳥居には御扉(みとびら)があり、三輪山を本殿とすれば、三ツ鳥居(みつとりい)は本殿の御扉の役割を果たしていると言えます。
拝殿は鎌倉時代に創建されたことが文献に見え、現在の拝殿は寛文(かんぶん)四年(1664)徳川四代将軍家綱公によって再建されたものです。白木造りの質実剛健(しつじつごうけん)な建物は横が約17m(桁行けたゆき九間)、縦が約8m(梁行はりゆき四間)の切妻造(きりづまつくり)で、正面には唐破風(からはふ)の大きな向拝(こうはい)がつき、屋根は檜皮(ひわだ)で葺(ふ)かれています。拝殿は江戸時代の豪壮(ごうそう)な社殿建築として、三ツ鳥居(みつとりい)と共に国の重要文化財に指定されています。
四季のおまつり
大神神社では1日に月次祭、15日には講社崇敬会月次祭、十二支の卯の日(上の卯)に卯の日祭が毎月執り行われます。
月次祭は氏子崇敬者の前月の神恩感謝と今月のご隆昌とご安全を祈ります。講社崇敬会月次祭は当社の講員・崇敬会員のご隆昌とご安全を祈り、併せて交通安全祈願祭を執り行います。
卯の日祭は崇神天皇が卯の日に大神祭(おおみわのまつり)を始められて以来、大神祭が「卯の日神事」と呼ばれるほどに卯の日がご神縁の日であり、その干支の日を大切にして毎月行われるものです。
各祭典では神楽が神前に奉納され、斎主以下参列者全員で「大祓詞(おおはらえのことば)」「神拝詞」「いのりの詞」を唱和します。また、講社崇敬会月次祭では、みわ鈴を手のひらにつつみ、鈴を振る「むすびの鈴行(すずぎょう)」を全員で行い、神明のご加護を祈ります。
いずれの祭典も自由にご参列いただけますので、お誘い合わせの上でお気軽にご参拝ください。
3月のおまつり
3/10 成願稲荷神社例祭 (初午祭)
成願稲荷神社(じょうがんいなりじんじゃ)は、当神社の末社で商売繁昌、念願成就に霊験あらたかな神様です。
3/20 植樹祭
献木のご協賛をいただいた方々をご招待し、奉納された苗木をご神前にお供えして神体山「三輪山」の末永い安泰を祈ります。
3/21 春季皇霊祭遙拝
宮司以下神職が遙か皇居を遙拝し、歴代天皇や皇室の方々の偉業を偲び奉ります。
3/23 3/24 春の講社崇敬会大祭 (第4土曜・日曜日)
当神社を信仰する講員・崇敬会員のご安全と家運のご隆昌を祈る大祭です。祭典終了後、「千本杵餅つき」が行われ、福袋が販売されます。祈祷殿前には飲食物や名産品の様々なバザー店が並びます。
詳細
大神神社のご祭神とご神縁を結ぶ全国の報本講社の講員、崇敬会の会員のご隆昌とご平安を祈る祭典が3月と9月の第4土曜・日曜日に行われ、参道に奉納の幟り旗が並ぶ中を全国から講員・会員が参拝されます。
神様へのお手紙である「祈願詞」が全国の講員・会員から寄せられ、祭典ではその「祈願詞」を大前に奉奠し、宮司が祝詞を奏上します。神楽「浦安の舞」もこの祭典では正装束を四人の巫女が纏って優雅に舞い納めます。そして神職と参列者が共に「大祓詞(おおはらえのことば)」・「神拝詞」・「鎮魂詞(いのりのことば)」を唱え、みわ鈴を振り鳴らして祈る「むすびの鈴行(すずぎょう)」を行って、神前に篤い祈りを捧げます。
また講員、崇敬会員が中心になって神賑行事を盛り上げることもこの祭典の特徴です。和太鼓の奉納演奏、千本杵餅つきの餅や樽酒の振る舞い、三輪山福袋の販売、飲食店や名産品の各種バザー店の出店、金魚すくいや子供広場でのゲームなど多彩な催しで、まさに神職と崇敬者が一体となって行われる祭典として社頭は終日賑わいを見せます。
3/31 玉列神社椿まつり (最終日曜日)
大物主大神の御子神「玉列王子神(たまつらおうじのかみ)」を祀る摂社で、椿が咲くことで有名です。境内に植えられた椿の花が彩りを添える中で祭典が執り行われ、境内では椿苗・「椿饅頭」の即売、「煮麺」のふるまい、椿の盆栽展示が行われます。
大神神社について、更に詳しくは下記のリンク先にてご覧いただけます。
ZIPANG TOKIO 2020
「神代に始まった古社中の古社 原初の神祀りの様を伝える 三輪明神 大神神社(その壱)」
ZIPANG TOKIO 2020
「古社中の古社 三輪明神 大神神社 四季のおまつり(その弐)」
ZIPANG TOKIO 2020
「天皇陛下のおことば と 国家・御皇室の安泰と国民の幸福を祈る大神神社の年頭を飾るご神火の祭典(新年特別編)」
協力(敬称略)
大和国一之宮三輪明神 大神神社 〒633-8538 奈良県桜井市三輪1422 TEL 0744-42-6633
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
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