ZIPANG-10 TOKIO 2020「2025年6月中旬の記録的高温は地球温暖化が無ければ 起こり得なかった」分析結果を発表【極端気象アトリビューションセンター(WAC)】
地球温暖化
春には春の 冬には冬の景色を いつまでも 蔵王 樹氷 宮城県 編集局イメージ
極端気象アトリビューションセンター(WAC)は、2025年6月中旬の記録的高温イベントをWAC手法により分析、「既に顕在化している地球温暖化がなければ、たとえどのような偶然のゆらぎが重なったとしても今回の高温は起こり得なかった」という分析結果を発表しました。
● この時期の日本上空約1500m気温が実況の気温を上回る確率は、現実的な(既に顕在化している地球温暖化がある)気候条件下では6.0%と推定される。これはおよそ17年に1度の頻度で発生することを意味する。
● 平年を基準とした場合、この高温イベントは85年に1度という非常に稀な現象に相当し、2025年の条件下では平年より発生頻度が高まっていたと考えられる。
● 一方、本イベントの発生確率は、人為起源の地球温暖化が無かったと仮定した気候条件下では、ほぼ0%であったと推定される。
● 地球温暖化による底上げがなければ、たとえどのような偶然のゆらぎが重なったとしても今回の高温は起こり得なかった。
● この時期の海洋等のゆっくりとした自然変動が今回の日本の高温に与えた影響は小さかったと考えられる。
極端気象アトリビューションセンター(WAC:Weather Attribution Center)は、日本各地で発生した極端気象について、人間活動による地球温暖化やその他の気候変動がどの程度影響しているかを「イベント・アトリビューション(EA)」という科学的手法で迅速に分析し、その結果を公表しています。
この度、2025年6月中旬の記録的高温イベントに対して、WAC手法を適用した結果を示します。
1. 分析対象イベント
2025年6月中旬は全国的に記録的な高温となり、6月16日~18日平均の日本上空(東経130-146度、北緯31-45度:図1黄色枠内)の1500m平均気温は、6月の同時期としては、1950年以降で第1位となりました。また、5月から6月中旬までの日本全国の延べ猛暑地点数は、気象庁の統計開始以来最多の200地点超となりました※1。
この要因として、日本域で背の高い太平洋高気圧が非常に強まった事や、ヨーロッパから日本付近へかけて亜熱帯ジェット気流に沿った顕著な波の伝播が見られた事(図1、補足資料)が考えられます。これらは、偶然性の高い大気のゆらぎの一部であり、今回の記録的高温事例(高温イベント)の主要因であったと考えられます。
図1 イベント期間中の大気の状況
2025年6月16日~18日平均の850hPa(上空1500m。対流圏下層に相当)の気温(陰影)と500hPa(対流圏中層に相当)の高度(実線:高気圧、波線:低気圧)の平年値からの偏差を示す。
2. 分析結果
WAC手法を2025年6月16日~18日の高温イベントに適用した結果、この時期の日本上空約1500m気温が実況の気温(17.2℃)を上回る確率は、現実的な気候条件下では6.0%と推定されました。これはおよそ17年に1度の頻度で発生することを意味します。
平年を基準とした場合、この高温イベントは85年に1度という非常に稀な現象に相当し、2025年の条件下では平年より発生頻度が高まっていたと考えられます(図2の赤実線と薄い赤色の山型の差)。一方、人為起源の地球温暖化が無かったと仮定した気候条件下では、この確率はほぼ0%と推定され、本高温イベントは地球温暖化が無ければ起こりえなかったことがわかりました。
また、図2の青実線と薄い青色の山型の間に大きな差がないことから※2、背景として存在していたこの時期の海洋等のゆっくりとした自然変動が日本の高温に与えた影響は小さかったと考えられます。
これらの結果を総合すると、
● 今回の高温イベントは、地球温暖化による気温の底上げに、極端な大気のゆらぎが重なって発生した
● この地球温暖化による底上げがなければ、たとえどのような偶然のゆらぎが重なったとしても今回の高温は起こり得なかった
と解釈することができます。
なお、6月18日以降も高温は持続していましたが、迅速に分析結果を発表することを目的として、本分析では対象期間を16日~18日としました。
図2 WAC手法によるEAの結果
2025年6月16日~18日の記録的高温イベントに対して、WAC手法を適用した結果を示す。
横軸は日本上空(図1の黄色枠内)約1500メートル(850hPa)の平均気温、縦軸は頻度を示す。
赤実線は現実的な(地球温暖化がある)イベント期間の気候条件下、青実線は、地球温暖化が無かったと仮定した場合(非温暖化)のイベント期間の気候条件下の頻度。
薄い赤色と青色の山型は、平年30年間(1991年-2020)の6月16~18日の現実的な気候条件および非温暖化条件下における出現頻度をそれぞれ示す。実測値を示す黒波線の値を超えた面積が、今回の高温イベントの発生確率を表す。
補足資料
イベント期間中の大気の状況。2025年6月16日~18日平均の(a)850hPa(対流圏下層に相当)と(b)200hPa(対流圏上層に相当)の高度の平年値からの偏差を示す。
※1 気象庁のデータ( https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/summer.php )をもとに分析
※2 薄い青色の山型は、非温暖化条件において、過去数十年間(1991-2020年)の海洋や海氷の自然変動の状態を考慮した場合の頻度を表します。
これに対し、青実線は、非温暖化条件における2025年の海洋や海氷の状態のみを考慮した場合の頻度を表します。したがって、青実線と薄い青色の山型の差は、2025年特有の海洋や海氷の自然変動が頻度に与えた影響の大きさを表しています。
ここで、海洋や海氷は、大気に比べてゆっくりと変動するため、高温イベントの背景にある前提条件とみなすことができます。
極端気象アトリビューションセンター(WAC:Weather Attribution Center)は、日本各地で発生した極端気象について、人間活動による地球温暖化やその他の気候変動がどの程度影響しているかを「イベント・アトリビューション」という科学的手法で分析し、その結果を公表しています。
特に日本は周囲を海洋に囲まれているため、周囲の海洋の状況や遠方で発生するエルニーニョ現象等の影響を評価することが求められます。そのため、日本独自のイベント・アトリビューションシステムの高解像度化や迅速化が進められ、発展し続けています。
WACは、日本に特化したイベント・アトリビューションシステムを用いて日本における極端気象について「地球温暖化が影響したか」を分析・発信することで、気候科学の公共性を高めるとともに、科学的知見に基づいた気候変動の影響への理解促進に努めています。
■本分析に関するお問い合わせ
WAC事務局(一般社団法人クライメート・ダイアログ内)
contact@climatedialogue.jp
鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(順不同・敬称略)
宮城県
紅山子(こうざんし)
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温暖化の報道をより身近に、異常気象を当たり前にしない
極端気象アトリビューションセンター(WAC)
WACは、東京大学大気海洋研究所、京都大学防災研究所の研究者など、日本におけるイベント・アトリビューション研究の第一人者らが参画する独立したブランドです。極端気象発生後、社会の関心が最も高い時に科学的分析結果を発信することで気候変動の影響への理解を促進し、社会のあらゆるレベルの行動につなげていくことを目指します。
分析の対象となる事象については、初年度は、精度が十分に検証されている気温イベントを中心に取り組みます。豪雨や台風に関しては、現在検証段階にあるため、来年度以降、準備が整い次第分析対象に加える予定です。また中長期的な展望として、分析の自動化を視野に入れて進めるとともに、東京大学気候変動コミュニケーション研究ユニットの江守 正多教授との連携も図っていきます。
発表会には、WACメンバーである東京大学大気海洋研究所 教授 渡部 雅浩、東京大学大気海洋研究所 准教授 今田 由紀子、東京大学大気海洋研究所 気候システム研究系 特任助教 高橋 千陽、京都大学防災研究所/横浜国立大学 教授 森 信人が登壇。WAC発足の背景や活動計画・今後の展望、イベント・アトリビューション迅速化の画期性や社会的な意義などを語りました。
会の後半では、司会を務めた気象予報士・キャスターの井田 寛子さんをモデレーターに、気象情報の第一線で活躍されている石榑 亜紀子さん、今村 涼子さん、南 利幸さん、気象予報士でありながらイベント・アトリビューションの研究者でもある川瀬 宏明さんをゲストに迎え、トークセッションを展開。「温暖化の話をもっと身近にするには?」をテーマに、気象コーナーの現場の声と研究の視点を掛け合わせながら意見を交わしました。
(詳細・画像は下記のURLからご覧ください。)
ZIPANG-10 TOKIO 2020日本における極端気象について迅速なEA分析と情報発信を目指した「極端気象アトリビューションセンター(WAC)」が発足!~異常気象・温暖化の報道をより身近に~
https://tokyo2020-10.themedia.jp/posts/56904581
山形市蔵王温泉
十三代続く老舗旅館 最上高湯 善七乃湯
蔵王温泉の歴史
1900年以上に亘り多くの温泉愛好者から親しまている!
西暦110年頃、日本武尊(ヤマトタケルミノコト)が蝦夷征伐に来た際、武将の吉備多賀由(キビノタガユ)に毒矢が当たり苦しんでいた時に、温泉を発見し浴びさせたところ、すっかり全快したという古文書が残る。
そして感謝の意を込め自分の名前を残し“高湯”(多賀由)と呼ばれるようになったと言われ、 昭和25年に蔵王山が観光地百選山岳の部で第一位になったのをきっかけに、蔵王温泉と改名。現在に至る。
コロナウィルスの不活性化効果を確認
山形市蔵王温泉内で、十三代続く老舗旅館 最上高湯 善七乃湯(旧大平ホテル)は、この度、敷地内所有の温泉水「辻屋源泉」を、株式会社グッドアイ(群馬県)に試験を依頼し、新型コロナウィルスの不活性化効果を確認した。水道水に比べて95%の不活性化をもたらす内容だった !
背景
全国各地の温泉旅館同様に、蔵王温泉では 2020 年 3 月ごろから、新型コロナウィルスの影響を受けて、観光客・宿泊客が急激に落ち込み、大きな打撃を受けている。
その渦中にあって、
2020年4月、北里研究所・北里大学は、『医薬部外品および雑貨の新型コロナウィルス不活性化効果についての発表によると、エタノールは、50%以上の濃度で、接触時間 1 分間で十分なウイルス不活性化が可能と考えられた。…とする報告。
不活化効果の確認された上記製品は、新型コロナウイルスの不活化に有効と考えられた。新型コロナウイルスの汚染が懸念される手指や硬質表面の洗浄の他、日常使用する衣類やリネン類の洗浄などに活用が期待できる』 と報告している。
それが、今や常識になっている接客を伴うスーパーやコンビニ、飲食店等の入り口に設置してある消毒液に繋がっているわけである。
その後、約10ヶ月経った本年 2021年2月18日のこと、日本の代表的な温泉地の一つである草津温泉は、草津町長の黒岩信忠町長と群馬大学の板橋英之教授が、草津温泉水は新型コロナウィルスを不活性化させる効果(水道水と比較した際1分間93%の不活性化)があると発表。
以前より、蔵王温泉の温泉水の効能に興味を持っていた、株式会社大平ホテル 代表取締役 岡崎 靖氏は、法政大学名誉教授(工学博士)の大河内正一氏とテレビプロデューサーの小森威典氏及び、温泉ソムリエ家元の遠間和広氏から指導を受け、独自の研究を続けてきた。
日本の温泉地の中で、蔵王温泉は強酸性の温泉水でありpH1.3〜1.5、殺菌効果が非常に強い。細菌、ウィルス、カビの生育pH域は、(資料1※)のようになっている。現在、蔵王温泉にある源泉使用の湯船には、殺菌用塩素を一切投入せずに、安全に入浴出来きる。
(詳細・画像は下記のURLからご覧ください。)
ZIPANG-5 TOKIO 2020 山形市 蔵王温泉 ~辻屋源泉~「最上高湯 善七乃湯」新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)不活性化効果を確認報告 !!
https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/18728014
地球温暖化の森林に対する影響解明!
概要
京都大学生態学研究センター 石田厚 教授は、森林研究・整備機構森林総合研究所北海道支所 原山尚徳 主任研究員、北尾光俊 研究グループ長、南京大学 Evgenios Agathokleous 教授らの研究グループとともに、樹木の乾燥ストレス反応に関する、新たな生理メカニズムを明らかにしました。
樹木は乾燥ストレスにさらされると、葉の気孔を閉じて葉からの水分損失を抑制しますが、気孔を閉じることで光合成に必要な二酸化炭素の取り込みも抑制されてしまいます。
地球温暖化にともなう降水パターンの変化が予想されるなか、樹木が乾燥ストレスに対してどのようなメカニズムで気孔を閉じ、葉からの水分損失を制御しているのかを明らかにすることは、非常に重要です。
この研究では、葉内の水移動に関連する葉の構造と細胞膜にあるタンパク質の生理機能に着目し、乾燥ストレスによる気孔閉鎖のメカニズムについて調べました。
その結果、細胞膜の水透過性を制御する膜タンパク質であるアクアポリンが、葉内部の水移動抵抗の変化を通じ、気孔の開閉を制御していることがわかりました。また、葉脈密度が低い構造を持つ樹種ほど、アクアポリンに依存した気孔開閉を行っており、乾燥ストレスにアクアポリンが反応することで、水分損失が進行する前にすばやく気孔を閉じることが可能になっていることがわかりました。
本研究で得られた知見は、地球温暖化の森林に対する影響予測モデルの高度化につながることが期待されます。
本研究成果は、2019年6月5日に、国際学術誌「Proceedings of the Royal Society B-Biological Science」に掲載されました。
(詳細・画像は下記のURLからご覧ください。)
ZIPANG-3 TOKIO 2020「地球温暖化の森林に対する影響解明!日本・中国の大学と国立研究機関」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/6436050
『林野庁』ウッド・チェンジ・ネットワーク
ウッド・チェンジ・ネットワークとは
我が国においては、戦後造成した人工林資源が充実して利用期を迎え、国産材の需要拡大が急務となっており、現状で木材があまり使われていない民間建築物等における木造化、木質化を進めることが喫緊の課題となっています。
このような背景の下、民間建築物等における木材利用の促進に向け、木材の需要者である建設事業者、設計事業者や実際にこれら建築物の施主となる企業によるネットワークづくりを進めることとしました。
このネットワークでは、木材利用に関する課題の特定や解決方策、木材利用に向けた普及のあり方等について協議、検討を行い、木材を利用しやすい環境づくり、日本全国に木材利用を広げていくプラットフォームづくりに取り組んでいきます。