生命力とタイポグラフィについて
2025.06.27 16:01
私は昔から、「生きているもの」に自然と惹かれてしまう。それは、何も特別な風景でなくてもいい。たとえば、荒れた土地にたった一本だけ生えている草。あるいは、水道管の隅から、アスファルトの隙間から、こっそり顔を出す小さな植物。そういう存在が、不思議といつも私の目を奪う。
それで私は、ふと思った。もし文字も植物のように、ひび割れから“生えてくる”ことができたら、どうなるだろう?きちんと整列されたレイアウトに従うのではなく、まるで雑草のように、秩序を飛び越え、曲がり、歪み、どこかの隅から“現れてくる”。それは「書かれた」文字ではなく、「育った」文字。グリッドシステムにも従わず、定義もされない。それでも、確かに“語っている”文字なのだ。
私は、文字には力があると信じている。ひび割れの中から伸びてくる草のように、文字もまた、都市の中に残る、かすかだけど確かな生命の痕跡になり得ると思う。
今週の「白い箱」の課題では、そんな思いを込めて、この“生きている文字”の感覚をかたちにしてみたい。