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癒し系心理セラピスト:川口淳一【ホームページ】

子供にとっての『安全基地』とは???

2019.02.13 13:55

宮崎市内の某小学校にスクールサポーターとして勤務開始して、そろそろ1ヶ月が経ちます。
私は現在、主に別室登校をしている子供たちへのサポートを担当していますが、
「何故、この子たちは通常クラスに居られない・居たくないのだろうか??」
「毎日学校で決められた5~6時限を有意義に過ごすにはどうしたら良いのだろうか??」
と自問する毎日です。

そこで・・・今回、
子供にとっての『安全基地』とは???について、書いてみます。



①社会・生活環境の急速な変化がもたらしたこと

核家族化が進み、おおらかな子育てが出来なくなったことで、育児は親主導になりました。
多分、少なくとも1970年代頃までは、親だけでなく、近所に住んでいる親戚や、他人だけど面倒を見てくれたり気にかけてくれたり、たまには怒鳴りつけてくれる近所のおじちゃん・おばちゃんがいて、普通に子供達を見守ってくれていたのだと思います。

良い行いをすれば、他人からだろうが褒められる。
悪い行い(いたずら)をすれば、他人からであろうが怒られる。

ここで肝心なことは、褒められたり叱られたりすることが、子供にとって不可解だったり、疑問を持ったり、理不尽だと感じるようなことかもしれないということ。。。
どこかに「???」と感じるからこそ、子供は社会という仕組みを学ぶことが出来るわけです。
様々なストレスをその場面場面で感じながらも、多種多様な価値観があることを知り、自分はどういう生き方をしたいのかを考え、自我を成長させることが出来るのではないかと。。。
そんな単純な社会性を、地域社会で学べていたのですよね。

 一方、核家族化は、社会におけるある意味「断絶・隔離」を生み出すことにもなったのかなと。。。
それ故、親に、「誰も自分たちを守ってくれない・誰も私たちのことなんか気にかけてくれない・自分が何とかするしかない」・・・という意識が生まれたかもしれない。。。

他者のお節介な見守りがあったからこそ、子供の感性・捉え方が健全な方向へと育まれていた時代から、親の考え方や極端な感情がダイレクトに子供に刷り込まれる時代へと変化しました。

露骨な表現をするなら、家庭は「密室化」してしまうケースがあるわけです。
ここが、実は大きな落とし穴。。。


②子供にとって『安全基地』を提供出来ているのか??

人には誰しも、精神的に安らぐことの出来る『安全基地』が必要です。
子供だろうが大人だろうが老人だろうが。。。
強い緊張状態に身を置かなければならない場合こそ、『安全基地』を持てているかどうかが大切になります。

子供にとっての一番の安全基地は、親(や養育者)であり、自分の家(家庭)。

仮に、親からいくら虐待を受けようがネグレクトを受けようが、子供はまず親からの愛情を求めます。
親に自分の安全基地になって欲しいと思うのは本能ですから。。。
それが叶わない場合・・・当然のことながら、子供は心のバランスを崩します。

そして徐々に、子供は家庭から外の世界(保育園・幼稚園・小学校)に加わって行くにつれ、外の世界が安心して過ごせる場所なのかどうかも判断するようになります。
それは、お友達や大人(先生)との関わり方を意味します。
お友達から邪険にされたり仲間外れにされることは、とても辛いこと。
大人(先生)から勝手なレッテルを貼られて判断されたり、ワケもなく叱られたりするのも、とても辛いこと。
信頼しようとしていたお友達や大人(先生)から突然突き放されたり、助けて欲しかった時に助けてくれない・守ってくれなかったりすると・・・子供は心に深い傷を負います。

だから、保育園・幼稚園・小学校という場も安全地帯であるべきなのです。

とにかく、10歳くらいまでの子供の感性・感情はとても繊細です。
だからこそ、大人は、たまに厳しく接しつつも、大原則である「愛を持って接すること」が大切なのではなかろうかと。。。
社会性を学んでもらうために、大人(先生)は子供にある程度の負荷をかける場面も必要ですが、大人(先生)の都合で子供を抑え込んではいけないのかもしれない。
バランスが非常に難しい。



③子供の感情を育むことは、本来、親にしか出来ません

子育てに、正解・不正解はありません。
が、親の想い・育児方針が、子供を追い込んでしまうケースもあります。

子供への理想像を過剰に子に託す親。
自分の思い通りの子供になって欲しいと無理難題を押し付ける親。
子供の自立を妨げる(自立欲を削いでしまう)過保護な親。
周囲の親族の意見に従うしかなく、自分らしい子育てが出来ない親。
子供の発達障がいを絶対に認めない親(なんで出来ないの??としか思えない親)。

子は自分の所有物ではありませんし、授かっただけであって、コントロール出来るものではないのです。

「私の思いをなんでわかってくれないの??」ではなく・・・
「我が子はどうしてこういう行動を取るのだろう??」「我が子は何を感じているのだろう??」と客観的に眺めなければ、子供の人権すら否定していることになりかねません。

子供が家(家庭)にいられるのは、そこが安全基地だと感じているからです。
いくら親や兄弟と喧嘩をしようが、親からこっぴどく叱られようが、安全基地なら自分にとって最も好ましい場所です。

しかし・・・子供が、嫌で仕方ないけれど家(家庭)にいるしかないと感じているなら・・・それは安全基地ではありません。
虐待やネグレクトを受けても、他に行き場がないから、耐えて耐えて家にいるしかない子供。
家から逃げ出したくても、親から離れたくても、逃げる方法・離れる方法がわからない子供。
密室ルールに脅され洗脳されて、他者に真相や本心を告げることが出来ない子供。
こんな状態では、子供の命の保障すらないわけです。


④最近の事件から思うこと

子供を巡る痛ましい事件の報道が相次ぐ昨今。

子供の命が何故絶たれたのか、何故子供が自ら命を絶ったのか・・・
すべての子供が持って生まれた命・人生を全う出来るよう、願わずにはいられません。

子供に関わる機関(学校・警察・児童相談所など)への批判が強まる中、大人が出来ることは何だろう???
親権を優先するだけで、子供の命を守ることが出来るのか???
不適切な親(養育者)と暮らし続けて、子供は健全な心を持って生きていけるのか???
親が最低限の養育が出来ない状況でも、子供は親といなければならないのか???
子供には判断能力が無いという理由で、生きる選択肢すら持たされないのか???

・・・改めて考え直す時を迎えているような気がしてなりません。

地域社会として出来ることもあろうかと思います。
見て見ぬふりをしないこと。
一人ひとり、とても大切な役割や使命を持ってこの世に生まれてきたことを、再度認識すること。
直接関わりのない子供であっても、イヤなことをされている子供を見かけたら見過ごさないこと。
困っている子供を見かけたら、声をかけてあげること。
個人としてだけではなく、地域全体が子供を見守ってあげること。
(老人や障がい者への介護も同様)

勉強が出来る・出来ない、大人の言うことに従える・従えないなどは、大人の一方的な単なる評価。
出来たって出来なくたって、どうだっていい。
生きるために本当に必要な意欲・能力・スキルは、一人ひとり異なるわけだから。。。
子供が、自分自身の健全な「生きる」という意思を持ち、個性的な人間として心豊かな人生を送ることが出来るかどうかが大切なはず。

平均的に子供の学習能力を引き上げようとする戦後教育はもう終わりにしたいもの。
様々な個性を持った子供が、ごった煮状態で小学校生活を送るなんて、今の教育では有り得ないわけですが、それを実現している国だってあります。

同世代の友達と一緒に居られない子供を生み出しているのは、親や大人や社会かもしれないのです。
安全基地を提供出来ているなら、子供はそこに参加しようとします。
参加したくない子供の理由がどこにあるのか???を考える必要があるのです。
そして、その理由はとても根深いはず。

現代の子供たちが抱えている問題・課題に、大人は、『愛』を持って、理解したうえで、接することが大切ではないかと。。。

生きているこの社会そのものが、子供にとっての安全基地でありたいものです。


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