埼玉県深谷市 フードツーリズム③「誰も知らない深谷もやしの世界」
続いて、ふっかちゃん号が向かった先は、多くのメディアからも愛される深谷もやしの「飯塚商店」様。
実は私、子供の頃からもやしが大好きなのですが、「どうしてこんなに安いのだろう?」「もやしって、豆の優れた栄養があるのに、もやしっ子(白くてひょろっとした弱そうな人を表現する言葉)とか...、ネガティブなイメージがあるのが悲しい。」と、ずっと思っていました。
一年前、野菜の高騰に悩まされた時期も、もやしだけは価格変動も無く、私たちの健康的な食生活をサポートしてくれたはずです。
もやしって、本当は力のある優秀な野菜なんです。
さて、そんな価値とのギャップに疑問を抱いていた「もやしの世界」に、初めて!一歩踏み入れることが叶いました。
「五感を通して、豆の声を感じて欲しい。」と熱く語る飯塚さんの表情が印象に残ります。
今から10年前、私の野菜ソムリエ人生における運命的な出会いを果たした弥彦むすめ(枝豆)生産者の丸山さんも同じことを言っていました。
私は、丹精込めて育てている農作物について語る時の作り手の表情がとても好きです。
野菜ソムリエになって良かったと思う瞬間です。
もやしは、豆が発芽したもので、種が発芽した貝割れ大根やブロッコリースプラウトなどと同じ、発芽野菜の仲間です。
豆の種類が変わればもやしの味も食感も変わります。
飯塚農園さんの主力商品はブラックマッペが発芽した黒豆もやし。
緑豆もやしに比べると、細くてひょろっとしているのですが、味が濃いのが特徴なのだとか。
そういえば、もやしの味噌汁って特別おいしいですよね?
もやしの出汁が関係していることが分かります。
日本に流通している9割は値段の安い中国産緑豆を発芽させた「緑豆もやし」ですが、私は単純に20円のもやしよりも50円以上のもやしを選ぶので、自然と「黒豆もやし」を選んでいました。(※もやしの価値を感じているから、品質の良いものを選びます。)
更に、よく購入するのが「大豆もやし」です。
栄養価が高く、豆がコリコリッとしていておいしいですよね♪
飯塚さんは、価格競争に負けるのではなく、今後、もやし生産者が進む道として、各地方の在来品種の大豆でもやしを作るべきだと熱く語られていました。
現在「埼玉県産在来大豆もやし」を作られていますが、もっと「もやしの魅力」を地域の魅力と共に発信して行きたいと意気込みます。
小さな豆が真っ暗なお部屋で発芽して、プクプクと呼吸をしながら根を伸ばし、飯塚さんは豆の声を聴きながら最適な管理を施し、成長を遂げたらプールで泳がせ出荷させます。
こんなにも愛情深く育てる野菜はあまり無いですよね。
初めてのもやしの生産現場は、もやしの力強さを感じる神秘的な世界でした。
野菜ソムリエ上級Pro. 清野 朱美