Takahiko Yanagisawa Exhibition 「Fitalinco Island」
Takahiko Yanagisawa Exhibition「Fitalinco Island」
会 期 2019年1月7日(月)-27(日)
時 間 木曜日休 / 平日 15:00-21:00 / 土 13:00-21:00 / 日祝 13:00-18:00
場 所 亀戸アートセンター
オープニングレセプション:2019年1月12日(土) 18:00-21:00
亀戸アートセンターは Takahiko Yanagisawa Exhibition「Fitalinco Island」を開催致します。
柳澤さんの描く絵は非常に閉ざされた小さな世界で完結している物語の一部を切り取ったような作品だなと以前から感じていました。それは外の広い世界への憧れは無く(もしくは外の世界の事など知る術もない)世界での出来事で、そこで繰り広げられるさまざまな出来事はガラパゴス的に独自の文化や風俗を形成していて、そんな小さな世界だからこその切なさや汚なさや美しさが外の世界に住む私たちにはとても魅力的に見えるのではないかと思います。ぜひこの機会に多くの方に彼の作品を観ていただきたいと思います。[ 亀戸アートセンター 石部巧、石部奈々美 ]
—Fitalinco Island —
太平洋に浮かぶ、地図には記載されていない島があった。そこは金鉱と炭鉱の島で、20世紀初頭、ドイツ、フランス、アメリカが共同で所有し、カジノや売春、あらゆる娯楽施設もあり、世間からあぶれたものがここへ流され、限られた富裕層の遊び場でもあった。
入り組んだ岩場に船着場があり、空からは見えない。島の舟が客人の船を出迎え、船底を浅瀬の岩で擦らないよう航路を案内する。
島に上がり奥へと進んでいくと、外からは想像もつかない豪華絢爛な建物、その背後には掘削機の機械の塊が見える。見世物小屋のフリークスたちは奇妙な歌を歌い、炭鉱から帰ってきた真っ黒な鉱夫たちは、やけに眼と歯が白く見え、暗闇では遠目からだと顔だけが幽霊のように歩いているように見える。賭博でイカサマがあったと殴り合いをする男たちに、売春婦たちは姦しい笑い声を上げ、見物客は罵声で喧嘩に油を注ぐ。
騒音とエンジンオイルの臭いが潮風と一緒くたになって生温かく吹く。
不思議なことに、ここはいつまでも夜だった。
栁澤貴彦
2015年にスタジオ35分、2017年にQuiet Noise、2018年に金柑画廊にて個展。
平面作品を制作。
[Instagram] https://www.instagram.com/takahikoyanagisawa