オンライン申請って本当に便利?──建設業許可や在留資格申請の現実
1. 「オンライン申請」とは何か
ここ数年、国や自治体は建設業許可申請や在留資格認定申請など、多くの手続きをオンライン化しています。
パソコンやスマホから24時間送信できるのが売り文句。紙で窓口に行く必要がない、というのがメリットとして広くPRされています。
しかし、現場で関わる士業や申請者の立場から見ると、「本当に便利なのか?」という疑問が多く聞かれます。
2. 添付資料は結局どうするの?
オンライン申請でも、添付する資料はPDFや画像データとして用意する必要があります。
たとえば建設業許可なら、決算書・経営業務管理責任者の証明・社会保険加入証明など、在留資格なら身元保証書や契約書などです。
・すべてスキャンや写真でデータ化
・ファイル形式や容量に制限あり
・認証(電子署名)が必要な場合も
紙原本を見せる必要がある場合は、後日郵送や持参を求められるケースもあります。
3. 訂正や再申請はどうなる?
最大の不満はここです。
紙の場合は、不備箇所だけ修正して再提出できますが、オンライン申請だと全データを作り直して再送信しなければならないことが多いのです。
・1ページの誤字でも全件再送
・添付ファイルも再アップロード
・役所側のシステムが「部分差し替え」に非対応
つまり「ちょっとした修正でも時間がかかる」のが現状。
4. 役所はオンラインで完結しているのか?
実はここが盲点です。
オンライン申請で送られたデータは、役所側で結局紙に印刷してチェックしていることが多いのです。
理由は、
・職員の目で見て確認する文化
・閲覧・回覧の仕組みが紙ベース
・システム操作に慣れていない部署もある
つまり、オンライン申請は役所の事務手順まで完全に変わったわけではありません。
5. 許可証や控えはどうなる?
許可が下りた場合、
・建設業許可証:従来通り紙で交付(郵送または窓口受取)
・在留資格認定証明書:原本を郵送交付
・控えや副本:PDFダウンロード可だが、正式な証明は紙のみの場合も
つまり、最終的には紙が必要になるケースが多いのです。
6. 誰の負担が増えているのか?
オンライン申請には、申請者側や士業側にも負担があります。
・PCやスキャナー、電子署名、通信環境などインフラ整備は自己負担
・書類の電子化やファイル変換の手間
・システム不具合や動作環境の制約
行政の「効率化」にはつながっても、利用者の手間が減っているかは疑問です。
7. 本当にみんなが便利になるのか?
オンライン申請は確かに、
・遠隔地からでも提出できる
・窓口の待ち時間ゼロ
・夜間・休日も送信可能
という利点があります。
しかし現状では、
・添付資料の電子化作業
・全面再申請のリスク
・紙交付が残る
・インフラ自己負担
などのハードルが大きく、「慣れない人にはかえって負担増」というのが正直なところです。
まとめ
オンライン申請は、将来的には大きな時短と効率化につながる可能性がありますが、現状は「紙文化とデジタル文化の中途半端な共存」状態です。
本当に便利にするには、
・部分修正機能の実装
・紙原本提示の完全廃止
・役所内の完全デジタル化
が必要です。
行政の効率化だけでなく、利用者の負担軽減を目的とした改善がなければ、「オンラインのためのオンライン」になってしまうでしょう。