Chapter.1-1 乳がんサバイバーと新しい日常
日本では、現在、女性の約11人に1人が乳がんを発症すると言われています。
この数字は年々増加傾向にあり、決して他人事ではない、身近な問題となっています。
"再出発できる病気"へ
かつて乳がんは、治療が長期にわたり、社会生活への復帰が難しい病気というイメージがありました。
しかし、医療の進歩は目覚ましく、いま乳がんは「再出発できる病気」へと変わりつつあります。
早期発見と早期治療が進んだことで、多くの方が治療後に社会復帰を果たせるようになっています。
短縮入院、自己管理へ
治療方法の進化に伴い、手術後の入院期間も大幅に短縮されています。
以前は2週間以上の入院も珍しくありませんでしたが、現在では平均5〜6日で退院される方が増えています。
これは患者さんの身体的負担を軽減し、早期の社会復帰を促す喜ばしい変化です。
しかし、その一方で、術後のケアやリハビリは「自己管理」へと移行しているという現実があります。
病院での手厚いサポート期間が短くなる分、ご自身の身体と向き合い、日々のケアを継続していく時間が、医療機関の外で求められるようになっているのです。
見えない不安との闘い
自己管理が求められるようになると、多くの乳がんサバイバーが痛みや再発への漠然とした不安と常に向き合うことになります。
「この痛みは普通なのだろうか?」「もしかして、再発のサインではないか?」といった疑問や心配が頭をよぎり、一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。
その不安から、「無理をしてはいけない」「とりあえず安静にしておこう」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
「無理をするのは怖い。でも、このままでいいのだろうか?」
不安の中で、相反する二つの声が交錯する。これは、多くの乳がんサバイバーが経験する葛藤でもあります。
次の記事では、このような不安を抱える中で、なぜ医師が「運動」を推奨するのか、その理由について詳しく見ていきます。