膝を打撲
膝を打撲して曲げると痛む。
というような局所的な症状であったとしても、それが膝だけが問題とは限りません。
膝を打撲したのですから、膝に何らかの問題があるのは当たり前です。
しかし、普段から体調の悪い人にとっては、弱いところに強く反応がでて、痛みが治らない状態になってしまいます。
肝臓の一部の反応と「血」の流れ、裏証という深い問題があります。全体ではなく、後中央の右側の一部です。
C型肝炎も患っているし、心筋梗塞も既往歴としてあります。
当然そのあたりには怪我をしても問題が起こりやすくなります。
既往歴というのが大事なのは、こういう反応を感じとる為の予備知識としても必要です。
もちろんそれに囚われないことが大事です。
あと捻挫や骨折などの既往歴でも足の動きが変化してきます。
小腸の営気の低下もあり、栄養障害は、健側の下腹部から膝内側まで反応があります。
営気は「血」の流れと関係するように思います。血管そのものにも影響し、うまく栄養を各組織に流せないという問題も起こりやすくなるように思います。
膝を触診してみても部分的にしか異常はありません。
つまり、歩行困難になる程の打撲ではないということを意味しています。
しかし、足首から足背の母指側には、かなり緊張があり、足首の方が足全体としては問題になっています。
そこで足を観るのが上手い人だと足首から問題を解決しようとしてしまいます。
全体的には肝臓の反応が強いので、足首を先に調整してしまうと、全体的には不都合が起こります。
得意な治療は、最初に行ってしまいたいというのは人情です。
しかし、それでは不都合が起こることもあるということです。
よく仙骨を調整すると全ての症状が良くなるという言う方をする人がいますが、実際にはこういう不都合も起こります。
全体的なポイントではないのに、仙骨が全体と関係するという条件設定を最初からしているから、不都合が起こってしまいます。
それは足の調整をして、全身に影響があると思っている人も同じです。
全体として異常のある部位というのは、常に変化するというのが正しいのです。
よく観察する必要があるということですね。
肝臓の反応がなくなると右胸の皮膚に問題がでてきました。
皮膚です。
肩の動きとも関係します。
肩は、足と常に連動しています。
体幹の捻れも関係します。
そして体幹の皮膚の動きをよく観察していると体幹の動きとも連動し、それが肩に影響しているのも観察できます。
これを調整すると肩の動きも良くなりました。後に手を回すと痛みがあったので、これも全体として膝と関係しているという状態です。
この時点で、自然に足首の反応がなくなっていました。
足首には何も治療をしていません。
つまり、足首の調整は一切おこなわずに肝臓と肩の調整をすることで足首の反応はなくなったということです。そこで膝を観てみると膝だけの反応がでています。
ここで局所の調整を行えます。
テーピングを異常反応のあるところにだけ合わせて貼りました。
すると曲げても痛みはなくなりました。
テーピングはスパイラルテープを5mm幅で10センチぐらい貼っただけです。
これで膝がコキコキと曲げるたびにいっていたのもなくなりました。
既往歴が様々にある人が、怪我をしたりすると治りにくくなるのは、このような理由があるためでしょう。
得意な治療を先に考えるのではなく、しっかり全体を観察して得意な治療が適応かどうかを見極め、局所の治療を行うということが大事ですね。
もちろん、いきなり局所への刺激が適応という場合もあります。
常に臨機応変です。
頭を柔らかく。