Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

現代研究会

2018年度後期発表6 空間から考える地域創生

2019.01.18 23:55

発表者 佐藤仁美


あなたは、どんな地域にお住まいですか? どんな地域で活動されていますか?

そこは、あなたにとって魅力ある場でしょうか?


地域創生を空間からアプローチするなら、住空間が一つの鍵となろう。

住む場所とは、

「どのように暮らしていきたいか」「人生をどのように生きたいか」という自分への問いであり、

都市は、住む人のライフスタイルを反映しているとも言えるだろう。


島原万丈&HOME`S総研は、都市を官能評価[Sensuous evaluation] (五感で評価)する試みを行い、

『本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング 』(光文社新書 2016)にまとめた。


キーワードは、“Sensuous”。 人間の生身で都市を評価してみようとする目線、五感、感覚…。

従来の公的統計(都市力=安心度・利便度・快適度・富裕度・住居水準充実度)では、箱を整えるにすぎず、実や質を整えなくては、本当の意味での住みよさは生まれないと説く。


色々な側面から、日本全国の都市をランキングしたところ、

「住みたい街ランキング」は「住んで良かった街ランキング」ではないことが示された。


デンマークの建築家:ヤン・ゲールは、

『人間の街: 公共空間のデザイン』(北原理雄訳 鹿島出版会 2014)において、

まちは、「アクティヴィティ、空間、建築」の順で考えるべきで、

「人びとが歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話すのに適した条件を備えていなければならない。

これらの基本的活動は、人間の感覚器官や運動器官と密接に結びついている」と述べ、

アクティヴィティは、人間の感覚、身体そのものに結び付いていることを説いている。

都市は、身体で経験されるものであり、「不特定多数の他者との関係性の中に存在」する。

「身体で経験し、五感を通して都市を知覚する」ことが大切である。

日本の建築家:松村秀一は、『空き家を活かす 空間資源大国ニッポンの知恵』(朝日新書 2018)において、

空き家になった空間資源を生かすには、

「人間と場の関係として共感できるものを発見し、

それに動かされてまた思いもよらなかった部分を掘り起してみるというような行為」を必要とし、

“土地・建物に耳を傾け、肌で感じる”大切さを説く。

そのためには、

コミュニティ・アプローチの視点を持って、場と個の(ニーズ)アセスメントを行い、

キーパーソンやキーワード把握を前提とし、専門家と非専門家が協働し、遊びの要素をもって、

土地と人とのコミュニケーションを通して、居心地の良いものを作り上げていく必要がある。

土地や資源の再活用・再活性化には、リフォームではなく、リノベーションが適する。


リフォーム:reformとは、「悪い状態からの改良」、つまり、老朽化した建物を新築の状態に戻すこと。

マイナス状態のものをゼロ状態に戻すための機能の回復。

リノベーション:renovationとは、「革新、刷新、修復」、既存の建物に大規模な工事を行うことで、

性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりすること。

プラスαで新たな機能や価値を向上させること。


2017年4月、『リノベーションまちづくりサミット2017』が行われ、地域再生の最前線にいる全国各地のまちづくりの担い手が集結し、それぞれの立場で得た知見をより広く共有し議論する場が設けられた。リノベーションを活用した地域再生として、北九州市小倉(民・学・公の連携によるまちづくり)・奄美市(離島の仕事創出で地方創生)・山梨県小菅村(クラウドソーシングを用いた地方創生)の取り組みをはじめ、多種の試みがある。


リノベ再考

心理臨床の世界においても、輸入した技法の日本基準を作り、本筋を変えないよう日本にあったアレンジを行っている。ものによって、そのアレンジに幅がある。

しかしながら、その技法が、一時のブームになるか、定着するか、風土に合うかの問いが残る。

例えば、スイスでD.カルフにより提唱された“sand-play”は、河合隼雄により日本に持ち帰られ、「箱庭」として紹介された。直訳ならば「砂遊び」。しかしながら、日本では、盆景や箱庭文化が根付いていた背景から、あえて「箱庭」療法として紹介され、心理理臨床の現場に定着し、今日に至る。

同様に、限界集落において、「今」や新規な物を投入しながら復興を目指す場合、工夫が必要とされ、

コミュニケーション(力) ・風土を理解する姿勢・既存の文化に順応・適応できる柔軟性が鍵となろう。


リノベにおける提案

限界集落において、元々そこにある地のものも、新しく参入してくるも、双方の歩み寄りが必要であり、

イベントを繰り返しつつ、外に働きかける努力も必要である。

それには、メディアの力(hard) を利用した、アピール力~assertion力(hard・soft)が求められる。

観光から移住に向けて、リピーターとの交流・社会性が必要であり、そのためには、

リピーターが定着できる魅力・感受力・発想力・イメージ・工夫・資源活用・・・が必要とされる。

キーワーズは、感受性・柔軟性・コミュ力・理解力・想像性+創造性・・・



参考資料

リノベーションスクール http://www.renovationschool.net

ランサーズ エリアパートナープログラム https://l-ap.jp/dictionary/kitakyusyu/

ランサーズプレスリリース(奄美市提携) http://www.lancers.co.jp/news/pr/9661/

NPO法人多摩源流こすげ http://npokosuge.jp/project/crowdsourcing

島原万丈+HOME`S総研 『本当に住んで幸せな街 全国「官能都市」ランキング 』光文社新書 2016

https://www.homes.co.jp/souken/report/201509/ranking/

松村秀一『空き家を活かす 空間資源大国ニッポンの知恵』 朝日新書 2018

ヤン・ゲール 北原理雄 (翻訳) 『人間の街: 公共空間のデザイン』鹿島出版会 2014