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女子には衝撃、ミュージカル『イヴ・サンローラン』で魅せる男の愛

2019.02.16 04:20

【高級ファッション報道】 平成三十一年二月十六日に東京・大手町にてミュージカル『イヴ・サンローラン』のゲネプロが報道陣向けに公開された。主催は東京公演がニッポン放送、兵庫公演は兵庫県立芸術文化センター。東京が三月三日まで、兵庫は三月二十六日のみ。後援は在日フランス大使館とアンスティチュ・フランセ日本(旧・フランス大使館 文化部)。


本作では、二十一歳で「クリスチャン・ディオール」の後継者に抜擢され、“モード界の帝王”と呼ばれたイヴ・サン=ローラン(丙子)を五十年に亘って支えたパートナのピエール・ベルジェ(庚午)からの視点で「能」の如く死者が語る。ココ・シャネル(癸未)やディオール(乙巳)等もイブを見つめる。


イヴの時代のファッション界は、オート クチュール(高級仕立服)からプレタ ポルテ(高級既製服)へのトレンド変化を迎えていた。現在のコレクションでも主流のプレタ ポルテだが、イヴが線の細いモデルを重用した事により、「モデル=細い」の世界的なイメージが確立された。それまでのオート クチュールは、ふくよかな線を意識していた。現在のファッション界は、揺り戻しで、細いから女性らしい線に戻りつつある。


ゲネプロでは、東山義久(丙辰)がイヴを演じた。二十五年には肉体表現の可能性を追求するカンパニ「BOLERO」を立ち上げている。本作はWキャストで、他方は「ライオンキング」の主人公シンバ役を演じた海宝直人(戊辰)。彼らがイヴへのオマージュとして本作を捧げる。当日のパートナであるピエールは、上原理生(丙寅)が演じた。作・演出は宝塚歌劇団出身の萩田浩一。


若者を強く意識するイヴ。生地に触れるだけでデザインが見える天才性。ビジネス面でも支えたピエールの批判的なマスコミ排除の失敗。そして真実の愛。ドラッグにも手を染め、性に堕落してしまったイヴの栄光と陰をピエール視点で綺麗に仕立てていた。男と男との衝撃的な演出は、まるで漫画から出てきた様な構図であった。




撮影記事:金剛正臣