神奈川県公立高校入試問題分析と解説と感想2019(平成31年度) 森の英語編
さぁ、神奈川県高校入試分析の三回目は、永遠のトップバッター英語についてです。
ちなみに、過去のものはこちら。
・国語
・社会
それでは、入試当日、朝の一発目の科目となる英語について、細かく見ていきたいと思います!
全体の概要
今回もはっきり言い切ってみましょう。あくまで僕の実感値ですが、
難化
というより、
なんか面倒化
という印象です。難易度はそんなに変わっていない印象を受けましたがどうでしょうか。その実態については、ぜひ下記にて中身をご覧ください。
英語がスラスラ読める生徒、時間配分を考えながら解けた生徒が高得点の印象でした。
生徒の感想
「リスニングが聞き取りづらかった」→会場によって様々だったよう。
「終わらなかった」→こういう方がいっぱいいたのでは。
「最初だから、おきにいってしまった」→気持ち的な部分での失敗。
「簡単なとこと難しいとこの差が激しい」→そうですよね。参考までに昨年の正答率表を載せておきますね。英語が苦手な人は、「取れるところでちゃんと取る!」ということが大切です。
「余裕だった」→個人的には難易度がぐっと上がったわけではないと感じています。できる子にとっては例年並みの感じかな。
「アキさんいい子だなって思った」→余裕あり。
配点
問1 各3点 計21点
問2 各2点 計6点
問3 各3点 計12点
問4 各4点(両方できて) 計12点
問5 計5点
問6 各5点 計15点
問7 各5点 計10点
問8 各5点 計15点
配点に関しては昨年と変わらず。リスニングが2割、長文が4割の配点を占めています。それだけで60点分ですからね。これから受験生になる方はそれを踏まえた上で、しっかりとした対策が必要です。
では、どんな対策が必要なのか、中身を見ながら考えていきましょう。
さぁ、大問の森へ向かおう
問1 リスニング
問1はリスニング問題。気になるスピードに関しては、「いつも通り」という人もいれば、「ちょっと早かった」という人もいました。実際はどうなんでしょう。ちょっと早くなったとしても慌てず解けるように練習を続けたいですね。
あったほうがわかりやすいかと思うので、リスニングの台本を載せておきます。
(ア)は、MaryとKenjiの会話を聞きながら、チャイムのところに入るKenjiの言葉を選ぶ問題です。一つずつ疑問詞に注目して見ていきましょう。
No,1は「how about asking Mr,Tanaka about the homework today?」と訊いていますね。「How about ◯◯」は、「◯◯についてどう思う?」ってことです。急に出てきた第三の登場人物たなかさんに、宿題について尋ねることについてどう思う?と訊いているわけですね。「Sure」には「ぜひ!」等の意味があります。
No,2は、「What is he studying?」と訊いているので、彼(弟)は【何】を勉強しているの?と訊いているんですね。studyの音を頼りに選択肢を選ぶと、2のとんでもないストーリーを選ぶことになります。実際はとっても楽しそうなものを学びに行っているようですね。
No,3は、「What did you last year?」と訊いています。また【何】です。ここではプラスアルファ「did」や「last year」を聞き取って、過去形のものを選べれば簡単です。
続いて、(イ)に参りましょう。今度はFrankとMikiの対話を聞いて、書いてある質問の答えを選ぶ問題です。ちょい先に質問を読んでおいて、意識しながら対話を聞けるといいですね。
リスニング最後の(ウ)は、かもめ高校の新入生に行った学校行事アンケート結果について生徒会長が行う挨拶を聞いて答える問題です。設定がややこしいですが、とにかくメモを駆使して情報を掴み取りましょう。これも前もって記載を読み取り、意識してメモが取れると良いでしょう。③は最悪予測も可能か?
21点分の配点ですから、県がリスニングを重要視していることがわかります。普段から英語を聴く機会を増やして、耳慣れをしておくようにしましょう。「そうだよなぁ」と思ったこれから受験生になるあなた!もういつ何をやるのか決めてしまって、実施してみましょう。
例えば、好きなディズニー映画とかを英語音声・英語字幕で見たりするのもオススメです。発音がキレイなんですよね。
対策に困ったら、学校や塾の先生に相談してみましょう。ここを得点源にできると大きいですよ。
問2 単語記述
問2はショウヘイとボブの会話への適語補充。毎年どんな単語が出たか話題になりますよね。
(ア)をbeenと書いた人は文法をしっかり学びましょう。おかしな意味になることがわかりますよ。中国生まれということを言いたいんですね。
(イ)は音としてはわかっていたけど書けなかった人も多いのではないでしょうか。単語練習って大事。
(ウ)には「続ける」という動詞が入ります。やりとりを続けているということですね。現代の子達はゲームオーバになった時の「コンティニューしますか?」ってあんまり見たことないのかな。誰かがジョジョで見たって言ってたな。ありがとう、ジョジョ。
この単語記述の問題は、わかりそうな人は少しだけ悩んでもいいですが、わからなければ一旦スッパリ切って先へ進むことです。配点の大きな後半の長文に時間を使いたいですからね。
対策法については、下記のリンクが参考になるかと。
問3 適語選択
問3は、適語選択の問題です。シンプルに文法や単語の力が問われます。ここは点数の取りどころ!
(ア)は、be動詞の問題。主語が単数で、歌っているのは今ですから、答えは1になります。現在進行形ですね。関係代名詞の省略もあります。たった一文でbe動詞についての理解がわかるけっこう好きな問題かも。
(イ)は、単語じゃなくなりました。熟語でもない。これだけ長いのは初めて見たかも。ただ、問題自体は簡単です。社会のクーリングオフと「同じくらい」簡単です。
(ウ)は、時制の問題。Whenは「いつ?」じゃなく「とき」と訳します。過去形ですね。
(エ)は、札幌の話かな(雪まつり)。whichひっかけを狙ったんでしょう。関係代名詞の期待を裏切り、期間を表す前置詞が入ります。
練習のときには、この形式の問題を解いて、毎回「なぜこれが入るのか」を説明するようにすると力がつきます。選んでは説明、選んでは説明で地力をつけましょう。
問4 並び替え
神奈川県の並び替え問題は難関として有名です。6語に1語不要なものが混じっているという厄介な問題。一つずつ見ていきましょう。
(ア)は、疑問詞の問題。「what food do you like」the best.になりますね。割とイージー。
(イ)は、look+◯◯で「◯◯そうに見える」と訳します。不定詞もありますね。My sister「looked happy to see the」animals there.です。
(ウ)は、不定詞の問題。個人的には一番難しいかなと感じています。I've wanted「to have a watch like」this.somethingとtoがあるとsomething to 何たらが作りたくなる罠。
(エ)は、名詞とofについて。Do you know the「name of the tall girl」singing under the tree?となります。the多し。A of Bで「BのA」ですからね。
一番気になるのは、なぜ木の下で歌っているのかですが、きっと謎は解明されないので先へ参りましょう。
問5 英作文
問5は毎年最難関の英作文。ひとつづきの絵と英文を見て、ふさわしい内容となるように適する英語を書く問題です。
今回は、アキがカナパークで花を見て感動し、そこへ来週来る海外からの友達を連れてきたいので、ガイドさんに「来週来ても花を見ることができるか」と尋ねるという問題でした。
条件にあるableとseeとwe、そして回答に使われているwill、上記のコマでも使用されているthemを使えば割と簡単に書けちゃいますね。「(Next week,) will we be able to see them?」となります。そこで油断して大文字にしちゃったり「?」を書き忘れたら減点ですので注意。
問2からこの問5までが7〜11分ほどで解けていたら、いいペースです。リスニングと合わせて21分弱。残り時間を、思う存分長文で使うことができます。
さぁ、そしてここからが勝負の長文です!なぜ勝負かって?配点がでかいからです!そして、正答率もそこまで低くない問題が続きます!
ただ、その文字数は圧倒的。同じ神奈川県の先生がこんな有難いつぶやきをされていました。
あらま。昨年も昨年で多かったんですけどね。
これが英語を「森」と称した理由です。
それでは、参りましょう。
言葉の森へ、ようこそ。
はまったら、地獄ですよ。
問6 長文読解
貼っただけで長いと思ってしまいました。問6は長文読解。高校生のサチが、出席した「高校生議会」について行った発表の原稿からの出題です。昨年の正答率は(ア)が64.6%で、(イ)が50.3%ですから、英語が苦手…という方も正解が狙えます。
参考までに、自己採点で100点を取ってきた子の解き方の例を併せて載せておきますね。読解の方法は人によっても変わると思うので、あくまで参考までに。
(ア)は、選択肢をきちんと訳せてしまえば前後の文から答えが絞り込めます。神奈川県はあまり捻りがないので、ポンポンいけるはず。例えば①は後の「それはエネルギーを使う」に噛み合う文がCだけですよね。②も後の「私はそう思う」につながるのはAだけです。2つが決まれば、③は確認程度に入れ込んで読んでみて、オッケーだったらオッケーです。
(イ)も同様に、まずはきちんと選択肢を訳し、前後の文を見て判断しましょう。例えば後に、「地球にとっていい。なぜなら私達の町から運ぶほうがアメリカから運ぶよりCO2が少ない」みたいな文があるので選びやすいかと。直後の絵もヒントになりますね。
(ウ)は、上から訳していって、本文を見ながら正解を見つけたら、選択肢からもう一方を抽出して確認する方法が一番早いと思います。ここで言えばbを見つけて、次に(選択肢2の)dか(選択肢4の)fか(選択肢6の)eから読むということですね。
ちなみに、不正解の選択肢の理由についても書いておきましょう。
aは、assemblyという特殊な単語で検索かけて、見つけた一行目と二行目の文でカタがつきます。初めてじゃないから☓。
cは、グラフから読み取れます。自給率が40%ですから、他国から40%は計算違って☓。
dは、6ページラスト辺りで真逆のことを言っています。
fは、mayorという単語で検索をかけて、本文の最後の段落付近で答えが判明します。不定詞以下が間違っていますね。
ここを10分弱で乗り切れたら、いいペース。さぁ、ゴールまでもう少し!
問7 図表読解
問7は、図表読解。難易度的には下がる設問なので、ここで点数を稼ぎたいところ。昨年の正答率は69.1%と73.2%でしたからね。
(ア)は昨年お休みされていた足し算問題が復活。本文中から「16歳」「毎木曜日」「4:30〜5:00」、表から「金額(10000円)」、追記から「最初の一ヶ月目は半額」「3000円の教材費」が読み取れれば良しですね。
(イ)は電車の乗り換え案内。落ち着いて二人の会話を読んでいけば正解にたどり着けます。僕は乗り換え楽しむ派なので、真っ先に切られたAで行きますけどね。
ここはなるべく短時間で正解して、最後の問題に時間を残しておきたいところ。そう、長いやつが待っていますからね。
それでは参りましょう、遂にここまでやってきました。森の奥には迷宮が広がっています。
問8 対話文読解
問8は対話文読解。まぁ、一言で言えば読むのが面倒くさいですが、人生面倒くさいことが大切ですからね。しっかり読み解いていきましょう。
英語が苦手な子は、注釈の日本語から「あ、防災についての話なんだな」と認識して読むと読みやすくなるかな。中学校では「ハザードマップ」についての指導を必ず行うはずなので、その知識があれば選択肢も削りやすかったかもしれません。
(ア)は、Keikoのセリフの穴埋め問題。ハザードマップの話をしているわけですから、隣人にシェアすることが正解になりますね。
(イ)は、手に入れたマップについて。11ページの後半から12ページの中盤までの間に散りばめられたヒントを探して正しいマップを選ぶ問題です。はい、たしかに少し面倒ですが、人生にはコツコツやることってとっても大事なんですよね。
選択肢1は、12ページ17行目18行目に書いてある「お店にスティッカー」が貼ってないから☓。
選択肢2は、11ページ終わりから12ページ頭に川沿いはダメって言ってるのに無視しているから☓。
選択肢3は、12ページの2つ目のkeikoのセリフにKaede streetに関する怖い記述があるから☓。ちなみに、この理由で選択肢6も☓。
選択肢4は、12ページ前半から中盤にかけてで、集合場所を家じゃなく公園にしようって言っているから☓。
というわけで、正解は選択肢5になります。本文中の各条件にも合っていますね。
さぁ、最後の問題です!(ウ)は、本文の内容一致問題。これまた少し面倒ですが、そうそう、もうお分かりの通り、面倒なことこそが人生において大切なものだったりするのです。今回はそれが得点になります。頑張りましょう。
これも問7の時同様、一つ合っているものが見つかればショートカットできますね。ただ、残念ながら、どちらも後半の選択肢でした。これまたひとつずつ見ていきましょう。
aは、防災訓練に行ったのはMaryとその家族なので☓。
bは、11ページ真ん中のMr,Brownの発言と異なっているので☓。
cは、助けなしで生きるためが☓。
eは、12ページ後半のくだりから、まだ歩いていないことがわかるから☓。
dは、12ページ中盤から後半にかけてのMr,BrownとNaotoの会話から、fはMr,Brownの最後のセリフから読み取れるので正解の選択肢ですね。
余談ですが、これまた英語で高得点を取った子が「え、だってさ、災害とかの話で【〜なしで】とかネガティブなことが正解になるわけなくね?」と言っていて、「メタ視点!」となりました。
全問題の解答はこちら。
ここでは、全問正解狙うような時間配分について表記してきましたが、来年度以降の受験生で英語が苦手という方は下記のリンクの解き方を参考にしてみてください。
上位層に差がつきにくい英語はおそらく今年も同様で、ちょっと面倒くさくなった印象はありますが、取れる子はガッツリ点数を取れる問題でしょう。小田原のすごい塾、慧真館さんが素晴らしい分析をされています。参考までに。
中堅層から英語が苦手ゾーンの子達にとっては、昨年よりも苦戦かな。最後に、来年度以降受験生になるそんな子達向けて、練習方法を記しておきます。
まずは単語。これはコツコツやるに限ります。1日3個でも5個でも10個でもいいから、何か覚えるものを用意して、コツコツ語彙を増やしていきましょう。朝、昼、夜と繰り返せば覚えるのなんて楽勝ですよ。
そして、次に文法理解です。英語のルールなんて、野球のルールよりよっぽど簡単です。これについては、例えば下記の系統図を見てひとつずつの文法を説明できるぐらいになれればオッケーです。英語だけでなく、どの科目も「説明できる」ぐらいの知識がつけば怖くありません。
最後の最後に、長文を見て「読みたくない」とならないような、英語に慣れる練習をしていきましょう。
あ、最後と言いながら、もう一つだけ。
今年度の受験生のみなさんへ。もしもこの分析を見ている方がいたら、大事なことをひとつお伝えしておきましょう。
朝一からこの問題に立ち向かったあなた達は大したものです。グッジョブ。受験が終わっていたり、あとは面接のみというあなた達に、こんな酷なことを言わなければならないのは胸が痛みますが、大事なことなので言っておきます。
おそらくほとんどの高校で、授業数が最も多いのが、この「英語」という教科です。
入試の英語がうまくいかなかった、という方は、ぜひこのタイミングでもう一度やり直しをしておくことをオススメします。
大学受験や教育改革でも、やたらプッシュされているのが英語ですからね。やっておいて損はありません。
以上、おせっかいでした。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
森から抜け出たら、向こうに光が見える。