【8/21名古屋入管申し入れ】ゼロプラン反対!不当な再収容・強制送還をやめろ!
2025年8月21日に、8月18日から20日にかけて名古屋入管が行った、仮放免者に対する不当な再収容と強制送還に対する抗議申入書を提出しました。
実際に名古屋入管に提出した申入書はコチラ(名前は伏せています。)↓
今回、再収容、強制送還の対象となった2名は、いずれも母国に帰ることが出来ない、日本に滞在しなければならない切実な理由があります。
モンゴル国籍のAさんは、収容前に働いていた会社で未払い賃金があります。その金額は多額であり、生活するために必要であったため、そのまま帰ることはできず、また、何より、汗水流して働いた分に対して賃金が支払われないことは、Aさんとして到底納得のいくものではありません。会社と交渉するためにAさんは仮放免で外に出て、生活してきました。(仮放免になる過程においても、問題がありました。)
詳しくはコチラ↓
仮放免で外にでたものの、会社側の都合ですぐに未払い賃金を請求できる状態にはなかったため、8月に会社との交渉がはじまると、入管には伝えていました。しかし、これまた会社の都合で交渉がはじまるのがさらに11月まで遅れることになってしまったので、Aさんは8月、入管に出頭したときにそのことを伝えようとしていました。
モンゴル国籍のBさんは日本人配偶者と2024年7月に婚姻届が受理され、日本で共に人生を歩んでいこうと考えていました。
このような事情を抱えながらも、モンゴル国籍の2名は仮放免という、働くこともできず、保険も効かない、人として日本で生活する権利を認められていない状態にあっても、真面目に生活してきました。
しかし名古屋入管は、2名に対して、これまで仮放免の理由を認めていたにもかかわらず、8月18日にAさんを、19日にBさんを、なんの理由もなく突然再収容し、あろうことか、20日に2名を同時に強制送還しました。
出入国在留管理庁は2025年5月、「不法滞在者ゼロプラン」を発表しました。このプランは、入管が不法滞在者と呼んでいる仮放免者、被監理者、被収容者の強制送還を増やし、2030年までに半減させるというものです。当プランの目的は、「我が国の安心・安全を脅かす」不法滞在者を追い返すために、そのような「外国人の入国・在留を阻止」することです。その具体が、今回抗議申し入れした、モンゴル国籍の仮放免者に対しての不当な再収容と強制送還であると考えます。
8月21日、STARTと市民の支援者で、名古屋入管に対し2名を不当に再収容、強制送還したことは人権侵害であり、二度とこのようなことを繰り返すな、という内容で抗議申入れを行いました。
申し入れの場で、STARTから「なぜ、2名を強制送還したのか。」問うと、対応した職員は「お答えできない。お答えする必要もないと思っている。」という内容の発言をしました。それに対して、なぜ答えられないのか、どのように組織として議論されたのか説明を求めても、「退去強制令書が発布されるまでの経緯や、仮放免になってからなど、違反の経緯を総合的に判断し、送還している。」と回答するのみでした。またゼロプランのもとでのムリヤリ送還としてあることを追求したら、「これ(ゼロプラン)はあくまで全体として見たときのものであって、個別一人一人見ているものではないのではないか。ゼロプランがあるないに関わらず、この方たちは帰らないといけない立場の人である。」と回答があり、それに対して個別の事情を見てないのかと追求していくと、最終的には「送還も個別の事情を鑑みて決定した。」と発言し、個別の事情を鑑みたのであれば強制送還をしていい対象ではない。名古屋入管の対応は、人権侵害であると追求すると、職員は押し黙りました。入管職員の様子としても、「そもそも、あなた方と入管で意見しているところが違うので、これ以上話しても進まないと思う。分かり合えない。」という趣旨の発言が何度かあり、申し入れの場を早く打ち切ろうとしているような様子でした。
入管は「個別事情を鑑みて、総合的に判断し、送還を決定した。」と発言していますが、本当に個別の事情を見ているのであれば、2名は強制送還するべき対象ではなく、仮放免の理由にもなっている、人道的に配慮が必要な対象であると判断するはずです。それを入管としても認めていたからこそ、仮放免を許可していたのです。
Aさんの抱えていた問題について言えば、労働基準法は、外国人、非正規滞在者であっても適応します。会社の賃金未払いは違法です。Aさんには、未払い賃金を全額回収する権利が法律上認められています。入管は、非正規滞在者を働かせて賃金未払いをしていた会社についても取り締まらなければならない立場にあります。
Bさんは、再審情願(非正規滞在者が入管に対して行う在留資格審査の申請。正式な手続きではないため、入管は審査しないと判断することもできる。)にて在留特別許可を求めていました。入管は、在留特別許可の許否判断に当たっては、在留を希望する理由、家族関係、素行、人道上の配慮の必要性等を考慮するとしています。日本人の配偶者がおり、オーバーステイ以外法律違反を全くしていないBさんは、在特許可の条件に十分当てはまると考えられます。
強制送還をもって、Aさんの賃金を取り戻したいという要求の実現を妨害し、Bさんと、生活を共にしている家族を引き裂くことは、明らかな人権侵害です。
なぜ、入管庁はこれほどまでに強圧的な態度を取るのでしょうか。その背景には入管の民族差別の価値観があると言わざるを得ません。例えばアメリカ人になら、日本人であれば、こんな酷い仕打ちはしないはずです。
入管の民族差別によって起きた、2名のモンゴル国籍の仮放免者に対する人権侵害に対して、STARTは断固抗議します。そして、二度と同じことが繰り返されないよう、個別の事情を鑑みない、不当な再収容、強制送還に反対し、その背景にあるゼロプランの取り止めを引き続き求めていきます。