Andoroidの祭典「ABCD 浜松 2019」開催レポート!
▲写真は、ABCD 浜松 2019公式イベントページより
2月9日(土)、「Android Bazaar and Conference, Diverse 2019(通称:ABCD)」が、浜松市民のアート活動の拠点である鴨江アートセンター(浜松市中区)で開催されました。ABCDは、“Androidの祭典”である“ABC”の地方版。2017年の金沢、2018年の香川に続く3ヶ所目の開催でした。
Divers(多様な)から取ったABCDの“D”は、今回の浜松での開催に合わせて「~ダモンデ」の頭文字としたそう。「~ダモンデ」は、「~だからね」という意味で使われる、浜松地方でおなじみの方言です。
ちなみに、フランス語にも「Dans monde=世界で」という単語があるそう。このABCDから、世界に羽ばたく技術が出るかもしれません!?
なぜ、浜松でAndroidまつりなのか?
登場から10年。Androidはさまざまなデバイスがとつながり、世の中をより便利で楽しいものへと進化させてきました。ですが、新しいテクノロジーや事例を紹介するセミナーは、東京や大阪などの大都市で開催されることがほとんど。「ワクワクするようなセミナーを浜松でも聴きたい!」と思い立ったメンバーにより、ABCDが浜松で開催されることになりました。
浜松は、楽器や繊維、輸送機器、光技術といったさまざまな産業や文化が発展してきた街です。そんな浜松とAndroidがコラボレートしたら面白そうですね。ということで、早速、当日の様子をレポートしていきます。
仮想現実からWatsonにUI/UXまで、インターネット世界のトレンドをキャッチ!
最新の取り組みやトレンドなど8テーマが、セミナー形式で発表されました。当日のテーマと発表者は、以下の通りです。
10:00~ 基調講演「Android10年 未来に向けて」
特定非営利活動法人日本Androidの会理事長 堤 是一
10:45~ Civic&GovTech時代のアプリ 市川電産 市川 博之
11:30~ 静岡県西部地域の地下水温変化から見えてきたこと
特定非営利活動法人地下からのサイン測ろうかい 上久保 廣信
13:00~ ARCoreとモバイルARエクスペリエンス
フリーランス、日本Androidの会 コミュニティ運営委員eegozilla
13:45~ スマホでもスピーカーでも!Googleアシスタントアプリ開発の基本からマルチデバイス対応まで
株式会社ビデオマーケット 里山 南人、ヤフー株式会社 一円 真治
14:30~ WatsonAPIで創ろう!
日本アイ・ビー・エム株式会社 DeveloperAdvocate 西戸 京子
15:15~ クロスプラットフォーム開発を検討しよう~Xamarin編~
フェンリル株式会社 太田川 洋
16:00~ PWAhascome!! 日本Androidの会コミュニティ運営委員 進藤 龍之介
実は、著者がセミナーに参加できなかったためにセミナーの内容を書けず。一部の講演資料は、ABCD浜松イベントページからご覧ください。
議事録や仕様書にも使える「グラレコ」を学ぼう!
記録の手法として最近注目されている「グラレコ」をご存知ですか?グラフィックレコーディングの略で、会議や講義の流れを絵や図で現していく方法です。レコーダーがリアルタイムで作画するので、一目でわかる議事録となったり参加者同士の合意形成がしやすくなったりします。会話やアイデア出しを促進する効果もあるとされ、お手軽で便利な記録方法です。
「グラレコ」をはじめるにあたって、絵心はなくても大丈夫!ポイントを掴んで実際にやってみましょうということで、自治体や企業などで出張講座を開いている市川電産によりレクチャーがありました。
ヘンテコと最先端は紙一重!?おもしろ開発者たちのバザール
浜松にも、IoTやAIに関するさまざまな活動をしている「おもしろ開発者」たちがいるのです。そうした人たちが、趣味や仕事で研究開発を行ってきたことが、浜松のIT文化を発展させています。その取り組みがバザール形式で展示されていました。
リズムが光り、デジタルで魅せる!
大手楽器メーカーのサウンド・エンジニアが展開する同好会「R−MONO Lab」。メトロノームのリズムに合わせて光る電子デバイスと、幾何学模様を映し出すコンピューティングシステムを展示しました。
「派手なメトロノームを作ってみたかった」という出展者さん。ピアノのレッスンが苦手なお子さんも、これしたツールがあると教室に通いたくなるかもしれませんね。
例えば、音楽デバイスをエレクトロニクスと組み合わせた「光るデジタル」なライブの様子は、以下のチャンネルから。
チャンネルネーム:sascacci
掃除しながら演奏できる!?ほうきギター
見たまんまほうきのギターを発表するのは、ねや楽器。ほうきの穂の部分をピックではじくと、ギターと同じような演奏ができる電子楽器です。高校の文化祭で余った売上で「ほうきをギターにしたらおもしろい!」とひらめいて開発。今では、全国に演奏を披露しに行くほどの有名人となりました。創業は明治29年というほうきの老舗「吾妻箒」が息づく浜松で、ほうきが電子楽器になったのは不思議なご縁です。
奇妙な楽器を世に出しつづけるサラリーマン
サラリーマンをしながらキテレツな楽器ブランド「奇楽堂」を運営している長谷部さん。「ストレンジな(変わった)ことをしてみたい」という好奇心たっぷりなブランドマネジャーです。
上の写真は、指でタッチするだけで音階を奏でることができる「Honeycomb Bell Block(Honeycomb=ハチの巣)」。ただし、ピアノの鍵盤とは音階の配置がまったく違うので、演奏がとても大変です(笑)。Honeycomb Bellを壁一面に張り巡らせてみるとおもしろいと、考えているそう。
実際に市販されている商品もあります。上の写真は、カバンに入って持ち運べるサイズの「ポータブルFM音源キーボード」。お手軽なサイズで正確な音が出る楽器がないという、演奏者の声を受けて開発しました。主に、合唱団などの練習で音取りに使っていただけたらとのことです。
Digital Synth VRA8-N
ISGK Instrumentsが発表したのは、市販のキーボードとパソコンにつないで、気軽に音づくりを楽しめるシンセサイザー。基板の設計・開発がご専門というISGK Instrumentsが、「基板で何かできないかな?」と考えて開発したそうです。今年で5周年、6作品目とのこと。研究や開発が面白くなって続いているのは、素晴らしいことですね。
(※)商品名がかっこ良いので、そのままタイトルに使用しました(笑)。
わたしの英会話の先生は、ロボット!
こちらは、IoT・AIを活用した英会話ロボットの「チャーピー」。アプリケーションやWebシステムを用いた教材の開発を手掛ける株式会社CAIメディアが開発しました。音声で会話を捉える対話型の教材で、顔を認識するカメラが発音までチェックしてくれるそう。新しいスタイルの英語教材ですね。すでに「チャーピー」は市販されています。気になる方はCAIメディアまでコンタクトを。
子どものためのプログラミング教室、「Coder Dojo」「Unagi.py(ウナギパイ)」
「Coder Dojo(コーダー道場)」は、7~17歳を対象にした、プログラミングを学べる教室です。非営利によって運営され、無料で受講することができます。日本各地に21のDojoがあるそうで、浜松にも立ち上げよう!と思った運営者さんが続けてきて4年目になるそうです。無料の開催だけに、続けるのはとても大変。それでも「プログラミングからは、大人になったときに役に立つ考え方を学ぶことができるから」という地域の子どもたちにかける想いで継続してきたそう。運営者は教えるだけでなく、子どもたちから教わることも多いそうですよ。
「Unagi.py(ウナギパイ)」は、月に1回ほどのプラグラミング学習会。“py(パイ)”は、プログラミング言語の「パイソン」より。言わずと知れたあの名産品をイメージさせるネーミングですね。AIなど毎回異なるテーマを取り上げていて、みんなで楽しく学べると好評だそうです。
出展者のみなさん、とても楽しそうに取り組んでいるのが印象的でした。さいごに、ABCDの開催にかける想いを関係者さんに伺ってみました。
「浜松には、音や光に携わる人たちが多いのが特徴です。例えば、子ども向けにITのワークショップをやろうと声をかけると、音楽や光を使ったものができるのは、こうしたコミュニティの人たちが頑張ってくれているからなんです」
「『ほうきギターのねや楽器さんがいるよね』といったように、浜松は“ちょっと目立つ場所”なんですよ。今日展示しているデバイスを作ってみようと思ったのも、浜松にいたことがきっかけになっています」
編集後記|
世の中の進化を加速させてきたAndroid。浜松でも最新の取り組みが行われているのですね。こうしたコミュニティを覗いてみると、ワクワクや新たなアイデアが得られます。機会を見つけて、みなさんも参加してみてはいかがでしょうか?