「ここが我々のホームだ」トヨタアリーナ東京
アルバルク東京 vs 長崎ヴェルカ プレシーズンマッチ
2025年9月20日、トヨタアリーナ東京で開催されたプレシーズンゲームで、アルバルク東京は長崎ヴェルカに59-55で勝利した。前半を長崎が33-21と大きくリードしたが、後半に入るとアルバルクがディフェンスの強度を上げ、第3クォーターだけで24得点を記録。最終的に逆転勝利を収めた。両チームのヘッドコーチ(HC)は、試合の総括とともに、新シーズンに向けたチーム戦略と現在の課題について言及した。
長崎ヴェルカ:NBAライクな環境でフィジカルな姿勢を証明
長崎ヴェルカのモーディマ・オールHCは、今週末の試合を、6ファール制など「本当にNBAの試合みたいな雰囲気」でできたと表現した。この試合では、選手7名と練習生のみという状況下にも関わらず、選手たちが相手よりもフィジカルに戦う姿勢を見せたことを評価。HCは、今シーズンは新しいチームであり、改善点も多く学ばなければならないとしながらも、基本的な戦う姿勢は実現できたと述べる。
スタイルの転換と優秀なスタッフ陣
ヴェルカの今季のバスケット展開は、昨シーズンから積み上げてきた基盤は維持しつつも、変化を加える。昨季がハーフコート主体の遅いピックアンドロールスタイルだったのに対し、今季はボールハンドラーが多く、ウィング陣の層も厚いため、ボールを早く運び、よりダイナミックなバスケットを展開していく意向だ。コーチングスタッフ体制については、ポール・ヘナレコーチを「本当に素晴らしい」人材だと称賛した。HCは、彼のような素晴らしいコーチを採用できたことは、他チームがアドバンテージを取れなかった中で、ヴェルカが逆に有利に働いたと強調。GM、アナリティクス、パフォーマンス、オペレーション、そしてアシスタントに至るまで、各分野で最高の人物を採用したと認識している。
アルバルク東京:ペースアップとスモールラインナップの試行
アルバルク東京のデイニアス・アドマイティスHCは、長崎のディフェンスの激しさを認めつつ、今日の試合を全体的に良いゲームだったと総括。前半のミス(レイアップ、フリースロー)から、第3クォーターでディフェンスを強化して流れを変えることに成功し、イージーバスケットやアシストからのオープンシュートを多数生み出せたと分析した。
ビッグマン故障への対応
ブランドン・デイビス選手とライアン・ロシター選手というビッグマン2名が故障している状況を受け、HCは開幕に向けてスタイルをアジャストする必要があると明言。プレシーズンでは、ザック選手が4番(PF)ポジションを担うスモールラインナップを試している。シュート力があり、状況判断に優れた選手を活用し、この難しい状況を乗り切りたいとの考えを示した。
新しいオフェンススタイルと3Pへの意識
今季のスタイルは、昨季以上にペースアップした早い展開を狙う。スペーシングは4アウトまたは5アウト(全員が外)を基本とし、ライアン・ロシター選手復帰後も4アウト1インの配置で攻めていく。ポイントガード陣がプッシュし、マーカス、安藤、福澤といったシューティングガードを活かして、速い展開で得点を狙う。この展開を実現するためにも、まずはディフェンスからしっかりとプレイすることを最重要視する。
また、チーム全体でスリーポイントシュートの成功率(本日39.1%)を意識しており、ビッグマン陣(デイビス、ロシター、サイズ)もアウトサイドシュートが可能である。特に、マーカス選手を中心にウイング陣がスリーポイントの確率を上げていくことを期待する。マーカス選手は自身でクリエイトもでき、パスも捌けるため、ワイドオープンなシュートチャンスが増加すると予測した。
トヨタアリーナ東京(TAT)への感謝
HCは、ホームアリーナであるトヨタアリーナ東京(TAT)を「素晴らしいアリーナ」だとし、感謝の意を表明。「ここが我々のホームだ」という感覚があり、素晴らしいファンのサポートがある。ロッカー、ウェイトルーム、練習設備など、全てが整っている。選手が長丁場のシーズンを通じて体を休めるのに最適な環境で、結果で答えていきたいと締めた。
取材:JunkoSato/SportsPressJP