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即身成仏

2019.02.20 01:05

人は生まれ何を為すのか、ということをずっと考えていた。


すべての人間はこの世に生を成した因があり、すべての物質はこの世に形を成した因がある。

では、その果は言葉通り未来においてどのような結果となるのか、そのようなことをずっと考えていた。


宇宙はやがてすべて消えてなくなる。

触れるもの、感じるもの、心に浮かぶこと、すべてに等しく思いを巡らすよう務める。

息を吸い、息を吐く。

その儚さの中で、それでも人は、今、生きている。


人は生まれ何を為すのか。

応えは、何も為さなくてもいい。

彼は昔、為すことがあるならばそれを為せ、と言った。

それは、人は人としてすでに為していることを指している。

その上で特別に何かを為すことがあれば、それを為せばよい。

人として為して生まれた人間は、すでに為すことが成就されている。


命を食し、大地を歩く。火を灯し、言葉を話す。

その間に、時が経つ。

衣服を纏い、家を建てる。自然と闘い、人と戦う。

人はやがて、死を迎える。


私はただ瞑想している。

私は私であることをなくそうと務めている。

言葉を選択することをやめ、考えることをやめる。

地球上の広大な空から、特定の酸素を口に含むことをやめ、時間の中で存在することをやめる。

宇宙空間に、一つの白い物体が浮かんでいる。

骨。

足は折り畳まれ、手は複雑な形で結ばれている。

即身成仏。

宇宙はそんな夢を、今日もみている。