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夢実ヶ丘学園アイドル育成科

IDOL STORY.0-3

2019.02.22 01:00

笠松青葉



 私の学校では、『流行』『噂話』『スキャンダル』の類いがいつでも蔓延っている。

今日も例外なく噂話を話す生徒ばかりであったが、その内容は朝のHRを終えた瞬間からいつもの恋バナではなくなった。


なんと、アイドルのスカウトマンが来ているそうだ。しかも、あの夢実ヶ丘学園から。 



 私、笠松青葉の通う学校は夢見ヶ丘学園のグループ傘下ではあれど、いたって普通の公立校だし、偏差値も高くはない。顔が可愛い子もぶっちゃけ少ない...と思う。なにより...



「.........っ」


「...あ、いたの?影が薄くて気がつかなかった」



そう。アイドルとは人々に夢や希望を与える心優しい美少女であってほしい。


小馬鹿にしたような笑みを浮かべているこの子のように、私に故意でぶつかってきて嫌味を言うような生徒ばかりいるこの学校にはアイドルの卵なんてきっといないのだ。




もちろん、流石にあんなに敵意をむき出しにしてくる子ばかりではない。


あのぶつかってきた子の取り巻きらしい常に派手なメイクをしてくる女子はあまり私をいじめたがらないし、私だって入学したてのときは友好的に話してくれる子の一人や二人...いないことはなかったのだが...。




さて。ぶつかられた拍子に盛大にズレた伊達メガネ(いじめっ子達は伊達とは知らずメガネを攻撃してくるのでこのメガネにはいつも助けられている)を直しつつ、移動教室に向かう。

一限目は化学だから...っと



「...っ!?」



ドンッと衝撃。荷物もほとんど落とした。今日は朝から人にぶつかられる。

いや、今のは廊下の曲がり角でぶつかってしまっただけだけれど。そういう日なのかな...?


などと考えながら床に散らばった化学の教科書を慌てて拾う私に



「失礼しました。大丈夫ですか?」



ぶつかった相手であろう、心の底から心配してくれていることが伺える男性の声が聞こえた。



「...ぁ。大丈夫で.........す!?」



な、なぜ?!何故そんなに私を見ているのこの人は?!いくら心配だからといってもそんなに見つめなくても良くないですか?!いやそもそも何故か視界がいつもより広い!なぜ?!




大混乱の最中、私の教科書を拾い上げてくれたその男性の口がまた開いた。

困る。彼が次に何を言うのかわからない。会話が始まってしまう。



「...じゅ、授業に遅れるので失礼します。」



よし、言えた。すぐに立ち去ろう。

そんな想いで一杯だった私は何とか全ての教科書を拾い、平然を装いつつ猛スピードで教室に向かったのだった。





心の優しい男性と、相棒である伊達メガネを置き去りにして。



プロローグ0.3『噂とメガネ』