Apocalypse the galaxy | 01
このお話は、僕が偉大なアーティストRammellzeeを知り、出会い、お別れしたお話
素敵なオチや、ドラマチックな展開もないただのお話です
僕より彼のことを詳しい人、親しい人はいっぱいいるけど、
いや、だからこそ僕もみたいなごくごく普通の人間が、
彼のような偉大なアーティストに出会ったことによりちょっとだけ人生を狂わされて、ちょっとだけ幸せになれた
そんな話をすることで、一人でも多く彼のことに興味をもってもらえればと思って綴るただのお話
時は90年代、バブルがはじけて世の中は決して明るいわけではなかった
特に就職に関しては氷河期なんてことも言われていた時代だ
しかし、グラフィックデザイナーを目指してた僕はそんなに時代に何の不安もなかった、macが安価になりはじめ、デザインはデジタルに移行しはじめ、インターネットという新しいメディアが生まれ、そこで食っていこうと思っていた僕には明るい未来しか見えなかった僕もいつかは、tomatoみたいになれると思ってキラキラ輝いていたはずだ、当時僕はとある音楽関係の会社でアシスタントデザイナーをやっていた
そこで、あるレーベルのホームページ更新担当を任されていた
その仕事は、そのレーベルのCDを買いまくってた10代の自分に自慢してやりたくなるような、僕にとってうれしくてやりがいのある仕事だった
そんなある日のミーティング
僕はRammellzeeの欠片に出会った。
おもむろに担当のKさんが
「vantarくんRammellzeeって知ってる?」と聞いてきた
当時、僕のRammellzeeの知識は、HipHop史上最高値がついてある伝説のバイナル
「Beat Bop」でラップをしてる人、僕が尊敬するスケシンがかっこいいと言っていた人、なんか死んだって噂が流れてる人、そんな程度の知識だったので
V「はい、ちょっと知ってますよ」
K「今度出すコンピのCDのジャケをRammellzeeにやってもらったんだけど見る?」
V「はい、見たいです」
多分そんな感じの軽い会話だったはずだ
だって、僕はその直後に人生を変える衝撃を受けることなんて
想像すらしてなかったんだから
その前ちょっとだけ、Kさんについてちょっとだけ語らせてほしい
僕にとってKさんとの出会いは、とても重要なものだった
もちろんRammellzeeのことに関してもそうだが、
Kさんにはいろいろな経験をさせてもらった
あこがれだったいろんなアーティストの仕事をさせてもらったり、
dopeなネタを教えてもらったり
一緒にフットサルをやったり、まあ、とにかく感謝しきれない
Kさんを一言で表すと、「気合いのはいった仙人」のような人だ
そんなKさんが、
K「ちょっとまってね」と言って、一枚の紙?キャンバス?厚紙?を持ってきた
「!?!!!?!!???!!!!??!??!???!??!!!!!!!」
僕はその時の衝撃を言葉や文字で表現できない
この自分語りを書こうと思った時からわかっていたことだけど
僕が、Rammellzeeから受けた衝撃は、文章でも写真でも、
ましてやモニターの中の世界では絶対表現できないとわかっていた
案の定、イクスクラメーションとクエスションだ
それでも、僕の稚拙なボキャブラリーで説明したい
20年近く前の記憶を必死に思い出しながら書く
何より物質だった
時代がデジタルに変わろうとしていたのに、まずその欠片は紙という物質だった
ちょうど12インチサイズくらいだったろうか
そこに吹き付けられた鮮やかな蛍光イエローの塗料
その上に積み重ねられたコラージュ
グラフィックと呼ぶべきか?
いや、これはボムでピースだ
そして、物質であり、Rammellzeeの一部、欠片だ
とにかく圧倒された
しつこいようだが、言葉じゃうまく表現できない
一応そのCDジャケットの画像を貼っておく
積み重ねられた、塗料やコラージュは一つのレイヤーにとどまり
星のようなまばゆい蛍光イエローは輝きを失ってしまっている
僕がみた原画の1/10以下の魅力に感じてしまう
いや、それでもこうして誰もがみれるということがせめてもの救いなのかもしれない
僕が、衝撃と困惑の中、Kさんが続けてこう言った
K「リリースパーティーの時、Rammellzee来日するよ」
僕は、数ヶ月後Rammellzeeに出会うことになる
つづく