女子高潜入編~貴子姫、画策する(一)
こちらのパロは、「マーメイド フラッシュ!」を運営されているsikaさんのブログの中で交わさせていただいたコメントの会話の中から生まれた話です。剣望くんに女装(・・・w)させるためだけに、ストーリーと設定を考えた本末転倒も甚だしい話wwですので、読まれる際はその点をご承知おきください。
(やじきたCの転校先が女子高という設定。二人の後を追って剣望くんが転入した2日目の朝。キタさんが学校に登校する場面です)
始業時間までまだ1時間近くもあるこの時間に学校に来ている生徒はほとんどいない。だが、自分の教室へ向かう途中、通りすがりに隣のクラスの教室を見ると、一人の女子生徒が自分の席に着いて、鞄から教科書を出している姿が篠北の目に入った。後ろ姿のその少女は、中学生のような幼さを感じさせる身体つきをしていて、長めの髪を両側で編んだ髪形のために白い襟足がすっかり見えていた。紺色のセーラー服の襟から伸びるその細い首と小さな顎が目を引いた。
昨日までこのクラスでこんなに早く登校する生徒はいなかったはずだ。そう思ったとき、篠北には少女が誰なのかはほぼ見当がついた。
「・・・早いね、剣望くん」
教室へ入りながら、狭霧に声をかける。相手は振り返ってこちらを認めると言った。
「なんだ、篠北か」
今朝の狭霧は、さらりとした茶色い髪を両側で表三つ編みに編み込み、二つのおさげを首のあたりに垂らした髪形だった。前髪をあげていくつかの髪留めで留めているため、白い額が露わになっていた。細い三つ編みのおさげが小さな顎の下で揺れる様は、いかにも少女らしく可憐な風情だった。
昨日以上に全く違和感を感じさせない少女の姿の狭霧に、篠北は一瞬目まいを覚えた。が、なんとか踏みとどまり「一体どう・・・」と言いかけた瞬間、教室の入り口から威勢の良い声が響いてきた。
「オッハヨー!キタさん、あんた、何で隣の教室にいるのさ?」
言いながら教室に入ってきた矢島は、篠北の隣にいる人物に気が付くと、突然、横っ飛びに飛んで丁度そこにあった机に手をついて寄りかかった。
「げっ、ま、まさか剣望くん?」
「そうだが・・・何だその反応は」
「え、いや、今日はまた一段と可愛いっつーか、ははは・・・それにしても一体どうしたのさ、その髪。まさか自分でやったのかい?」
「いや、まさか。やったのは松平だよ。・・・俺、この役目の間、強制的に松平ン家に居候させられてるんだ」
「貴子さんが?」
やじきたCが揃って声を上げると、狭霧は面白くなさそうに言った。
「ああ。そもそも、俺を連絡役に指名したのが松平なんだよ」