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首相を狙う国会議員ならば『VISION』を明示的に

2019.02.22 08:45

【政治論説】 間もなく『統一地方選』まで一ヶ月となる。野党は夏の『参院選』も視野に入れて、政権交代の礎となる参院での与党過半数割れを期待する。同日、又は後の『衆院選』を以って政権交代が可能となる。それは与党側にも同じ様に緊張感がある筈だろう。


だが実際の国会議員は、どうだろうか。現首相の様に具体的なヴィジョンを与野党の国会議員が国民に明示していない。民間の経営の世界では、ヴィジョン(経営理念)が無くば、経営戦略は立てられず、経営戦術も覚束ない。ヴィジョンは取締役会だけでなく、企業全体の息吹(モチベーション)となる。


行政の長・首相にヴィジョンは欠かせない。ヴィジョンを並べられて、初めて国民は誰を首相にしたいかを考える事ができる。


政党は国家体制の方向性を示しているに過ぎない。左は社会主義、中は自由主義、右は保守主義。日本の国政政党では、左から順に共産・社民・立憲・自由・国民・公明・希望・維新・自民となるだろう。国民は、この横軸を基準にできる。因って、どの国会議員がどこの政党かで、大凡、何を実現したいのかを知る事ができる。国会議員としての方向性だ。


だが首相を狙うならば、政党のサイトにある様な方向性だけでは国民は選べない。ヴィジョンが必要だ。


現首相は明治時代を好いている。日本が二つの大きな戦争に打ち勝ち、五大国に成り上がった時期だ。キャッチフレーズ「日本を、取り戻す。」は、平成二十四年と二十五年の国政選挙で用いた。政権交代の時期だ。現首相はデフレに苛まれる日本を強い国にしたい、という想いが滲み出ている。経済においてもGDP六百兆円を目標にしたり、悲願の改憲への挑戦等と国の大きな具体策を明示している。


国民の生活に密接する小さな具体策では、社会保障を全世代型に変え、シニアに偏っていた税配分を幼稚園・保育園の無償化等で均したい。リカレント教育で国民の知識を刷新し、働き方改革で労働時間の変更し、生産性(個人所得や税収)を上げたい。


現首相の変わりを担いたい国会議員は、先ず国としての大きなヴィジョンを掲げ、具体策をサイトや書物で明示すべきだ。さもなくば、国民は選べない。これは与野党内で共通である。特に経済と軍事は国民の生命・財産を守る上で避けて通れない。「GDPは何百兆円にしたいのか(経済)」「国防をどうしたいのか(軍事)」。最低でも、この二点は首相を狙う国会議員が公表して貰いたい。

(了)