「侵入された形跡はなし」、でも「部屋は荒らされている」!?
おはようございます、Jayです。
この前アメリカのとある刑事ドラマを観ていた時の事です。
事件現場で鑑識活動をしていた警察が後からやってきた刑事さんに状況説明をするシーンの字幕で不思議な文がありました。
「ドアは無施錠。侵入された形跡はなし。部屋は荒らされています。」
(記憶を辿っているので100%こう言ったわけではないですが、おおよそこんな感じ)
何かおかしくないですか?
「侵入された形跡はなし」と言っているのに「部屋は荒らされています」とも言っている。
これでは“事件現場”と言うより、“ルーズな性格の貧乏学生の部屋”ではないでしょうか。(笑)
実際に英語で言っていたのは以下の文です。
“Front door was unlocked when we got here.
No sign of forced entry, but, as you can see, her place was trashed.”
下線部分の“No sign of forced entry”がカギとなる箇所です。
“no sign of 〇〇”=「〇〇の形跡・兆候なし」
“forced entry”=「無理矢理侵入」(警察がドアを蹴破って突入するなど)
つまり「鍵を壊したりこじ開けたりした形跡はなし」という事です。
字幕なので文字数の制限などはあると思います。
せめて「私達が到着した時、ドアは無施錠。部屋は荒らされています。」や「ドアのカギにこじ開けた形跡なし。部屋は荒らされています。」の方がすんなり入ってくるのではないでしょうか。
ちなみに「荒らされている」と訳されていた“trashed”。
“trash”は「ゴミ」という意味ですが、ゴミが散乱しているように荒れた汚い状態の事を“trashed”(形容詞)と言います。
荒らされた以外で完全に壊されてメチャクチャな状態(“destroyed”や“damaged”の類語)や泥酔している人達を指す時もあります。
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