Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

富永啓生「この一勝は大きい」

2025.10.07 02:38

BリーグB1のレバンガ北海道に今季から加入した富永啓生が、開幕節で存在感を示した。名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの連戦でデビュー戦を飾り、2戦目では地元愛知の地でチームを今季初勝利に導いた。アメリカで磨いた多角的な得点力と、Bリーグでさらなる進化を遂げようとする姿勢が際立った。

富永は開幕前の会見で「3点シュート成功率50%を目指す」と目標を掲げ、自信を隠さなかった。初戦は名古屋Dの徹底したマークに苦しみ、3ポイントは11本中1本と沈黙。9得点に終わり、チームも惜敗を喫した。ファンの期待が大きい分、厳しい評価も飛んだが、富永は冷静に修正を試みた。


翌日の第2戦。レバンガ北海道は81-77で名古屋Dを下し、待望の初白星を挙げた。富永は20得点5リバウンドの活躍。第1クォーターから積極的にドライブを仕掛け、前半だけで15得点。3Pは8本中1本と依然として不調ながら、ペイントアタックやポストプレーでリズムを作った。試合終盤にはタフショットを沈めて雄叫びを上げ、地元の観客席から歓声が上がった。


「アウェーなのに歓声が上がるところもあって、すごく楽しくバスケットができた」と富永。6年間アメリカで過ごし、久しぶりに家族の前でプレーできた喜びも口にした。愛知での勝利を「この一勝は大きい」と振り返り、表情には安堵がにじんだ。

試合後、富永は3Pが入らない中での対応を語った。後半は3P試投数を減らし、効率を意識したプレーに切り替えた。スイッチで小柄な相手がついた場面では迷わずポストアップを選び、アドバンテージを得た。アメリカでの6年間で身につけた判断力と引き出しの多さが、3P以外でも得点を重ねる力につながった。


コート上では自らを鼓舞する姿も目立った。シュートが決まらない場面でも声を出し、気持ちを切り替える。「それで自分の士気を上げている」と言う。外からの声ではなく、自らを奮い立たせるスタイルだ。観客を沸かせるセレブレーションの裏には、勝負への執念がある。


ディフェンス面でも変化が見られた。名古屋Dのヘンリーに長い腕でリズムを崩されたと分析しながらも、「こういう選手と開幕戦でやれたことがいい経験になった」と前を向く。開幕2戦を通して「自分のプレーがすごく変わった」と実感しており、Bリーグのスピードとフィジカルに適応し始めている。


富永にとってBリーグは通過点ではない。NBAを最終目標に据えつつ、いま目の前の舞台での成長を最優先に考えている。状況判断を磨き、ピック&ロールからの展開でターンオーバーを減らすことも課題としている。第2戦では「視野が広がった」と手応えを口にした。

Bリーグ初勝利の夜、富永は確かに新しい一歩を刻んだ。3ポイントという代名詞に頼らず、苦しい状況で試合を支配する力を見せた。地元愛知での歓声に包まれながら、富永啓生は新たな挑戦の幕を開けた。


取材:HiroshigeSuzuki/SportsPressJP