【現場に学ぶ】燕三条「工場の祭典2025」見学レポート①
1. 燕三条が持つ「ものづくりの厚み」
新潟県のほぼ中央に位置する燕三条エリアは、日本有数の金属加工集積地として知られています。包丁、金属洋食器、工具、機械部品など、多様な産業が数km圏内に密集し、長年にわたって「分業」と「協業」の文化が育まれてきました。
今回参加した「工場の祭典2025」は、普段なかなか見られない地元工場の内部を公開し、ものづくりの現場を一般に開放するイベントです。工場見学や体験、現場担当者との対話を通じて、燕三条の「現場力」「技術継承」「挑戦する文化」を体感することができました。
2. 鋳造工場:熱と砂の中から生まれる形
最初に訪れたのは、金属を溶かして型に流し込む鋳造工場、三条特殊鋳工所です。UNILLOYというブランド名で自社品展開もしており、世界一軽い鋳物ホーロー鍋やフライパンを手がけている会社です。
工場内に足を一歩踏み入れると、たくさんの大きな機械や装置に圧倒されます。金属を溶かす炉に、金属を炉に投入するための装置、溶けた金属を運搬する装置、鋳物の型となる特殊な砂や砂型を作成する機械など。そして何より圧巻だったのは砂型に溶けた金属を流し込むための装置と、寸分の狂い無く約1500度の金属を型に流し込む職人技です。わずかな温度や流速の変化で品質が左右される工程であり、この作業を行える職人さんは社内でも数名に限られる高度な技術だそうです。
3. 【貴重な体験!】ぐい呑み鋳物作りに挑戦
今回は特別に、オリジナルのぐい呑みの鋳物作りを体験させていただきました。
ぐい呑み鋳造の流れ(体験部分を詳しく!)
① 原型準備(木型/金型): ぐい呑みの形をした「原型」を用意します。今回は、事前に準備された木型を使いました。この原型が、完成品の形を決めます。
② 型込め(かたごめ): 原型を2つに分かれた「鋳枠(いわけ)」と呼ばれる箱に入れ、その周りに「鋳物砂(いものずな)」(特殊な砂)を固めて砂型を作ります。この時、砂をしっかりと突き固めるのが重要! 隙間があると、後で溶けた金属を流し込んだ際に崩れてしまいます。
③ 原型抜き: 砂で固めた型を崩さないように、細心の注意を払って原型を砂型から取り出します。私の場合、砂型が木型からなかなか外れずに苦労しました。
④ 型合わせ: ぐい呑みの上部と下部にあたる、2つの砂型をぴったりと合わせ、固定します。これで、内部にぐい呑みの形をした空洞(キャビティ)ができます。
⑤ 注湯(ちゅうとう): 緊張の瞬間! 約1,500℃に熱せられ、液状になった金属(今回は錫合金)を、湯口から型へゆっくりと注ぎ込みます。 この瞬間が一番興奮しました! 真っ赤に溶けた金属が、生き物のように型へ流れ込んでいく様は圧巻です。
⑥ 冷却・凝固: 金属が型の中で冷えて固まるまで待ちます。といってもさほど待ちませんでした。
⑦ 型出し(ばらし): 完全に冷え固まったら、砂型を壊して鋳物を取り出します。自分の手で砂を払いのけ、中から現れたぐい呑みの形を見たときは、ちゃんと出来ていて良かった!と胸をなで下ろしました。
完成品はこちら
中小企業診断士試験の事例Ⅲではこれらの工程を文字で学びましたが、今回は工場の現場を見学し、体感し、学べる良い機会となりました。
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