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クルーズ船か、八幡坂か

2019.02.23 17:42

函館の、あまり知られざる展望台「ともえ大橋」。

駅前の朝市の裏から、この橋に上がって眺める函館山方面の景色は、

10年前、旅行で函館に通い始めたころから、個人的絶景の一つだった。

何がいいか、というと、海に浮かぶ摩周丸。


摩周丸が就航していた青函航路は北洋漁業と並び、

函館の繁栄を形づくった核であり、

わが国近代史においても、唯一無二の存在である。

北海道と本州を行き来する人のほとんどは、

連絡船の乗客となり、自ずと函館を経由した。


世にも高度な、可動橋による貨車積載技術、

戦前は、貴重なエネルギー源だった石炭の輸送も担った。

旧国鉄の青函鉄道管理局が置かれ、その従事者と家族がいるということも、

函館経済を潤していたと聞いている。


その青函航路の忘れ形見が、廃止後も長らく、ここに温存されている。

維持管理も並大抵のことではないはずだろうが、

函館の歴史を語るに、なくてはならない存在なのだ。

しかしここにきて、摩周丸の周囲も、ちょっと様子が違ってきた。

クルーズ船の岸壁が造られる、という話は聞いていたが

すでに去年秋より、一部の供用が始まっているとか。

久しぶりに、ともえ大橋に上がってみると、確かにその姿があった。

ということは、ここにクルーズ船が接岸すると、摩周丸は隠れてしまう。

ビルのような船が来たなら、函館山の眺めも変わる。

一方で、八幡坂上からの景観はどうだろう。

湾をはさんで遠く摩周丸が見え、

その景色がまた、CMなどのロケに使われてきたということもあって

記念写真の撮影名所となってきた。

クルーズ船が接岸すると、当然ながら景色も変わる。

クルーズ船の経済効果もさることながら、

函館は、撮影名所を一つ失うことになりはしまいか。

いや、八幡坂から見下ろすクルーズ船、というのが新たな人気を集めるだろうか。

まあ、公道を歩行者天国と勘違いしたような手合いは、見ていて気持ちいいものではないが

この眺め自体は、捨てがたいものだと思っている。