Northeastern大学 ISEC
Peyetteの代表的なプロジェクトがボストン市内のNortheastern大学の新しいサイエンスの研究棟、Interdisciplinary Science anad Engineering Complexだ。
外観も内観もとてもアグレッシブなPayetteを代表する建物で、今回の視察の前にももちろん知っていたが、視察をきっかけに初めて実際に訪れることができた。市の中心部からは地下鉄で15分ぐらいで行ける距離にあるので、とても便利である。
実際に行ってみて衝撃を受けたのが、そのディテールのレベルの高さだ。アメリカでこれだけディテールがきれいに収まり、きれいに施工されているビルはあまり見たことがないというのが正直な感想だ。
その上、建築の空間の演出のレベルがとても高い。サイエンスの研究棟なので、オフィスとラボが分離されて、その中心に吹き抜けがあるという典型的な構成なのだが、そのラボ空間の魅せ方や吹き抜けのデザインのカッコ良さに凄みを感じた。
日本で環境系のプロジェクトというと、工学系にアプローチが偏っているか、デザイン系に偏って工学系の正当性が皆無かどちらかのものが多い。NortheasternはPayetteが過去に培ってきた正統派建築事務所としてのテクニック、デザイン力と、最新の環境シミュレーション技術が合わさってとてもハイレベルなものを実現している。
前先生がサーモカメラで各部の熱の弱そうなところを撮影しても、ほぼ完璧なディテールだった。これぞまさに、見えない細部にまでデザインが行き届いているということで、設計者の意識の高さが伺える。
このプロジェクトを日本のサイエンス系の会社の役員たちに見せるツアーなどをしたら、かなりの人がPayetteにデザインを依頼するのではないか。もちろん、このビルはとても高額に見えるが、省エネルギー化することで浮いた設備費用を必要なところに使っていると言われると納得してしまうのだ。
この見えないところまでデザインの意図を張り巡らせる努力は、今まで見てきたアメリカ的なものとは少し違う気がする。日本でもこれだけの取り組みができている事務所はないだろう。Payetteが2018年のアメリカ建築家協会の最優秀事務所賞を受賞したのは当然の結果だ。