中国の最新事情と「拆二代」「富二代」「官二代」
黄 文葦
毎年中国に戻るけれど、毎回新しい発見がある。中国はまた著しく変化していくと感じる。
2月に中国に戻る前に、故郷の親友からあるお土産を買ってきてほしいと言われた。なんと日本製の爪切りである。そう言えば、近頃、来日した中国人観光客がよく日本の日用雑貨を買う。ある友人が日本旅行で大量の雑貨を買った。「これから中国で日用雑貨店が作れる」と冗談を言った。靴下やボールペン・消しゴム・シャンプー等々…日用雑貨からでもMADE IN JAPANの強みが見えると言われる。数年前、中国人は日本の家電製品を欲しがっていた。私はかつて炊飯器をお土産として親友にあげた。今、お土産のサイズはだんだん小さくなっている。爪切りとか、化粧品とか。中国と日本の間を行き来する私は、荷物がだんだん軽くなってきて…日本の日用品が欲しいということは、中国人が日本の日常生活に憧れていると言える。
言うまでもなく中国では電子マネーはたいへん普及している。更に人々のライフスタイルは劇的に変化していく。若者たちが料理をせずに携帯APPを使って宅配便で食べ物を注文し、食事を済ませる。故郷の福州で2年前に生まれたネットスーパーは、食の宅配のサービスがとても優しいと言われる。注文してから30分以内に食品を必ず届ける。食べ物を配送してくれるだけではなく、「ゴミを持ち出しましょうか」と親切な配送員に聞かれる。家のゴミをも収集してくれる。そのサービスに脱帽する。つまり、現在中国では、携帯APPを使えば、とても便利な生活が送れる。
都市の中、高いビルが続々生まれてくる。その裏に、人々の家屋を取り壊して立ち退くことがよくある。政府が道路や公共施設の建設案件を推進する際、立ち退きした住民に対し、補償として住宅あるいは現金を渡す。そして、田舎住まいの人達が急にお金持ちになった。一家で1億円以上の補償金をもらうこともよくある。大勢の人が一気に宝くじに当たったに等しい。その大金を巡り、生々しい事態が生じる。極めて残念だが、兄弟・親子が互いににらみ合うことがよく聞かれる。そして、そのお金をどう使えばいいか分からなくなって、しばしば子供にお金をあげる…家を取り壊して立ち退くことは、中国語で「拆迁」という。政府から補償金を獲得した家庭の子供が「拆二代」という。つまり、「拆迁」によってお金持ちの二世になる。
先日、ある日本の日本語学校で勉強している留学生が私のところへ相談にきた。「私は富二代だと周りの人達に言われている。アルバイトをする必要もないし、休日いつも旅行に行くし、高いゲームソフトが買えるし…確かにとても自由な暮らしができる。しかし、私は楽しくない…時々うつ状態になっている。どうすればいい…」と留学生がため息をついた。「自分がやりたいことを見つければ、きっと人生が楽しくなるよ」と私はアドバイスをした。
「富二代」とは「富裕層の子女」である。さらに、「官二代」は政府高官や役人、地方幹部などの子女である。
携帯のAPPをいじったら、何でも家まで届けてくれる。努力しなくても当たり前のように親から富の山が与えられる。「拆二代」「富二代」「官二代」はどのように成長していくのか。自分らしい人生を生きられるのだろうか。それは中国の未来に関わることである。