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NPO法人 日本老化防御医科学センター

健康法をわかりやすく解説 Vol.04

2019.02.24 11:46

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電解水素水はヒト舌がん細胞の初期増殖を防ぐ

発がんは、最初に、正常な細胞がDNAの固定的な構造変化を受けるイニシエーションの段階を経て、次いで、がん細胞の形質を現わすプロモーションの段階に至って引き起されるという2段階説が提唱されている。さらにこの後に、生じた1個のがん細胞が増殖してがん組織にまで至るプログレッションという段階を経る。いわゆる”がんの芽”が一日3000個生じるという試算が提示されている。

がん予防は、これら幾つかの段階において各々、抑制策が講じられるべきである。電解水素水は、ヒト舌がん細胞など口腔がんのプログレッションを抑制できる可能性が示唆された。(図12)

図12

プログレッションのモデル実験が行なわれた。先ずヒト舌がん細胞HSC-4を細胞どうしが接触しない単一細胞状態に播種する。次いでがん細胞は細胞分裂を行なってコロニー(増殖塊)を形成しようとする。この時に、がん細胞の増殖を引き起す引金となるシグナルの細胞内部の活性酸素を抑制するために、電解水素水を立続けに供給する。この結果、がん細胞は増殖を抑制されて、細胞溶解を来たすことが示された。(図13)

図13

一般に正常細胞は細胞分裂の停止状態でも生存し続ける能力があるが、がん細胞は細胞分裂し続けていると生存するものの、細胞分裂の停止を受けると死滅しやすい例が少なくない傾向が認められる。ヒト舌がん細胞HC-4は1個の細胞が一日1回の細胞分裂を起して、3日後には8個のコロニー(増殖塊)を形成する(図13の左写真)。この写真撮影の時点でも、細胞がひょうたんの形を呈していて、さらに細胞分裂しようという形状が認められる。1個のひょうたんの中の2つの部分には核が1個ずつ見られる。このように増殖していってがん組織を形成することになる。

しかし、電解水素水を立続けに供給してやると細胞分裂は抑制され、細胞崩壊を来たす像が見られる。(図13の右写真)単なる純水で調製した培養液を立続けに供給するだけではがん細胞の細胞崩壊は起こらない。(図14)

高頻度に電解水素水を供給するほど、溶存水素を多量にがん細胞に供給されるが、供給回数が1回より2回の方ががん細胞のコロニー数は減り、2回よりも3回の方がより減少率が顕著になる傾向が認められる。(図14)

世界の名水といわれるドイツのノルデナウの水もがん細胞のコロニー形成を抑制する能力が見られる。

図14

がん細胞の播種の後、1時間目よりも5時間目の方が、電解水素水の供給による増殖抑制効果が顕著だった。(図15)

浮遊状態のがん細胞が播種されて、やがて器材に接地して3〜5時間で張り付く(アタッチ&スプレッド)が、この細胞活動に関与すると想定される活性酸素が、電解水素水の5時間後での供給によってより効率良く消去されると考えられる。

図15


がん細胞の内部に存在する活性酸素が電解水素水によって消去される

それでは、ヒト舌がん細胞の単一細胞状態での増殖抑制はいかなるメカニズムで起こるのか。この解析に当たって、細胞内部の活性酸素を計測するレドックス インジケータ(酸化還元指示剤)としてCDCFH-DAという蛍光色素が用いられた。この酸化還元指示剤は、細胞内部に浸透して、細胞内部の活性酸素、特に、ヒドロペルオキシドや過酸化水素に反応して、緑色の蛍光を発し、活性酸素が多いほど、蛍光の輝度が顕著になる性質がある。(図16)

図16

図17

 酸化還元指示剤CDCFH-DAを用いた蛍光法によると、ヒト舌がん細胞は、溶存水素を含まない通常の超純水で調製した培養液では、緑色の蛍光が強いが、これは細胞内部の活性酸素が多量であることを示している。(図16)

一方、電解水素水の培養液では、緑色の蛍光が減弱しているが、これは、細胞内部の活性酸素が部分的に消去されたことを示している。細胞1個の内部での活性酸素レベルは、細胞内部の蛍光強度を走査すると数値として求めることができるが、電解水素水は通常の活性酸素レベルの46%に抑制していると算出される。(図17)

ノルデナウの水も電解水素水ほどの著効ではないが、細胞内部の活性酸素を消去している。今後は正常細胞との相違、および、がん組織との対比を解析していくことが求められる。